この記事は、2025年3月26日の日経新聞を基に作成しました。
AI時代に企業が求めるのは、単なるスキルよりも“適応力と学び続ける姿勢”。本記事では、変化に強い人材像と、組織がそれを育てる仕組みについて詳しく解説します。
AI時代に変わる「人材力」の定義とは?
AIの進化が進む中、「人にしかできない仕事」が再定義されている
ChatGPTなどの生成AIが加速度的に普及し、業務の自動化が進む中で、**「人は何を担うべきか」**という問いが現場で浮上しています。
岐阜県のIT企業「はちえん。」では、AI秘書として生成AIを広報戦略やマニュアル作成などに活用。社長は「自分にしかできない仕事に専念する」と話します。
AIと人が役割を分け合う時代——。“協業の未来”をどうデザインするかが問われています。
「AIにできない仕事」とは何か?
英オックスフォード大学・マイケル・オズボーン教授の分析では、次の3つの能力を必要とする仕事はAIによる代替が難しいとされます:
領域 | 説明 |
---|---|
手先の器用さ | 看護・美容・製造などの繊細な作業 |
創造性 | 芸術・設計・戦略立案など非定型業務 |
社会的知性 | コミュニケーション・信頼構築が必要な現場 |
一方で、ホワイトカラーの中でも定型業務はAIによって代替されるリスクが高いとされています。
三菱総研の試算では、2035年には日本国内で約180万人の“AIによる人材余剰”が発生する見込みです。
現場では「協業モデル」の模索が始まっている
▶ 介護現場の例(北海道・北見市)
認知症ケア施設では、「徘徊や暴言の兆候を予測するAIシステム(DeCaAI)」を導入。
心拍・温湿度・睡眠状況などをもとに8割の精度で予兆を検出し、介護負担を3割削減しました。
しかし、実際の対応には「信頼関係を築ける介護士の存在」が不可欠だと、現場の福祉士は語ります。
▶ 建設業の例(清水建設)
木材同士の接合を自動化するロボット技術が開発されていますが、「表面の仕上げ」には人の繊細な手作業が必要。素材ごとの“微差”を判断するのは、依然として熟練の職人です。
Bay3視点:「人財」の価値は“道具としての技能”から“判断・関係性の創出”へ
今回の記事は、組織マネジメントや人材評価においても大きな示唆を与えます:
従来の視点 | これからの視点 |
---|---|
同じ仕事を高速で回せる人 | 変化の中で判断できる人 |
多くの知識を持つ人 | 信頼や関係を築ける人 |
管理される人材 | AIを活用し、チームを導く人財 |
企業が持続的に成長していくには、「人だからこそ担える領域」を組織的に可視化し、活かせる仕組みを作ることが求められます。
まとめ|“AIでは代替できない力”を評価し、育てられるか?
- 事務・ホワイトカラーの仕事も自動化の対象に
- 職人技、対人スキル、状況判断力がますます重要に
- AIを活用する「人財」の価値を再定義する必要あり
“協業時代”の人事・評価制度の設計に関心がある企業様は、お気軽にご相談ください。
出典
- 日本経済新聞(2025年3月26日 朝刊)
「人財立国への道・国富を考える(3)AIでも奪えない技巧」 - オックスフォード大学マイケル・オズボーン教授
- 慶應義塾大学 栗原聡教授
- 三菱総合研究所「AIによる雇用構造の変化」
Bay3では、組織の“人財力”を引き出す評価制度設計・役割の明確化・マネジメント構築を支援しています。
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