中小企業に組織図は不要?そんなふうに思っていたら、現場はいつの間にか大混乱。
「誰が何を担当してるのかわからない」「休まれると業務が止まる」「マネージャーなのに部下の業務が見えていない」──。
この記事では、実際に起きた“困った事例”と、それを組織図でどう乗り越えたかの“うまくいった事例”をまとめました。たとえ5人の会社でも、仕組みは未来への投資。今こそ“見える化”の一歩を踏み出しましょう。
組織図がないことで起きた「中小企業あるある」なトラブル事例

「うちはまだ小さい会社だから、組織図なんていらないよ」
そんな声をよく耳にします。でも実際には、小さな組織ほど“誰が何をしているか”が不明確なまま走りがち。結果、現場は混乱、経営者は疲弊…。ここでは、実際に中小企業でよくある“組織図がないゆえのトラブル”を3つ紹介します。
事例①|営業が3人いても対応がバラバラ。属人化した業務の混乱
あるサービス業の会社では、営業が3人いるにも関わらず、同じクライアントに別々の提案をしていたことが発覚。「Aさんには聞いてない」「Bさんに話したのに進んでいない」と、顧客からのクレームが増加。
なぜ起きたか?それは「誰がどの顧客を担当しているのか」が会社として把握されていなかったから。
- 顧客情報が営業担当の頭の中にしかない
- チームで共有する仕組みがない
- 新人が来ても、引き継ぎや説明が曖昧
属人化はスピード感が出る一方で、抜けた瞬間にすべて崩れる“砂上の城”。小さな会社こそ、役割をはっきりさせる仕組みが必要です。
事例②|新人が誰に聞けばいいか分からず、離職リスクに
中途入社した新人が、初日から戸惑った。「請求書ってどこにあるんですか?」「誰に提出すればいいんでしょうか?」
でも周りの人たちは忙しそうで、声をかけづらい。結局、その新人は3か月で辞めてしまいました。
- 誰が何の仕事をしているのか分からない
- 上司・先輩・サポート担当などの線引きがない
- マニュアル以前に“人の配置”が不透明
組織図があれば、「この部署にはこの役割の人がいて、困ったらこの人に聞けばいい」という安心感を与えられます。心理的安全性のベースは、まず“誰がどこにいるか”を示すことからです。
事例③|経営者しか分からない仕事が多く、引き継ぎできない
従業員10名の会社で、社長が入院。1週間後、経理処理・業者対応・鍵の管理までがすべて止まった。
「この取引先のルールは?」「納期調整ってどうしてたっけ?」と、誰も答えられず、現場は混乱。
- 経営者が多くの実務を“抱えていた”
- 誰が何を担当しているのか明文化されていない
- 引き継ぎしようにも、組織や業務の構造が見えない
事業を“自分で回す”から“仕組みで回す”に移行するタイミングで、まず必要なのが組織図です。
原因と共通点|“見える化”されていない組織は、思っているより脆い
これら3つの事例に共通するのは、「人はいるけど、構造がない」という状態。役職がなくても、部門が曖昧でも、組織は回っているように見えます。ですが、いざという時に脆く崩れるのが、“構造のない組織”です。
- 誰がどんな役割を持っているのか分からない
- 伝達・引き継ぎ・育成に時間がかかる
- 経営者が常に“指示を出し続ける”状態から抜け出せない
組織図は「管理のため」ではなく、「現場を自走させるための地図」。見えるからこそ、任せられる。迷わないから、前に進める。
小さな会社ほど、最初に仕組みをつくる意味は大きいのです。
Bay3では仕組み化についての無料相談も行っていますので、
必要な方はお気軽にお問い合わせください。
また、実際の組織図などの資料をお取り寄せになりたい方は、
こちらからお問い合わせください。
逆に、組織図を導入してよかった中小企業の事例
「組織図なんて、大企業の話でしょ」
そんなイメージを持っていた企業が、ざっくりとした図でも“見える化”を始めたことで、現場の混乱が減り、育成や業務改善が一気に加速した。
ここでは、実際に組織図を導入してうまくいった中小企業の事例を紹介します。
事例①|組織図で責任者を明確にしてから、問い合わせ対応が劇的に改善
ある製造業の中小企業では、「クレームの電話、誰が取るの?」状態が日常茶飯事。営業担当・事務・現場リーダーの間で押し付け合いが起き、対応の遅れや二重対応が続いていました。
