「うちの給与、なんとなく決めてない?」
そんな不安を抱える中小企業は少なくありません。
給与テーブルとは、等級や評価、役職、手当といった要素をルール化した“処遇設計の土台”。
制度としてきちんと整備することで、社員の納得感・人件費の見通し・組織運営の安定が一気に改善されます。
でも、「どう作ればいいの?」「テンプレはないの?」「どこまで公開すべき?」といった悩みがつきもの。
このガイドでは、以下のようなニーズに応える内容をまとめています。
- 給与テーブルの基礎知識と設計目的の整理
- 等級制度・評価制度との連動ルールのつくり方
- 昇給・昇格・賞与と連動した6ステップの作成フロー
- Excelで使えるテンプレートの紹介と活用法
- 社員への説明・運用時の注意点・見直しのコツまで網羅
人事制度はあっても給与とつながっていない――そんな企業こそ、
「納得できる給与設計=自社の給与テーブル」を整えるチャンスです。
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給与テーブル作成の基礎知識|目的・意味・役割を正しく理解する

「給与テーブルって聞いたことあるけど、実際どう使うの?」
「賃金テーブルと何が違うの?」
そんな疑問を抱えている中小企業の方に向けて、まずは基礎からわかりやすく整理します。
ここを押さえておけば、制度設計に入る前の“モヤモヤ”をすっきり解消できます。
給与テーブルとは?賃金テーブル・賃金表の定義と活用の意味
結論:給与テーブルは“会社がどう給与を決めるか”を見える化した設計図です。
給与テーブルとは、等級・役職・評価などに応じて基本給や手当の金額を体系的に整理した表のこと。
賃金テーブル、賃金表と呼ばれることもありますが、意味としてはほぼ同じです。
この制度を導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- 昇給・昇格・賞与の基準を明文化できる
- 従業員への説明に根拠を持てる
- 処遇ルールを可視化し、人事の公平性を担保できる
つまり、給与テーブルは「感覚や属人性」による給与決定から脱却し、評価制度・等級制度と連動した“仕組み”としての運用を可能にする役割を持ちます。
テーブルがあることで、「給与はこういう考え方で決まる」という社内共通認識が生まれ、社員との信頼関係も強化されます。
中小企業にも必要な理由|公平性・納得感のある処遇設計とは
結論:給与テーブルがない会社ほど、“モヤモヤ”と“不満”が生まれやすい。
中小企業では「実力主義でいこう」「役員が判断すれば早い」といった理由で、制度を整えていないケースも多いですが、
その結果、以下のような問題が起こりがちです。
- 昇給・昇格の判断が属人的で、社員の納得感が得られない
- 同じ仕事をしているのに、給与に差があると感じられる
- 公平性が不透明で、モチベーションが下がる
給与体系が曖昧なままでは、「頑張っても報われない」空気が社内に広がり、優秀な人材の流出にもつながります。
逆に、給与テーブルがある企業では…
- 評価と報酬のつながりが明確になり、納得感が高まる
- 給与の差を「理由ある差」として説明できる
- 経営と従業員の“給与に対する目線合わせ”がしやすくなる
つまり、給与テーブルは人件費を管理する道具であると同時に、“信頼を育てる制度”でもあるということ。
特に組織が10名を超えてくると、制度としての設計が強く求められるようになります。
給与テーブルを開示するメリットとデメリットを比較
結論:給与テーブルを“どこまで開示するか”は、経営戦略次第。全公開が正解とは限らない。
給与テーブルをつくった後、多くの企業が悩むのが「社員にどこまで開示するか?」という点。
ここでは、開示のメリット・デメリットを比較し、自社に合った方針を選べるようにしておきましょう。
- 【開示するメリット】
- 社員が自身の昇給・昇格の目標を明確にできる
