最終更新日:2026年10月13日 | 執筆:Bay3株式会社 代表取締役 三浦一晃
組織図は、会社の部署と役職、誰が誰に報告し、誰の指示で動くかを1枚にした図です。作り方は5つの手順です。目的と載せる範囲を決め、部署・役職・氏名を集め、型を選んでツールで描き、最後に共有と更新のルールを決めます。
社員10〜100名程度の会社では、図を描く前に「役職ごとに何を決めてよいか」をそろえておくと、相談が社長1人に集まる状態を減らせます。この記事では、経営者と人事の責任者に向けて、組織図の種類、部署と役職の決め方、ExcelやGoogleスプレッドシートでの描き方、運用のポイントまでまとめました。
すぐに書き始めたい方は、Bay3が無料で配っている組織図テンプレート(Excel)に、部門と役職、氏名を入れるだけで組織図ができます。
- 組織図の目的と、体制図・役割分担表との違い
- ピラミッド型・フラット型・マトリックス型など5つの種類と選び方
- 組織図に書く部署と役職の決め方、載せる情報の範囲
- 組織図の作り方の5つの手順と、Excel・スプレッドシートでの描き方
- つくった組織図を会議と評価制度につなげて使い続ける方法
組織図とは、部署と役職、指揮命令の系統を1枚にした図です
組織図とは、会社の部門と役職の配置、上司と部下の関係を線でつないで可視化した図です。社員は自分がどの部署に所属し、誰に報告し、誰から指示を受けるかをすぐに分かります。経営者にとっては、どの部門に何人の従業員がいて、どこに管理職が足りないかを把握し、採用や異動を決めるときの材料になります。
社長がすべての社員と毎日話せる規模のうちは、組織図がなくても業務は回ります。社員が20名、30名と増えてくると、口頭の指示だけでは指揮命令の系統があいまいになり、次の問題が起きやすくなります。
- 同じ依頼を2人の上司から受け、どちらを優先するか現場で決められない
- 部署をまたぐ仕事で、誰に連絡すればよいか分からず対応が遅れる
- 役職はあるのに決める権限が決まっておらず、細かい相談まで社長に集まる
組織図は「誰が誰の上司か」、体制図と役割分担表は「誰が何をするか」を示します
| くらべる点 | 組織図 | 体制図 | 役割分担表 |
|---|---|---|---|
| 示すこと | 部署と役職、上司と部下の関係 | プロジェクトや取引の担当と連絡の流れ | 業務ごとの担当者と決める人 |
| 範囲 | 会社全体 | 特定のプロジェクト・案件 | 部署やチームの業務 |
| 使う場面 | 社内の共有、採用、金融機関や取引先への説明 | 提案書、工事や開発の計画書 | 日々の業務の割り当て、引き継ぎ |
| 見直す時期 | 組織の変更・異動のとき | 案件ごと | 業務の追加・担当の交代のとき |
表1 組織図・体制図・役割分担表の違い
組織図だけでは、同じ部署の中で誰がどの業務を持つかまでは決まりません。業務ごとの担当と責任の範囲は、役割分担表の作り方で書いた表と組み合わせて決めます。
組織図をつくるメリットは、指示の流れと責任の所在がそろうことです
| メリット | 起きる変化 |
|---|---|
| 指揮命令の系統が明確になる | 誰の指示を優先するかで迷わず、報告が上司を飛ばさなくなる |
| 権限が適切に分かれる | 役職ごとに決めてよい範囲を決めると、社長に集中していた判断を管理職に任せられる |
| 人員の配置を検討できる | 部門ごとの人数と管理職1人あたりの部下の数を見て、採用や異動を決められる |
| 部署をまたぐ相談が早くなる | 他部署の担当と連絡先が分かり、相談の相手を探す手間が減る |
| 社外に体制を説明できる | 金融機関・取引先・採用の応募者に、誰が何に責任を持つ会社かを説明しやすくなる |
表2 組織図をつくるメリット
組織図の種類は5つあり、社員10〜100名程度の会社はピラミッド型から始めます
社員10〜100名程度の会社では、営業・業務・管理のように機能ごとに部署を分けたピラミッド型の組織図から始めるのが基本です。上下の関係が1本の線で分かるので、評価をする人と指示を出す人をそろえやすいからです。事業が増えたら事業部制を、プロジェクトの仕事が多いならマトリックス型の要素を加えます。
組織図の型には、階層の深さで分ける見方(ピラミッド型・フラット型)と、部署の分け方で分ける見方(機能別・事業部制・マトリックス型)があります。実際には「機能別に部署を分けたピラミッド型」のように、2つを組み合わせて使います。
