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「組織が大きくなってきたのに、誰が何をしているのか分からない…」「役割や責任が曖昧で、社員もモヤモヤしている…」──そんな状況に心当たりはないでしょうか?

組織図は、ただの“社内の図解”ではありません。社員の役割を明確にし、部門間の連携をスムーズにし、会社全体を“仕組みで動かす”ための土台になります。この記事では、組織図の基本から作成ステップ、活用法やツールの選び方まで、中小企業でもすぐに実践できる内容を徹底解説します。経営者・人事担当・管理職の皆さんが、「見える組織」で次の成長ステージへ進むためのヒントを詰め込みました。

そもそも組織図とは?|目的・役割・メリットを整理しよう

なぜ組織図が必要なのか?その目的と機能

「うちの会社、小規模だし組織図なんてまだ早いよね」──そう思っていませんか?

実は、社員数が10〜50名くらいの“いま”だからこそ、組織図が必要です。

組織図の目的は、「組織体制の見える化」と「責任の明確化」。

誰がどこに所属していて、どんな役割を担っているのかを一目で把握できるようにすることで、組織としての健全性と生産性がぐっと高まります。

また、組織図には以下のような機能があります。

  • 経営層〜現場までの指揮命令系統を明確にする
  • 配置や人員バランスを俯瞰してチェックできる
  • 新たな役職・事業部の設計にも活用できる

つまり、組織図は「人と業務の流れを見える化するための経営ツール」。

社長やマネージャーが頭の中だけで把握していた構造を、全社員に共有可能な“地図”として落とし込む役割を果たします。

より具体的な組織作りのステップについては、こちらの記事もご参照ください。

組織図で得られるメリット|責任明確化・連携強化・業務効率化

組織図があると何が変わるのか? メリットは意外とシンプルですが、現場に与えるインパクトは大きいです。

  • 「誰が何をしているか」が見えるので、責任の所在が明確になる
  • 部門間の“頼み方・連携の仕方”がわかり、コミュニケーションが円滑になる
  • 無駄な業務の重複や、抜け漏れを可視化できる
  • 社員にとっても「自分の立ち位置・役割」が理解しやすくなる
  • 評価や育成の基準設計にも活かせる

「なんとなくこの人が担当っぽい」という曖昧な状況が続くと、責任感も薄れ、ミスの温床にもなります。

逆に、組織図を使って役割分担を明確にすることで、組織全体のスピードと成果がグッと上がるのです。

経営・人事・現場が見る「組織の地図」としての役割

組織図の本質的な役割は、「全員で共有できる地図」をつくることです。

経営者・人事・各部署のリーダー、そして現場メンバー。それぞれが違う視点で組織図を活用できます。

  • 経営者視点:会社の成長フェーズに合わせた戦略的な配置設計ができる
  • 人事・管理部門視点:人材配置や評価制度と連動した設計が可能になる
  • 現場メンバー視点:上下左右の連携相手が可視化され、働きやすくなる

たとえば、新しく事業部を立ち上げた際に「誰がその指揮を執るのか」「どの部門と連携するのか」を組織図に落とし込めば、迷いが減って現場の混乱も防げます。

経営戦略から日々の業務運営まで、組織図は“組織全体の動きを支える共通言語”なのです。

組織図に落とし込む経営計画書の作成方法については、こちらの記事をご一読ください。

代表的な組織図の種類と特徴

組織図にはいくつかの代表的な「型」があり、それぞれメリット・デメリットがあります。会社の規模・事業内容・フェーズに応じて、最適な構造を選ぶことが組織づくりの第一歩です。

ピラミッド型組織図|最も一般的で役職と階層が明確

いわゆる「ヒエラルキー型」とも呼ばれるピラミッド型は、もっとも多くの企業で採用されているスタンダードな組織図です。

  • 経営層から現場までの指揮命令系統が明確
  • 各部署ごとの役割と責任の所在が分かりやすい
  • 管理職の役割や業務範囲が明確になる

この型の最大のメリットは、「管理がしやすく再現性も高いこと」。

ただし、階層が多くなると現場との距離が遠くなり、スピード感に欠けるという側面もあります。

マトリックス型|複数の指揮命令があるプロジェクト型に対応

事業部ごとの縦軸と、機能別(営業・開発・マーケなど)の横軸で構成されるのがマトリックス型組織。プロジェクト単位での柔軟な動きを実現するのに適しています。

  • 機能と事業、2つの視点から人材配置ができる
  • 複数の上司を持つケースがあるため判断の多様性が生まれる
  • 製品別・顧客別の対応が必要な企業と相性がよい