- 処遇ルールに透明性が生まれ、納得感が高まる
- 採用活動において“見える制度”としてアピールになる
- 【開示によるデメリット】
- 等級や給与の違いに敏感になり、不公平感が逆に強まる場合がある
- 一部情報だけが先行して伝わり、誤解が生まれる可能性がある
- 給与額が“ゴール”に見えてしまい、成長意欲を下げるリスクもある
ポイントは、「全てを公開する」のではなく、等級ごとの役割や昇給・評価ルールなど、納得感を生む“考え方”を共有すること。
自社のカルチャーや組織規模を踏まえて、“見せる範囲”を設計する視点が求められます。
給与テーブル設計前に整えるべき人事制度と評価の仕組み
給与テーブルを作る前に、土台となる人事制度が整っていないと、せっかくの設計が台無しになります。
評価制度・報酬制度・等級制度の3つが連動していないと、制度が空回りしてしまうからです。
ここでは、連動の考え方から金額設計の根拠、人件費のバランスまで、中小企業が見落としやすいポイントを一気に整理します。
補足:評価制度や等級制度との連動に不安がある方は、こちらの記事も参考になります。
等級制度・評価制度・報酬制度の連動と仕組み化
結論:給与テーブルは“評価×等級×報酬”のトライアングルで設計するのが基本。
給与制度は単体では機能しません。しっかり機能させるには、以下の3つの制度を連動させることがカギになります。
- 等級制度(グレード・ランク)
→ 職務のレベルや責任範囲を定義 - 評価制度(成果・行動・能力など)
→ 昇給や昇格の判断軸を設計 - 報酬制度(給与・手当・賞与)
→ 評価結果を処遇へ反映する仕組み
この3制度が「バラバラに存在する状態」は、制度疲労や不満を引き起こす原因に。
逆に、等級によって給与レンジを定義し、評価に応じて昇給・昇格を連動させると、組織としての“納得感あるルール”が出来上がります。
給与テーブルの設計は、制度設計の集大成です。制度同士の接続点を意識しましょう。
賃金体系・給与レンジ・金額水準の設計と根拠の示し方
結論:金額の“根拠”がないテーブルは、すぐに疑問視される。
どんなに丁寧に作ったテーブルでも、「なぜこの金額なのか?」という問いに答えられなければ、従業員の納得感は得られません。
- 賃金体系の構成(基本給+手当+賞与など)
- 等級ごとの給与レンジ(上限・下限・中央値)
- 金額水準の設定根拠(同業他社/地域相場/売上比率など)
「この等級では、○○円〜○○円の範囲内で昇給していく」
「同業の平均水準をベースに、当社の等級制度に合わせて金額を設計している」
こうした根拠を言語化できていれば、社員にとっても納得感があるし、採用面でも信頼につながります。
人件費・予算バランスをふまえた自社設計の注意点
結論:いい制度でも“払えない給与”では運用破綻する。
給与テーブルの設計で見落としがちなのが、自社の財務や人件費比率とのバランスです。
「理想的な昇給制度をつくったけど、いざ昇給時に予算が足りない…」
- 現状の人件費総額と売上比率
- 今後の人員増加や昇給ペースを見越したシミュレーション
- 経営計画・事業フェーズに合った金額設計
特に中小企業では、“一度上げた給与は下げづらい”という制約が強く働きます。
だからこそ、昇給ペースや号俸レンジに無理がないかを慎重に検討する必要があります。
理想と現実の間に、持続可能なラインを引くこと。
それが“続けられる制度設計”の第一歩です。
補足:給与制度は経営計画とセットで考えると、設計の一貫性が生まれます。
【Step解説】給与テーブルの作り方|6ステップで設計から最終調整まで
「何から始めればいいのか分からない」「順序立てて設計したい」──そんな中小企業の経営者や人事担当者向けに、給与テーブルづくりを6つのステップで分解しました。
それぞれのステップで何を考え、どんなデータを用意すべきかを明確にして、誰でも実行できる設計プロセスに落とし込んでいます。
