この記事は、2025年4月3日の日経新聞を基に作成しました。
本社移転で“仕組み”も変えていますか?
2024年、北関東エリアへの本社移転は8年連続で転入超過となりました。
特に東京都からの転入企業が増加し、固定費の見直しやリモート対応を含めたワークスタイル変革の機運が高まっています。
しかし、その一方で、「住所を移しただけ」で終わってしまう企業も数多く存在します。
実際、業績が伸び悩み、組織の一体感が失われるといった問題に直面するケースも少なくありません。
その背景には、「組織の仕組み」が移転前のまま据え置かれているという共通点が見受けられます。
「環境は変わった」のに、「組織は変わっていない」?
実本社移転後、以下のような“ズレ”が多くの企業で起きています:
- 役割があいまいで、責任者が不明確
- 出社を前提とした評価制度がそのまま残っている
- 中期経営計画が現場に浸透せず、絵に描いた餅状態
これらのズレが放置されると、パフォーマンス低下や人材流出の引き金になります。
つまり、移転を“仕組みを見直すチャンス”と捉えられるかが、経営の分かれ道なのです。
なぜ「本社移転」と「組織の仕組みの見直し」がセットで必要か?
観点 | 見直すべき点 | 放置リスク |
---|---|---|
組織構造 | 新拠点に合わせた組織図 | 指揮命令系統の混乱 |
評価制度 | 多様な働き方への対応 | 納得感・離職率の低下 |
中期経営計画 | 現場人材との整合 | 実行されない経営戦略 |
とくに、評価制度が出社前提のまま運用されている企業では、現場の不満が顕在化しやすい状況にあります。
したがって、評価項目の見直しや、行動指針の再定義が急務といえるでしょう。
【事例】茨城へ本社を移したIT企業A社(社員55名)
東京から茨城へ本社を移転したIT企業A社は、以下のような変革を実施しました。
- 組織図を再構築し、意思決定を2段階に短縮
- 行動+成果を評価するハイブリッド制度へ移行
- 管理職向けに「任せる技術」研修を導入
その結果:
📈 定着率:87.3% → **96.1%**へ改善
📉 離職ゼロ:1年以内の管理職退職ゼロを達成
このように、制度・構造・意識の3点セットで再構築を図ったことが成功要因です。
本社移転時に見直すべき「組織の3要素」
次の3つを見直すことで、組織は移転後に“生まれ変わる”ことができます。
- 役割定義と組織図の再設計
→ 誰が、何を、どこまで担うのかを明確にし、曖昧な責任を排除 - 評価制度のアップデート
→ 成果だけでなく、行動や価値観も評価対象にし、多様な働き方に対応 - 中期経営計画と人事制度の接続
→ 数字だけで終わらせず、“現場が納得するストーリー”として浸透させる
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Bay3の支援メニュー
Bay3では、本社移転や組織再編のタイミングで以下の支援を提供しています:
✅ 組織構造・役割のリデザイン
✅ 評価制度の設計・運用・現場定着支援
✅ 中期経営計画との一貫性をもたせた人事設計
まとめ|“移す”だけでなく、“整える”ことが未来をつくる
誤解されがちな考え | 正しい見直しの視点 |
---|---|
本社移転だけで改革は完了する | 仕組みを再設計してこそ成果が出る |
評価制度は以前のままでよい | 働き方の変化にあわせた見直しが必要 |
中期経営計画は経営陣だけのもの | 組織全体に浸透する仕掛けがカギ |
本社移転は、「住所変更」ではなく「組織の未来設計」。
このタイミングこそ、仕組みを一新する絶好のチャンスです。
出典:2025年4月3日付 日本経済新聞/帝国データバンク水戸支店 調査