| 種類 | 特徴 | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ピラミッド型(階層型) | 社長から部長・課長・メンバーへ上下の階層で並べる | 指示と評価の流れをはっきりさせたい会社 | 階層が多いと意思決定が遅くなる |
| 機能別組織 | 営業・製造・管理など、仕事の機能で部署を分ける | 事業が1つで、専門性を高めたい会社 | 部署の壁ができやすい |
| 事業部制 | 商品や地域ごとに事業部をつくり、権限を任せる | 複数の事業を展開している会社 | 管理部門の機能が事業部ごとに重なる |
| フラット型 | 階層を減らし、社長の下にメンバーが並ぶ | 少人数で、全員が社長と直接話せる会社 | 人数が増えると社長の負担が大きくなる |
| マトリックス型 | 部署とプロジェクトの2つの軸に所属する | 部署をまたぐプロジェクトが多い会社 | 上司が2人になり、指示がぶつかりやすい |
表3 組織図の種類と特徴
どの型を選ぶかは、いまの人数と事業の数、組織図を見せる相手で決めます。フラット型は社長が全員の仕事を見られる人数までの形で、社員が増えてから管理職を置かないままにすると、社長に相談と判断が集中します。マトリックス型を使うときは、評価をする上司を1人に決めておくと、部下が2人の上司の間で迷う問題を防げます。
組織図に書く部署は仕事の機能で分け、役職は決めてよい範囲で順番を決めます
部署は「営業」「業務」「管理」のように仕事の機能ごとに分け、役職は名前より先に、その役職が決めてよいことを決めます。肩書きだけを並べると、部長と課長のどちらが判断するのかが分からない組織図になります。
会社の部署の一覧は、営業・業務・管理・企画の4つを基本に考えます
| 部署の例 | 主な仕事 | 小さな会社でまとめる先 |
|---|---|---|
| 営業部 | 新規の開拓、既存のお客様の対応、見積もり | まとめずに置く |
| 業務部(製造部・サービス部) | 商品やサービスの提供、品質の管理 | まとめずに置く |
| 管理部 | 総務、経理、人事、労務 | 総務部・経理部・人事部を1つの管理部にまとめる |
| 企画部(マーケティング部) | 集客、商品の企画、広報 | 営業部の中のチームにする |
表4 部署の一覧の例
社員が少ないうちは、1人が総務と経理を兼ねるのが普通です。部署を細かく分けすぎず、仕事の機能でグループにまとめ、兼務している人は両方の部署に名前を書いておきます。
役職は、社長・部長・課長・係長・主任の順に、任せる判断を決めて置きます
| 役職の例 | 組織図での位置 | 決めてよいことの例 |
|---|---|---|
| 社長(代表取締役) | いちばん上 | 経営計画、部門の新設、管理職の任命 |
| 取締役 | 社長の下、担当部門の上 | 担当部門の方針と予算 |
| 部長 | 部門の責任者 | 部門の目標の分け方、課長の配置、部門内の異動 |
| 課長 | 部の中の課の責任者 | メンバーの担当の割り当て、日々の判断 |
| 係長・主任 | 課の中のチームのリーダー | 作業の順番、新人への指導 |
表5 会社の役職の順番と、決めてよいことの例(内容は書き方の例です)
役職の名前は会社によって違い、「マネージャー」「リーダー」と呼ぶ会社もあります。名前はどれでも構いません。そろえておきたいのは、役職ごとに決めてよい範囲を社員全員が同じように認識していることです。
社内用には担当業務まで、社外用には部署と役職だけを載せます
| 載せる情報 | 社内用 | 社外用(会社案内・採用ページなど外部に見せるもの) |
|---|---|---|
| 部署名・役職 | 載せる | 載せる |
| 氏名 | 全員載せる | 役員と部門の責任者まで |
| 担当業務・見る数字 | 載せる | 載せない |
| 連絡先・顔写真 | 必要に応じて載せる | 載せない(個人情報) |
表6 社内用と社外用で載せる情報の範囲
組織図の作り方は、目的を決めてから描き、共有と更新のルールまで決める5つの手順です
組織図は、いきなり図形を並べず、目的と範囲を決めて情報を集めてからツールで描きます。先に一覧表のデータを整えておけば、描く作業そのものは短い時間で終わります。次の5つのステップで進めます。
- 目的と載せる範囲を決める:社内の指示の流れを整理するのか、採用や金融機関への説明に使うのかを決め、全社か部門だけか、氏名まで載せるかを決めます。