STEP1:給与テーブル設計の目的と全体像の整理
結論:給与テーブルの目的を明文化しないと、制度がブレる。
設計を始める前にまずやるべきことは、“なぜ給与テーブルを作るのか”を明確にすること。目的が曖昧だと、制度も運用もブレてしまいます。
- 納得感を高めたいのか
- 昇給や昇格のルールを明文化したいのか
- 採用や人材戦略で強みを出したいのか
この目的に沿って、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」といった周辺制度との連動も整理します。
全体像を先に見渡すことで、「給与だけが浮いた制度」にならずに済みます。
STEP2:等級・役割・役職ごとの基本給を設計する方法
結論:基本給は“等級×役割”で決まる。構造的な設計が必須。
まず設計するのは、社員のベースとなる基本給です。
ここで重要なのが、等級(グレード)と役職・役割を整理すること。
- 等級:知識・経験・責任範囲による階層区分
- 役割:ポジションごとの役割や業務レベル
- 役職:組織上の地位(主任・課長など)
この3つを軸にして、たとえば「等級2×役職なし」や「等級3×主任」といったマトリクスで基本給を定義します。
ランクごとのレンジも設定し、昇給時の金額調整もスムーズにできるように設計しましょう。
STEP3:評価制度と昇給・賞与連動のルール設計
結論:評価結果を“どう反映するか”が制度の肝。ルール化が不可欠。
評価制度があっても、それが昇給や賞与に直結しなければ、意味を持ちません。
そこで必要になるのが「反映ルール」の設計です。
- 評価ランクごとの昇給率を定める(例:S評価→5,000円、C評価→据え置き)
- 賞与の支給率に評価を反映する(例:通常2ヶ月 → A評価で+0.5ヶ月)
ここで大切なのは、“属人的な判断を排除すること”。
あらかじめルールを設けておけば、評価者のバラつきや不公平感を最小限に抑えられます。
評価結果 → 昇給・賞与へ“自動的に繋がる仕組み”が、制度運用の肝です。
補足:評価や昇給ルールの設計に迷ったら、制度設計の専門家に相談するのもおすすめです。
補足:「評価制度があいまいで昇給ルールに落とし込めない…」とお悩みの方へ。
▶ 中小企業のための人事評価制度ガイド|ゼロから始める設計・導入・運用の手順書
STEP4:役職手当・家族手当など手当制度の種類と設計
結論:手当は“制度に一貫性を持たせる補完パーツ”。乱立は逆効果。
給与テーブルには、基本給とは別に支給する「手当」も含まれます。
代表的な手当の例:
- 役職手当(マネジメント責任への対価)
- 家族手当(扶養人数に応じた補助)
- 通勤手当・住宅手当・資格手当など
ただし、手当をむやみに増やすと制度が複雑化し、管理も難しくなります。
“必要なものを、必要なルールで支給する”ことが大原則。
目的と支給条件を明文化し、「等級」「役職」と整合性が取れるように設計しましょう。
STEP5:モデル賃金表と根拠データの活用方法
結論:“見える化”されたモデル表で社員も会社も納得できる。
制度の透明性を高め、社内説明にも活用できるのがモデル賃金表です。
これは、等級・役職ごとの想定給与をまとめた「目安表」であり、制度の出口にあたります。
- 各グレードの給与レンジを視覚化
- 年収ベースのキャリアパスを提示
- 昇格・昇給の進み方をモデル化
ここで活用すべきは、過去の給与実績・業界相場・地域水準などの根拠データです。
「うちの水準がどれくらいなのか」「競合と比べてどうなのか」を定量的に示すことで、説得力が一気に増します。
STEP6:一貫性と納得感を担保する最終調整の視点
結論:制度は“つくって終わり”じゃない。最後に問うべきは一貫性と納得感。
設計が完了しても、最後に必ずチェックしたいのが制度全体の一貫性と社員の納得感です。
- 評価と昇給がつながっているか?
- 等級と手当が矛盾していないか?
- 社員のキャリアパスと収入推移が明快か?
