この記事は、2025年4月7日の日経新聞(社説)を基に作成しました。
2025年4月、育児・介護休業法が改正施行
いよいよ2025年4月1日、改正育児・介護休業法がスタートしました。特に注目されているのが、「介護離職を防止するための企業の義務化」です。今回の法改正により、企業規模を問わずすべての企業に、以下の3点が義務付けられました。
①:介護が発生した社員への個別周知・意向確認
- 制度(介護休業・給付金など)の説明
- 利用意向の有無を確認(面談・書面・メール等)
義務②:40歳以上社員への事前情報提供
- 年1回を目安に、対象者に制度・相談先を案内
義務③:雇用環境の整備(以下のいずれか)
- 制度に関する研修の実施
- 社内相談窓口の設置
- 利用事例の共有
- 利用促進に関する方針の明示
年間10万人が介護離職──“見えないリスク”が企業を襲う
総務省のデータでは、毎年約10万人が介護を理由に離職しています。
実際、介護と就業を両立している人は346万人にも達するとされています。
さらに、リクルートワークスの調査によると、「介護が必要になったら退職を検討する」と回答した人は**42.3%**にも上ります。
経産省が示す「9.2兆円損失」の衝撃
経済産業省の試算では、2030年までに介護離職や就業制限によって約9.2兆円の経済損失が発生するとされています。
- 労働力損失:3.5兆円
- 生産性損失:5.7兆円
このように、介護は個人の問題にとどまらず、国家レベルの社会課題となりつつあります。
日立製作所の事例|データで“備える”組織の姿勢
日立製作所では、介護リスクの実態を全社的に調査。その結果、以下のような事実が明らかになりました:
内容 | 割合 |
---|---|
介護中の社員 | 約8% |
今後5年以内に介護の可能性 | 約59% |
そこで同社は、以下のような対策を実施しています。
- 管理職向け「隠れ介護」対策セミナー
- 制度の活用促進と相談のしやすい風土づくり
- 在宅勤務・柔軟勤務制度の整備
Bay3からの提案:「制度を整える」では不十分です
中小企業では、「制度はあるけど、使われていない」ケースが多く見られます。そこでBay3では、以下の3ステップで両立支援の仕組み化をご支援します。
Step1|現状可視化(アンケート&簡易レポート)
▶ 社員の「介護に関する不安度・対象者比率」をデータで把握
Step2|管理職向け研修(90分)
▶ “隠れ介護”を見抜き、対応するスキルを強化
Step3|制度を“使える”ように整備
▶ 両立支援マニュアル・運用ルールの策定
まとめ|「介護」は明日の経営リスクです
誤解 | リスク |
---|---|
介護は当事者だけの問題 | 実は、離職や生産性低下に直結する経営課題 |
制度があるから大丈夫 | 実態に即した運用がなければ意味がない |
管理職には関係ない | “隠れ介護”はむしろ中堅層に多く見られる |
企業に求められるのは、「気づき・備え・仕組み」の三拍子。
放置すれば、人材流出と生産性低下を招きかねません。