ベンチャーのグロース期や、大企業の新規事業部でよく見られる型です。

注意点として、指揮命令が複雑になりやすく、「どちらの指示を優先するか」問題が発生することもあるため、ルール設計がカギになります。

フラット型|ベンチャーや少数精鋭組織で注目される形

階層を極力なくし、権限移譲やスピード重視の文化を促進するのが「フラット型組織」。スタートアップや小規模企業で導入が進んでいます。

  • 社員間の距離が近く、意見交換がしやすい
  • 決裁スピードが早く、顧客対応力が高まる
  • 役職が少ない分、責任と裁量が個人に求められる

フラット型は自由度が高く柔軟ですが、「誰が何を決めているのか」が曖昧になると、現場の混乱を招きやすくなります。

人数が増えてきたら、どこかのタイミングで“緩やかな階層化”を検討するのが現実的です。

自社に合った「組織形態」の選び方とは

どの組織図にも一長一短があるため、「正解は自社ごとに違う」のが実情です。以下のポイントを参考に、最適な型を検討してみましょう。

  • 社員数や部署数に対して、管理職が適切に配置されているか?
  • プロジェクト単位での動きが多いか、機能別に動くことが多いか?
  • 社長や幹部が業務に深く関わっているか?それとも分業体制か?
  • 評価制度や責任の所在が組織図とリンクしているか?

そして何より、「組織図は一度つくって終わり」ではありません。

事業の変化に合わせて、半年〜1年ごとに見直していくことが、組織の柔軟性と健全性を保つコツです。

組織図の作り方ステップ|構成要素・手順・注意点

組織図づくりは、単に役職を並べる作業ではありません。現場で“機能する図”にするためには、設計・整理・構造化の順番が大切です。ここでは「ゼロから始める組織図作成ステップ」を、初心者にもわかりやすく分解して紹介します。

ステップ1:まずは人員・役職・部門情報を整理する

最初にやるべきは、「誰が」「どんな役割で」「どの部署に所属しているのか」の棚卸しです。

  • 社員全員の氏名と役職をリスト化する
  • 所属部署やチーム単位でグルーピングする
  • 兼務や委員会などの横断的な役割も書き出す

このステップでのポイントは、“現場のリアル”をしっかり拾うこと。

実際に業務を回している人の視点で、「名前はあるけど機能していない部署」や「実態と違う肩書き」がないかを確認しましょう。

ステップ2:役割と責任範囲を明文化する

次に取り組むのは、各役職や部署が「何をするのか」「どこまで責任を持つのか」の定義です。

  • 各役職に期待するミッション(業務上の目的)を設定する
  • 権限の範囲(決裁可能な内容や予算)を明示する
  • 評価と連動させるなら、人事制度とも整合性を取る

ここを曖昧にすると、「名前だけの役職」「誰も責任を持たない組織」ができあがってしまいます。

組織図は“役割の地図”でもあるため、配置する前に意味づけを明確にするのが肝心です。

ステップ3:部署・階層・指揮命令系統をレイアウトに落とす

いよいよ図の設計に入ります。ここでは「見える化」と「伝わる化」が重要なキーワードです。

  • 上位から下位へ、指揮命令がスムーズに流れる階層構造にする
  • 部署やチームごとに色分け・グループ分けをすると視認性アップ
  • 横串のプロジェクトや兼務関係は点線や注釈で明記する

Excel、Googleスプレッドシート、PowerPoint、Lucidchartなどの作図ツールを使えば、テンプレを活用しながらサクッと作成できます。

また、顔写真や肩書きだけでなく、「社内の連絡先」「管轄業務」まで書き込むと、“生きた組織図”になります。

作成時にありがちなミスとその防ぎ方

組織図づくりでよくある失敗は、以下のようなものです。

  • フォーマット優先で、現場の実態が反映されていない
  • 名前の羅列だけで、役割や責任が曖昧
  • 階層や部署のバランスが悪く、どこが指揮系統かわかりにくい
  • 更新されず、すぐ“死んだ資料”になる

これを防ぐには、「最初に全員で役割を擦り合わせる」「人事制度とセットで設計する」「更新担当者を明確に決める」ことが有効です。

また、見た目の美しさよりも、「誰が見てもパッと理解できる構造」にするのが何より大切です。

どこまで載せる?組織図に記載すべき情報と構成要素

組織図を作るとき、「何を載せればいいの?」と悩む人は多いはず。ただ名前と役職を並べただけでは、“見えるけど分からない図”になりがちです。ここでは、最低限必要な構成要素と、あると便利な追加情報、社内外での記載範囲の違いまでまとめて解説します。

最低限必要な要素|氏名・役職・所属・指揮系統

どんな組織図でも、まず押さえるべき基本情報は以下の4つです。

  • 氏名:誰がどこにいるのかを明確にする基本中の基本
  • 役職:社内の指揮命令系統を把握するために必須
  • 所属部署:チームや部門単位の構造を見える化
  • 指揮系統:上下関係・レポートラインを矢印や線で表記