- 部署・役職・氏名の情報を集める:人事の担当者が社員の情報を収集し、1人を1行にして、所属、役職、直属の上司、兼務を書き出します。実態と違う肩書きや、名前だけで動いていない部署がないかもここで確かめます。
- 組織図の種類を選び、階層を決める:表3を見て型を選び、社長から何段で並べるかを決めます。管理職1人が見る部下の人数が多すぎないかもチェックします。
- ツールで描き、レイアウトを調整する:Excelやスプレッドシートに入力して図にし、図形の大きさと色、線の引き方を統一して完成させます。
- 複数の人で確かめてから共有し、更新のルールを決める:部門の責任者に誤りがないか見てもらい、全員が見られる場所に置きます。更新の担当者とタイミングもこのときに決めます。
手順2の一覧表が、そのまま組織図の元データになります。Googleスプレッドシートで描くときは、1列目に氏名、2列目に上司の氏名の順で並べます(3列目に入れた役職は、図の上にカーソルを置いたときの説明として出ます)。ExcelのSmartArtでは、一覧表の氏名と役職を、図の左に出る文字の入力欄へ貼り付けて使います。
ExcelやPowerPointはSmartArt、Googleスプレッドシートはグラフの「組織図」で描けます
| ツール | 描き方 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| Excel・PowerPoint(Microsoft Office) | 「挿入」タブの「SmartArt」から「階層構造」を選び、組織図の形式を選んで文字を入力する。図形の追加や、サイズ・デザインの変更も同じ画面で操作できる | 印刷や会社案内、提案書に載せる組織図 |
| Googleスプレッドシート | A列に氏名、B列に上司の氏名を入力して範囲を選び、「挿入」→「グラフ」でグラフの種類を「組織図」にする | 社内で共有し、異動のたびに更新する組織図。上司は1人ずつしか付けられず兼務の点線は描けないので、兼務は氏名の横に「(兼)」と書く |
| 人事システム・作図の専用ソフト | 社員のデータから自動で組織図をつくる。入退社の情報と連携できるものもある | 社員が多く、異動や更新の頻度が高い会社 |
表7 ツール別の組織図の作成方法
社員10〜100名程度の会社なら、ExcelかGoogleスプレッドシートで十分です。Bay3の組織図テンプレートは、代表者、営業部・業務部・管理部・企画部の4つの部門の責任者、部門ごとのメンバー(役職と氏名を7名まで)を淡い青のセルに入力する形のExcelで、A3横で印刷できます。部門名・役職・氏名は自由に変更でき、部門ごとのメンバー数と、代表者・部門責任者・メンバーの人数の集計は自動で数えます。「会社名/医院名」の欄があるので、歯科医院でも使えます。
理想の形から描き始めると、いまの実態との差が分からなくなります。まずは自社のいまの体制をそのままテンプレートに入れて1枚完成させ、そこに「この役職に任せたい判断」「足りない管理職」を書き足します。そうすると、次に何から手をつけるかが見えてきます。社外に見せる版は、この社内用の図から部署と役職だけを残せば手間がかかりません。
代表者、4つの部門の責任者、部門ごとのメンバーの役職と氏名を書き込むだけで、A3横の組織図ができます。部門名や役職は自由に書き換えられ、人数は自動で集計されます。
組織図を受け取る見やすく使える組織図にするには、書き方のルールを統一し、変化に備えて余白を残します
見やすい組織図のポイントは、図形と色のルールをそろえ、載せる情報を目的に必要な分だけに絞ることです。あわせて、異動や新しい部署の追加に備えたレイアウトにし、更新する人を1人に決めておくと、図が古くなりません。
- 部署ごとに図形の大きさや色がばらばら
- 連絡先や担当業務まで詰め込み、文字が小さい
- 兼務やプロジェクトの線が引かれていない
- 誰が更新するか決まっておらず、異動が反映されない
- 部署は同じ色、役職は同じ高さの図形に統一する
- 目的に必要な情報だけを載せ、詳細は別の表に置く
- 兼務は点線、プロジェクトは別の枠で示す
- 更新の担当者と更新日が図の下に書いてある
図1 使われなくなる組織図と、使い続けられる組織図
- 図形と余白をそろえる:同じ階層の図形は高さと幅を同じにし、余白の幅もそろえると、階層の関係が視覚的に読み取れます
- 空きを用意しておく:これから採用する役職や新しくつくる部署の位置を空けておくと、人が増えても図を描き直さずに済みます