そこで始めたのが、“ざっくりした組織図”の掲示。
- クレーム・納期・発注など、対応分野ごとに責任者を明記
- 社内で「誰が何を見るか」が明文化され、迷いが激減
- 結果、対応スピードが上がり、クレーム件数が半減
決して完璧な組織図ではなかったけれど、“責任の見える化”はそれだけで効果抜群でした。
事例②|採用・教育・評価の「軸」ができ、新人定着率がアップ
あるサービス業では、毎年のように新人が辞めていく。
原因を探ると「何を求められているのかが分からない」「育成の方針がブレている」といった声が浮かび上がってきました。
そこで、社内に簡易組織図+役割表を導入。
- 職種ごとの役割・責任・評価の基準をセットで可視化
- 教育担当やOJTの役割も組織図上で明記
- 面談や採用時にも“組織でどう成長していくか”を伝えられるように
結果、新人の定着率が1年で30%→85%に上昇。
組織図は、採用後の“安心感”をつくる強力なツールにもなり得ます。
事例③|代表の頭の中を図にしただけで、業務改善のスピードが加速
あるベンチャー企業では、すべての判断が代表に集中しており、現場はいつも「社長に聞かないと分からない」状態。
しかし、代表が手書きで「自分の頭の中の組織図」を描いて壁に貼ったところ、変化が起きました。
- 代表が見ていた理想の体制が“図”で共有される
- 「この仕事、自分がやった方が早い」は卒業
- 各部門の役割が明確になり、現場での意思決定が増えた
組織図をつくること自体が、代表自身の“頭の整理”にもなったと話していました。
中小企業こそ、「ざっくりでいいから形にする」ことが成果に直結する
完璧な組織図なんて、最初から必要ありません。
大事なのは、「誰が何を見るのか」「誰に聞けばいいのか」を社内で共有できる状態をつくること。
- ホワイトボードでも、手描きでもOK
- 月1で見直すだけでも十分
- 1枚の図が、責任・連携・育成の土台になる
中小企業はスピードが命。でも、スピードには“迷わない仕組み”が不可欠です。
だからこそ、まずは“ざっくり組織図”から始めてみてください。
組織図の作り方を確認したい場合は、はじめての組織図づくり完全ガイドも参考にして下さい。
中小企業における組織図のメリット・デメリット比較

メリット|役割・責任が明確になる/人が育つ仕組みになる/引き継ぎや評価もスムーズに
組織図を導入した中小企業の多くが感じている最大の効果は、「役割の明確化」です。
- 誰がどこまでの業務を担うのかが“図で見える”ため、社内の混乱が減少
- 「なんとなく頼まれたからやっている」といった曖昧な仕事が減り、責任の所在がはっきりする
- 管理者とメンバーの関係も図式化されることで、指示系統がスッキリ整理される
- 新人教育の際も、「この業務は誰に聞けばいいか」が可視化されてスムーズ
- さらに、業務の引き継ぎや評価制度設計にも活用でき、人が育つ土台にもなる
「うちはまだ少人数だから…」と思っていた企業でも、5〜10名規模であっても効果が出るケースがほとんどです。
デメリット|変化が多い企業ではすぐ形骸化する/「形を作るだけ」で満足しがち
一方で、導入がうまくいかなかった企業の共通点もあります。
- 人の出入りが激しい企業では、すぐに“組織図が現実とズレる”
- 結果として、「更新されていない形骸化した図」が社内に貼られたままになる
- とりあえず作ったけど、社内共有や運用の仕組みがなかったため定着しなかった
- 「作ること自体が目的化してしまった」ケースも多く、業務改善に結びつかなかったという声も
特に成長フェーズにある企業は、「図の更新をどう仕組み化するか」も重要な視点になります。
仕組み化についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ポイントは「更新前提」で使うこと。100点じゃなくていい
結論、中小企業にとっての組織図は「完璧な設計図」ではなく、変化に対応できる“運用ツール”であることが大切です。
- 最初はざっくりでもOK。大事なのは「社内で共有し、話し合える材料」にすること
- 組織図を朝礼で見せたり、会議でアップデートするだけでも、効果は出る
- スプレッドシートやホワイトボードなど、柔軟なツール選定で“見直せる仕組み”にする
- 「今の形を見える化し、必要に応じて調整する」運用視点が何より重要