これらは、「誰がどのポジションで何を担っているのか」を読み取るための土台。特に成長フェーズの企業では、“名ばかり役職”や“曖昧な管轄”が混在しがちなので、線引きをしっかり整理して反映するのがコツです。

加えると便利な情報|担当業務/連絡先/顔写真など

実用性を高めるなら、次のような「あると便利な情報」も検討しましょう。

  • 担当業務:それぞれのポジションで何を担っているか一目で分かる
  • 内線番号・メールアドレス:連絡がスムーズに取れる
  • 顔写真:新入社員や他部署から見ても誰が誰か分かりやすい
  • 在籍地(支店・リモートなど):働く場所を明示する

これらを追加することで、「業務の問い合わせがしやすくなる」「連携が生まれやすくなる」といったメリットがあります。

特にリモートワークやフルフレックスが浸透している企業では、「顔が見える組織図」がチームのつながり強化に一役買ってくれます。

社内共有・社外開示で変わる「記載範囲」の決め方

組織図の「公開範囲」によって、記載内容は大きく変わります。

▼社内向けの組織図なら…

  • 担当業務や連絡先など、実務に直結する情報を詳細に記載
  • 社内イントラやクラウドストレージで更新・共有できる形に

▼社外向けの組織図なら…

  • 役職と部署構成のみに絞り、個人情報や詳細業務は非掲載
  • IR資料や採用ページでの掲載が前提の場合が多い

つまり、「どこまで載せるか?」の正解は用途によって変わるということ。

一つの図で両方を兼ねようとせず、目的別にバージョンを分けておくのがベストプラクティスです。

無料で使える組織図テンプレート&作成ツールまとめ

組織図は「作りたいけど、ツール選びで止まってる…」というケースが本当に多いです。

でも安心してください。ExcelやPowerPointなど、身近なソフトでも十分キレイに作れますし、無料テンプレや専用ツールを使えばもっと効率的に作れます。

ここでは、目的・スキルレベル別におすすめの作成手段を一挙紹介します。

Excel/Googleスプレッドシートで作る基本型

一番シンプルで使い勝手がいいのが、Excelやスプレッドシートを使った組織図。図形ツールと表の組み合わせだけで、以下のような構成が作れます。

  • セル結合+罫線で役職階層を表現
  • 四角形図形をドラッグして配置
  • 名前・役職・部署をテキストで入力

Googleスプレッドシートなら、複数人での同時編集も可能なので、情報更新や確認にも便利です。

ただし、複雑な階層や横断チームの表現はやや苦手なので、必要に応じて補助資料をつけるのもおすすめ。

PowerPoint/Word/図形ソフトを使った作成術

「もっと見栄えよく、伝わる図にしたい!」という場合は、PowerPointやWordの図形機能が活躍します。

  • SmartArtで組織図テンプレを選べば数クリックで完成
  • 図形サイズや色を自由にカスタマイズ可能
  • 顔写真やアイコンを入れると親しみやすさUP

PowerPointなら、社内説明やプレゼン用の資料にもそのまま使えるのが強み。デザイン性を重視したい場合や、“ビジュアルで伝えたい”経営者やマネージャー向けにぴったりです。

Microsoft VisioやLucidchartなどの専用ツール

さらに本格的な組織図を作るなら、専用ツールの出番です。代表的なのは以下の2つ。

  • Microsoft Visio:業務フローや社内構造図に強い、企業向け高機能ツール
  • Lucidchart:クラウド型でチーム共有に最適、テンプレートも豊富で直感的

特にLucidchartは、Google連携やSlack連携、リンク共有も簡単なので、中小企業~ベンチャーの成長フェーズにフィットしやすいツールです。

無料プランでも十分使えるので、まずは試してみるのもアリ。

目的別に選ぶべきツール・テンプレのポイント

最後に、「結局どれを選べばいいの?」という人のために、選定のポイントをまとめます。

  • 手軽に始めたい → Excel/スプレッドシート/PowerPoint
  • プレゼンや社外説明用 → Word/PowerPointでデザイン重視
  • 社内管理・継続的な更新 → Googleスプレッドシート/Lucidchart
  • 複雑な構造やプロジェクト型組織 → VisioLucidchart

テンプレートを使う場合も、階層数や部門数、人数に応じて最適なフォーマットを選ぶことがカギになります。

目的と使う場面を先に明確にしておけば、「選んだけど使いにくい…」という失敗も防げますよ。

作った後が大事!組織図の活用・運用で押さえるべきこと

組織図って「作って終わり」だと思っていませんか?