- 更新のタイミングを決める:異動・入退社・組織の変更があったらその週のうちに反映し、年に1回は全体を見直します
組織図の上では部長がいるのに、実際の判断はすべて社長がしている会社では、社員は結局、社長に聞いてから動くようになります。図と実態がずれているときは、図を直す前に、役職ごとに決めてよいことを決め直します。役職だけあって機能していない状態が組織にもたらす影響は、「名ばかりの役職」が組織を壊す時で書いています。
組織図ができたら、役職ごとに見る数字を書き込み、週次の会議と評価制度につなげます
組織図は、役職ごとに見る数字(KPI)を書き込み、週次の会議と評価制度で活用することで、実際に動く仕組みになります。つくって掲示するだけでは、日々の仕事で開く理由がなく、すぐに古くなります。取引先や金融機関に見せるだけなら、それでも用は足ります。ただ、社内で目標を追うときに開かれなければ、組織図はすぐ実態と合わなくなります。
Bay3は、経営計画から給与までを次の順につなげて設計しています。組織図は、このうち「四半期のKPI」を誰が持つかを決める場所です。
図2 経営計画から評価と給与までのつながりと、組織図の位置
Bay3が6か月で進める支援では、2か月目に部署ごとのKPIを決め、誰がどの数字を見るかを組織図に書き込みます。3か月目には、その数字を担当ごとに週報へ入力し、月曜朝15分の会議で改善策を決めます。役職と見る数字が組織図に書いてあれば、誰が誰を評価し、何を評価項目にするかを決めやすくなります。数字の決め方はKPIの具体例、組織づくり全体の進め方は中小企業の組織づくりで書いています。
三浦がこれまでに支援した歯科医院では、中長期経営計画とあわせて、院内のルール、組織図、役職ごとの役割と見る数字に加えて、Googleスプレッドシートの週報と月曜朝の15分の会議、等級表・個人評価表・給与テーブル・賞与テーブルからなる評価制度をつくりました。評価の基準をはっきりさせた制度の導入から1年で、年商は約2.2倍になりました(数字は支援先からうかがったもので、業績の変化には市場や支援以外の取り組みの影響も含まれます)。
組織図に役職ごとの役割と見る数字まで書いておくと、週報と会議、評価制度を同じ線の上で動かせます。歯科医院の組織図の例は、歯科医院の組織図にまとめています。
組織図の作り方についてよくある質問
社員が10名ほどでも、組織図をつくったほうがよいですか。
つくっておくと、採用で人が増えたときに誰の下に配置するかを迷わずに決められます。少人数のうちは社長の下にメンバーが並ぶ簡単な図で構いません。管理職を置く予定の位置を空けておくと、次に任せる役割を社員も理解しやすくなります。
1人が複数の部署を兼務しているときは、どう書けばよいですか。
主に所属する部署に名前を書き、兼務している部署には点線でつなぐか「(兼)」と記載します。兼務の人の評価をどちらの上司がするかも、組織図の下に書いておくと迷いません。
組織図はどのくらいの頻度で更新すればよいですか。
異動・入退社・部署の新設があったときに、その週のうちに更新します。そのうえで、年度の初めなど年に1回は、組織の形そのものが経営計画に合っているかを見直します。更新する担当者を1人に決め、ファイルを編集できる人もその担当者だけに設定しておきます。誤りに気づいた社員は担当者に伝えて修正してもらう形にすると、図の下に書いた更新日とあわせて、古い図が使われ続けるのを防げます。
組織図をつくっても、細かい相談が社長に集まるのが変わりません。
役職ごとに決めてよい範囲が決まっていないことが多い原因です。表5のように、部長や課長が自分で決めてよいことを書き出して組織図と一緒に共有し、その範囲の相談は上司に戻すようにすると、社長に集まる相談が減っていきます。
まとめ:組織図は、部署と役職の役割を決めてから描き、会議と評価で使い続けます
組織図は、部署と役職、指揮命令の系統を1枚にした図です。目的と範囲を決め、情報を集め、種類を選び、ツールで描き、共有と更新のルールを決める5つの手順でつくります。まずは次の3つから始めてください。
- 社員の所属・役職・直属の上司を1人1行の表に書き出す
- 役職ごとに、決めてよいことと見る数字を決める
- テンプレートで図にし、更新の担当者と更新日を書いて全員が見られる場所に置く
いまの組織図と役職、相談が誰に集まっているかをうかがいながら、部署の分け方、役職ごとに任せる範囲、見る数字の決め方をお伝えします。オンライン(Zoom)で60分です。
無料相談を申し込むBay3の支援内容をもとに構成し、編集部が作成しています。