小さな会社こそ、「あえて未完成な状態で動かしながら整える」ぐらいがちょうどいい。
100点満点ではなく、60点でも現場が回る図こそ最強の組織図です。
最初の一歩|中小企業でも無理なく始められる組織図の作り方

「組織図って、ちゃんと作らなきゃダメですか?」という声、よく聞きます。
でも大丈夫。最初から完璧な“図”を目指さなくていいんです。
ここでは、「中小企業が無理なく始められる方法」をステップで紹介します。
手順①|いきなり図にしない。「今どんな役割があるか」を書き出す
まず最初にやるべきことは、いきなり図を描くことではありません。
最初にやるのは、むしろ「文字でざっくり整理」すること。
- 誰が何をやっているか?を人別・業務別に書き出してみる
- 「Aさんは営業」「Bさんは経理」だけでなく、細かく分解するのがコツ
- 「誰が見積を出すか」「誰が採用面接してるか」まで細かく出すほど精度アップ
これだけでも、「あれ、同じ業務を3人でやってる?」「この業務、誰も責任者いない?」といった見えなかった課題が浮かび上がります。
手順②|役職・部署ではなく「責任者の線引き」から考える
中小企業では、役職や部署にこだわると逆に混乱することも。
なのでまずは、“責任の所在”を分けることから始めるのがおすすめです。
- 「この業務は◯◯さんが最終判断する」ラインを明確にする
- チームがなくても、「この3つはAさんに任せよう」みたいなまとめ方でOK
- ポイントは、“誰が判断するのか”が曖昧な業務をゼロにすること
名前だけの部長や課長を置くのではなく、「実務に責任を持つ人」を図に落とす感覚で考えると◎。
手順③|図にするならExcelやスプレッドシートでOK
「図にする」と聞くと難しそうですが、使い慣れたExcelやGoogleスプレッドシートで十分です。
- 1人1つのボックスにして、線でつなぐだけ
- 色を分けて部門ごとに整理しても見やすい
- スプレッドシートなら、共有・編集もしやすくて便利
無料テンプレートも活用できますが、最初は手作りでOK。
大事なのは“フォーマット”ではなく、「現場と話せる材料になるかどうか」です。
手順④|1on1や朝礼で共有しながら育てていく
作って終わりではなく、“育てる組織図”として運用するのが中小企業には最適。
- 朝礼や全体会議で図を見ながら「ここ変えた方がいいよね」と話す
- 新しい業務が発生したら、その場で図に加える
- 1on1などでも「この業務、他の人に引き継げそう?」と話題にできる
“完成形”を目指すより、「今の状態を見える化して、現場でブラッシュアップしていく」スタイルが合っています。
組織図は“管理ツール”ではなく、“会話の土台”として使いましょう。
組織図の基本的な作り方からツール、活用法まで総合的に知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
まとめ|“現場で使える”組織図があれば、会社はもっとラクになる
「人数少ないから、組織図はいらない」
「作ってもどうせ形だけでしょ?」
……そんな声、ほんとによく聞きます。
でも実際に“見える化”してみた会社からは、こんな声が続出しています。
本記事のまとめ:よくある課題→図にしたらこう変わった!
- 営業3人がバラバラに対応 → 担当・責任者を整理して対応スピードが倍に!
- 新人が誰に相談すればいいか分からない → 組織図で窓口を明確にして離職率が改善
- 経営者しか分からない業務が多い → 図にしたら引き継ぎが進み、休めるようになった
中小企業にこそ「ざっくりでもいいから図にする」ことが、想像以上に効きます。
完璧じゃなくていい。今の“もやもや”を、まずは形にしてみましょう。
Bay3では、ゼロからの構造づくりを現場目線で伴走しています
「そもそもどこから手をつければ?」
「うちの規模でも意味ある?」
「役職や評価制度も一緒に見直したい」
そんなときは、現場のリアルを分かる外部の視点を入れるのが早道です。
Bay3では、飲食・介護・建設・士業など、様々な業種の中小企業に対して
“ただの組織図づくり”ではなく、「現場で機能する構造づくり」を支援してきました。
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