本当に価値が出るのは、“作った後にどう活用するか”です。

このセクションでは、組織図を社内に浸透させ、組織マネジメントに生かす運用術を紹介します。

社内共有・更新ルール|常に最新の状態に保つ仕組み

せっかく丁寧に作っても、更新されていない組織図はむしろ混乱の元。

「誰が何をやっているのか」が間違っていたら、業務効率も連携もガタ落ちです。

  • GoogleドライブやSlackなど、常に見られる場所で共有する
  • 月1回の定例更新など、ルールを決めて運用する
  • 担当者を明確にし、誰が更新責任を持つかを可視化する
  • 異動・増員・新プロジェクト発足時など、更新タイミングも定義する

とくに従業員が30人を超えてくると、“情報のズレ”が現場の混乱に直結します。

「見えるけど古い」「誰が最新かわからない」状態を脱し、“いつでも最新”が当たり前の状態をつくりましょう。

評価・育成・連携のベースとしての活用法

組織図は“配置の図”であると同時に、人材マネジメントの土台になります。

  • 評価制度とリンクさせて、「誰がどの役割・責任を担っているか」を明確にする
  • 育成対象やポジションの空白が見えることで、後任育成やリーダー育成の計画が立てやすくなる
  • チーム連携のために、「この業務は誰に聞く?」が一目でわかる状態にしておく

また、役割があいまいだと、人材も組織も育たないというのはよくある話。

組織図を「育成マップ」として使うことで、成長の可視化と目標設定がグッと現場に落ちやすくなります。

人材配置・事業部戦略・労務管理への応用

組織図は経営の意思決定ツールとしても、めちゃくちゃ使えます。

  • 「A部門は人多すぎ、B部門は人足りない」など、人材の偏りを視覚的に把握できる
  • 事業部別に役割・責任が明確になるため、中長期の組織戦略を練る土台になる
  • 指揮命令系統・役職・責任範囲が明記されていれば、労務トラブルやハラスメントの予防にも有効

さらに、採用やタレントマネジメントの議論を“なんとなく”でやっていた企業も、組織図があることで一気に可視化・論理化されます。

組織図は「経営層だけのもの」ではなく、現場の声を拾ってアップデートしていく“双方向のツール”として運用していくことがカギです。

こちらの記事も参照し、組織図と人事評価制度を連携させることで、人材育成や評価基準の明確化が進みます。

まとめ|「誰が何をするか」が一目で伝わる組織図を

組織図は単なる“人の配置図”ではありません。

組織の意思決定・業務の流れ・人材の責任範囲を見える化する、いわば企業の“設計図”です。

経営・人事・現場がバラバラの地図を見ていたら、当然うまくいきません。

だからこそ、「誰が何をするか」が一目で伝わる組織図を、チーム全体の共通言語として整えることが重要です。

経営層・人事・現場が見える共通言語をつくろう

企業の成長フェーズに応じて、組織はどんどん複雑になります。

それを“言語化”するためのツールが組織図です。

  • 経営者は「どこに人を割くべきか」が見える
  • 人事は「評価・育成・配置転換」が判断しやすくなる
  • 現場は「誰が何をしているか」がわかり、連携しやすくなる

つまり、全員が同じ地図を見て走れる状態=強い組織への第一歩です。

まずは手元の情報から、小さく始めてみる

いきなり完璧な組織図を目指す必要はありません。

「今わかっている人員」「今ある役職や部署」からでOK。

  • Excelやスプレッドシートでラフに作ってみる
  • 明文化されていない役割をとりあえず書き出す
  • 表面的でもいいので、まずは可視化してみる

“手を動かしてみる”ことが、次の改善に必ずつながります。

実行しながらブラッシュアップするのが“正解”

実は、組織図に「正解」はありません。

会社の規模・文化・事業フェーズによって“最適解”が変わる生き物だからです。

  • 実際に運用して、現場の声をもとに更新していく
  • 社員の理解度や使いやすさを見ながら改善する
  • 定例会議や1on1で「運用しながら磨く」姿勢をもつ

大切なのは、“立派な見た目”ではなく“使われる仕組み”にすること

組織図をただの資料で終わらせず、経営と現場をつなぐ実践ツールとして育てていきましょう。


組織づくり、そろそろ本気で整えませんか?

「組織図を作らなきゃ」と思っても、
どこから手をつけていいか分からず、後回しにしてしまいがちです。
でも、組織が大きくなる前の“今このタイミング”こそ、整えるチャンス。
Bay3では、テンプレの提供だけでなく、御社の状況に合わせた設計支援や運用アドバイスまで一緒に伴走しています。

  • 「まずは型だけでも整えたい」
  • 「役職や責任範囲をどう分ければいいか相談したい」
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そんな方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください!

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