若手が辞めない建設会社へ─地方・五木村の中小企業が実践した“逆算型マネジメント”
1. 地方建設業に共通するリアルな課題
熊本県・五木村にある、ある中小建設会社(社名非公開)。
この地域に限らず、地方の建設業では以下のような課題が頻繁に聞かれます。
- 若手が採用できない、またはすぐに辞めてしまう
- 技術やノウハウの継承が進まない
- 「この会社で将来どんなふうに働けるのか」が見えづらい
とくにこの企業では、若手が定着しないことが長年の悩みでした。**しかしながら、**現状を変えるための第一歩として、「未来を描くこと」から取り組みが始まりました。
2. 未来から逆算する─“10年後に誇れる企業”をめざして
そこで会社が掲げたのは、「10年後に、地域で誇れる企業になる」というシンプルで力強いビジョンです。
**まず、**そのゴールから逆算して、3年後にはどんな状態になっていたいかを全員で共有。
**その上で、**さらにそれを月単位・週単位の行動計画に落とし込みました。
このように、将来像から今を組み立てることで、若手社員が「この会社にいたら未来があるかも」と感じられるようになったのです。
つまり、“育成が計画されている実感”が、離職防止の鍵となったのです。
3. 実際に行った取り組み
では、どのような取り組みが行われたのでしょうか?
具体的には、次のような実践が進められました。
- 若手社員2名の採用と同時に、10年間の育成計画を立案
- 「現場責任者」と「若手」の両方に育成ステップを設けたダブル育成トラックを導入
- 年単位ではなく、「3年後 → 1年後 → 今月」という逆算マップで行動を具体化
- **さらに、現場ごとに数字と行動目標を見える化し、“数字の自分ごと化”**を支援
その結果、日常の会議やOJTが“ただの報告”から“未来をつくる対話”へと進化していきました。
4. 実務に根ざした学び:現場の“よくある声”にどう向き合うか
現場では、以下のような声がよく聞かれます。
しかし、こうした声こそが、変化の起点になり得ます。
「うちは忙しくて理念とか計画は後回しになりがちで…」
→ だからこそ、“現場が使える計画”にすることで、実行しやすくなるのです。
「数字を語れる社員がいない」
→ だからこそ、“数字を行動と言葉に落とし込む仕組み”をつくる必要があるのです。
5. まとめ:建設業にこそ合う、逆算型の経営アプローチ
建設業のように、日々が現場対応で流れていく業種にとっては、
あらかじめ未来を定め、その姿から行動を逆算するアプローチがとても有効です。
- 若手が辞めない
- 指導者が育つ
- 行動と数字がつながる
こうした変化は、“気合い”や“根性”で実現するものではありません。
むしろ、仕組みと習慣によって、着実に形にすることができるのです。
補足:逆算型マネジメントとは?
将来の“ありたい姿”を先に定め、そこから現在の行動や仕組みを逆算して決める経営手法。
現場や若手社員にとっても、“動きやすく・伝わりやすい”ことが特徴です。
記事では、「若手が辞めない建設会社づくり」に向けた取り組みをご紹介しました。
「現場は忙しい」「うちは特殊だから」と言いたくなる気持ち、よくわかります。
だからこそ、“現場が動きやすい計画”を、今こそ見直すタイミングかもしれません。
もし御社でも、育成・定着・中期経営計画に関して感じていることがあれば、
ぜひあなたの声をお聞かせください。
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