この記事は、2025年3月27日の日経新聞を基に作成しました。
働く人の「幸せ」が企業価値を生む時代へ― ウェルビーイング経営の本質と、日本企業に求められる転換 ―
キーワード:ウェルビーイング経営、幸福度、従業員満足度、経営戦略、日本企業、人材マネジメント
幸せな働き方がもたらす「組織の強さ」
沖縄の島からオンラインで成果を生む社員の実例
人材派遣大手ウィルグループの人材開発部マネージャー・**鳥谷部大樹さん(42)**は、沖縄・久米島に家族で移住しながらも、研修や教育業務をオンラインで担っています。
「気張る必要はありません。それぞれの思いを聞かせてください」と語る彼の姿勢には、ウェルビーイング経営の根本が体現されています。
幸福度が“戦略”になる時代へ
幸せが成果につながる仕組みを整える企業たち
鳥谷部氏は、入社当初の営業職で心身に負担を感じた経験から、希望していた人材開発部に異動。その後、幸福度を高める人事制度構築に注力してきました。
ウィルグループでは、2019年から「社員の幸福度」を年2回可視化し、統合報告書に明記。社員の幸福を「成果と連動する指標」として制度に組み込んでいます。
幸福度と生産性の相関データ
- イリノイ大学の研究:幸福な社員は創造性3倍、生産性は31%向上
- オックスフォード大学の調査(米国上場企業1800社):幸福度の高い企業ほど企業価値が高い
- Indeed社のデータ:職場の幸福度スコアが10ポイント上がると、応募者数が12%増加
これらのデータは、「社員の幸せ」が単なる福利厚生ではなく、人材戦略そのものであることを示しています。
日本の課題:G7最下位の幸福度
数字が示す「働く幸せの欠如」
- パーソルHD調査:「仕事に喜びを感じる」日本の就業者は138カ国中104位
- マイナビ調査:管理職の7割が「心身に不調を感じている」と回答
いまだに根強く残る「我慢して働く」価値観が、組織の持続可能性に影を落としています。
導入企業の実例:幸福度の向上が業績を押し上げる
国分グループ本社の取り組み
老舗食品商社の国分グループは、2022年に**「幸福担当役員」**を新設。定期的な幸福度調査を実施し、対話をベースにした職場改善を進めています。
結果:2024年度の連結決算で売上・純利益ともに過去最高を記録。
これは、幸福が企業価値を生む「無形資産」であることの証明です。
経営者が意識すべき“新しい使命”
京セラ創業者・稲盛和夫氏はかつて、「心を高め、業績を上げ、従業員を幸せにすることが経営者の使命」と語りました。
今、企業に求められているのは…
- 「働けば幸せになる」仕組みを制度で整えること
- 理念・評価制度・報酬体系を“連動”させること
- 「貢献実感=幸せ」という土壌を用意すること
つまり、「制度と文化」の両面から、社員の幸福を支えるマネジメントが不可欠なのです。
まとめ|ウェルビーイング経営は“源泉”であり“成果”
現状の課題 | 求められる変化 |
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日本は働く人の幸福度が低い | 働く意味や成果に基づいた設計が求められる |
管理職が疲弊している | 中間層への支援強化と制度的アプローチが不可欠 |
幸福が“感情”としてしか扱われていない | KPI化し、評価制度と紐づけることで戦略資産化が可能 |
Bay3の視点|幸せは“整った制度”から生まれる
Bay3では「社員の幸福=理念と制度の整合性」だと考えています。
制度も整っていない状態で「幸せな職場」を語っても、現場では実現不可能です。
ウェルビーイングは、仕組みの中で成果を出せた“実感”から生まれる。
制度改革と文化形成を両輪で支援するのが、私たちBay3のアプローチです。
出典
- 日経新聞(2025年3月31日)
- 米イリノイ大学・オックスフォード大学調査
- パーソルHD/マイナビ/Indeed各種データ