この記事は、2025年3月24日の日経新聞を基に作成しました。
多能工化・ニューロダイバーシティ・教育の再設計がカギに
働き手が「減る」時代へ、本格突入
日本の労働力は、女性・シニアの就業拡大により一時的に増えていましたが、2025年を境に減少フェーズへ。団塊世代が75歳を迎え、「人手不足」ではなく「人手不在」の局面に入ったと指摘されています。
労働政策研究・研修機構の試算では、2030年には就業者数が現在より減少し、2040年には中国地方1県分に相当する規模(約400万人)を失う見通しです。
解決のカギは「多能工化」と「生産性向上」
新潟県の老舗ホテル「ryugon」を運営する株式会社いせん(湯沢町)では、多能工化(マルチタスク)により従業員一人ひとりの活躍の幅を拡大。業績は20年で8倍に成長し、給与も地域の全産業平均を超える水準を維持しています。
- 76歳のスタッフは「配膳・民謡・講師」の三刀流
- 若手社員は「フロント・予約管理・SNS発信・カフェ接客」など6役を担う
現場では「こき使われている感覚はない」「やりがいを感じる」といった声があり、従業員の定着と成長が両立しています。
多様性の活用も加速、「人を活かす組織」へ
人手が限られるなか、ニューロダイバーシティ(神経的多様性)を重視した採用を行う企業も増加しています。
日立ハイテクでは、発達特性を持つ社員に合わせた明確なコミュニケーション設計により、プログラミングや業務の特性を最大化。障害の有無ではなく「才能と適材適所」で人を活かす姿勢が注目されています。
教育現場でも「人財力」強化への取り組み
人的資本ランキングで日本は67カ国中40位にとどまり、語学力や国際経験の不足が課題に。
熊本県では、TSMC進出に対応し「英語で授業を行う国際クラス」などを導入。子どもたちの語学力と異文化適応力を同時に育成する取り組みが始まっています。
Bay3より補足|企業が今すべき「人財戦略」とは?
労働力が減少するなか、企業が実行できる打ち手は次の3つです:
課題 | 打ち手 |
---|---|
人手不足・定着難 | 多能工化・職域再設計・ルール整備による自走型組織の構築 |
離職・エンゲージメント低下 | 評価制度の見直し・役割定義・理念との接続 |
多様な人材活用 | フィードバック文化・適材適所マネジメント・心理的安全性の醸成 |
この記事に関するご相談・お問合せ
Bay3では、
組織設計(組織図・役割定義)
評価制度の仕組み化
人材定着に向けたルール設計
など、「人を活かす仕組み」のご支援を行っています。
出典
- 日本経済新聞(2025年3月30日朝刊)「人財立国への道」特集
- 労働政策研究・研修機構/IMD/リクルートワークス研究所 調査データ
- Reuters|Japan faces labour crunch despite record employment
(出典リンク)