この記事は、2025年3月28日の日経新聞を基に作成しました。
“やめた”のではなく、“進化させた”企業の選択とは
キーワード:中期経営計画/中計見直し/経営改革/スタンダード市場/PBR/人的資本経営
2024年、中計策定企業が過去最多。一方で「形式脱却」の動きも拡大中
日経新聞(2025年3月28日)によると、
2024年に中期経営計画(中計)を公表した企業は696社、過去7年で最多となりました。
とくにスタンダード市場の上場企業や中堅企業で、中計策定が加速しています。
一方で、大手企業を中心に、「従来型の中計」を見直す企業も増えています。
たとえば:
- 味の素は数値目標を廃止し、将来像(ASV:Ajinomoto Group Shared Value)を軸に据えた中計へ移行
- 日本ペイントは「中期経営“方針”」という新たな形式を導入し、定量計画の開示をあえて控える運用に
このように、「中計をやめた」というより、
**“中計を再定義し、組織の意思統一ツールとして進化させている”**のが実情です。
なぜ今、「数値中心の中計」では足りなくなってきたのか?
これまでの中計は、「3〜5年後の売上・利益目標」を定め、部門ごとにKPIを積み上げるスタイルが主流でした。
しかし今、次のような要因により**“静的な数値計画”だけでは組織が動かない**時代に突入しています。
変化の要因 | 企業に求められる視点 |
---|---|
市場環境の急変(地政学・AI・ESG) | 固定計画よりも柔軟な“仮説思考” |
人的資本やブランドなど、数値に現れにくい価値の重要性 | 財務と非財務の一体設計 |
外圧(PBR改革や資本効率重視) | ステークホルダーへの説明責任の明確化 |
中計の本質は「数字を作ること」ではない
中計の本当の目的は、“行動の方針”を組織全体に示すこと。
数字は、その“ナビゲーション”にすぎません。
Bay3では、次のような状況が見られたとき、「中計が機能していないサイン」と捉えます。
- 経営陣だけで共有されていて、現場には浸透していない
- 中計と人事評価・制度設計がまったくつながっていない
- 数字は立てたが、その背景や目的が現場に説明されていない
📌 このような「構造の不一致」が、**“言ってるだけの中計”**を生んでしまうのです。
✅ 中堅企業やスタンダード市場では、中計が“組織の軸”になりうる
とくに地域密着型企業や、外部との資本連携がある企業では:
- 金融機関や出資者との信頼形成
- 人材獲得・定着に向けた「ビジョンの可視化」
- リーダー育成や部門連携の方針共有
といった意味で、中計が“内と外の対話ツール”として有効に機能します。
中計を“やめるべき”か“続けるべき”かは、企業のフェーズによって異なります。
重要なのは、**「自社にとって必要な“設計の仕方”を見つけること」**です。
Bay3のご支援内容
Bay3では、以下のような「中計支援・見直しプロジェクト」を承っています:
項目 | 内容 |
---|---|
中計の“ズレ”診断 | 経営層と現場間の構造ギャップを可視化 |
新・中計の再構成支援 | 数値×非財務目標を統合した“行動型中計”設計 |
経営計画と制度の接続 | 中計と人事制度・評価・会議体の連動支援 |
無料相談はこちらから:
https://forms.gle/saX4FGLY6kRYfoer6
出典・参考
- 日本経済新聞(2025年3月28日)「中計策定696社、7年ぶり高水準 再定義進む大手」
- 味の素グループ「ASV経営」公開資料
- 日本ペイントホールディングス「中期経営方針」
- 東京証券取引所:スタンダード市場PBR課題に関する提言