このステップで制度を“俯瞰”することで、部分最適ではなく全体最適なテーブルになります。
また、社内への説明会やQ&Aの用意も重要。納得を得る努力=制度運用の成功率を左右します。
実務で使える!給与テーブルのテンプレ・Excel活用法

「いちから作るのは大変」「とりあえずひな形が欲しい」──そんな方のために、実務でそのまま使えるExcelテンプレートや自動計算モデルを紹介します。
無料配布されているテンプレや、昇給・賞与のシミュレーションができるExcel設計のポイントを押さえれば、制度の設計・運用がグッとラクになります。
無料で使える賃金表・給与テーブルのExcelテンプレート集
結論:無料テンプレートを活用すれば、作成コストと時間を大幅にカットできる。
まずは、インターネットで無料配布されている賃金表・給与テーブルのExcelテンプレートを活用するのが効率的です。
基本構造がすでに整っており、等級・役職・評価別に金額を入力すればテーブルが完成する形式が多く、初心者にも扱いやすいです。
- 基本給や手当が分かれて記載されたひな形
- 昇給ルールを記入する欄付きのテンプレ
- 自社のルールに応じてカスタマイズ可能なフォーマット
ただし、テンプレのまま使うと自社に合わないケースも。
あくまで「叩き台」として使い、自社制度に合わせて調整することが前提です。
昇給・賞与シミュレーションに役立つ自動計算モデルの紹介
結論:昇給や賞与の金額が自動で試算できれば、設計も説明もラクになる。
給与テーブルを作成するうえで便利なのが、自動計算式付きのExcelモデルです。
昇給幅や賞与支給額を、評価点数や勤続年数などの要素に応じて自動的に計算してくれる仕組みを組み込むことで、制度の透明性と納得感が一気に高まります。
- 評価点に応じた昇給額の自動計算式
- 賞与支給月数の変動に対応した試算表
- 年間人件費の増減シミュレーション
このようなモデルを使えば、「制度変更によってどれくらい人件費が変わるか?」をリアルタイムで可視化できるため、経営層への説明や社内承認もスムーズになります。
Excelでの給与テーブル作成・管理のポイントと注意点
結論:Excel管理は便利だが、属人化・入力ミスには要注意。
Excelは柔軟にカスタマイズできて便利な反面、管理や運用において注意点もあります。特に、複雑な関数やマクロを多用すると、「そのファイルを理解している人しか触れない状態」になりがちです。
- 数式のブラックボックス化による属人化リスク
- 入力ミスが他シートに影響する構造になっている
- バージョン管理・バックアップ体制が曖昧
こうしたリスクを回避するには、「誰が見ても分かる構造」に整えることが大前提です。
- シートごとに役割を明確に分ける
- 数式セルと入力セルを色分けする
- 操作マニュアルやヘルプ欄を作成する
また、組織規模が大きくなったらクラウドシステムへの移行も検討すると、さらに運用が安定します。
補足:テンプレだけで終わらせたくない方へ。自社に最適な設計をサポートするプロによる制度構築支援も好評です。
まとめ|最適な給与テーブルで社員の納得と経営の安定を実現
給与テーブルは、ただの数字の並びではありません。
納得感ある処遇をつくり、社員のモチベーションを高め、経営を安定させる「仕組み」です。
中小企業にとっては、「人材にどう報いるか」を明文化することが、組織の成長・成果に直結する打ち手になります。
- 頑張りが正当に評価されることで、社員の貢献意欲が高まる
- 昇給・昇格のルールが明確になり、離職率が改善される
- 人件費の予測が立ち、経営の意思決定がぶれなくなる
- 採用時にも「給与の根拠」を示すことで信頼を得られる
逆に、制度が曖昧なままでは「なんとなく給与が決まる職場」に。不満が蓄積し、やがて優秀な人材ほど離れていくリスクも高まります。
最適な給与テーブルは、組織と社員の“信頼関係”を数値で支える土台です。
まずは自社の現状に合わせて、小さく設計し、実際に運用しながら調整していきましょう。
「ゼロから設計したい」「評価制度とセットで見直したい」という方は、テンプレートのDLやプロによる無料相談もご活用ください。
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