You are currently viewing 【テンプレート付き】歯科医院で使えるMBO(目標管理)シートと導入手順

「スタッフの頑張りをどう評価すればいいのか分からない」「評価制度があるけれど形骸化している」――そんな悩みを抱える歯科医院は多いものです。
そこで注目されているのが MBO(目標管理)。この記事では、歯科医院にフィットするMBOの基本から導入ステップ、すぐに使える目標管理シートまでを解説します。
読み終わる頃には「うちの医院でも導入できそう」と思える具体的なイメージが持てるはずです。


歯科医院におけるMBO(目標管理)の基本

まずはMBOの全体像を理解しておきましょう。ここを押さえておけば、次に紹介する「よくあるつまずき」もより納得感を持って読めるはずです。

MBOとは?人事評価に活かせる目標管理制度の特徴

MBO(Management by Objectives)は「目標による管理」。
歯科医院では、**業績目標(売上・来院数)+行動目標(接遇・衛生管理)**を組み合わせて評価するのがポイントです。

  • 目標は院長とスタッフが一緒に決める
     → 上から押し付けではなく、納得感を持って取り組める。
  • 目標は数値や行動で測れる形にする
     → 「リコール率90%」「待ち時間5分短縮」など。
  • 定量と定性をバランスよく評価に入れる
     → 売上だけでなく、患者対応や協働性も評価に組み込む。

歯科医院での具体例

  • 歯科衛生士:定期健診リコール率90%以上
     → 患者の継続来院を増やし、安定収益につながります。
  • 受付スタッフ:患者待ち時間を平均5分短縮
     → 来院体験が改善し、患者満足度がアップします。
  • 院長:スタッフ面談を月1回実施
     → コミュニケーションを強化し、課題を早期にキャッチできます。

歯科医院でMBOが必要とされる背景

「院長の主観で評価される」「結局、給与に反映されない」――そんな声は歯科医院では珍しくありません。
特に小規模な医院では、評価が属人化しやすく、不公平感が生まれやすいのです。

中小規模医院ならではの課題

  • 院長が全員を細かく把握できない
     → 評価が感覚的になり、不満や不信感につながります。
  • マネージャー層が育ちにくい
     → 院長がすべてを担うため、育成や仕組みがストップします。
  • 数字目標だけだと衛生士や受付が置き去りになる
     → 売上に直結しない仕事が軽視され、やりがいを失いやすくなります。

こうした現場の課題を解決するために、役割ごとに目標を設計できるMBOが求められています。

こうした評価の属人化や不公平感をなくし、スタッフの定着率を上げるための解決策として、こちらの記事も参考にしてください。

MBO導入がもたらす効果(スタッフ定着・モチベーション向上・業績改

MBOがうまく機能すると、医院全体の空気が大きく変わります。

  • スタッフ定着につながる
     → 「頑張りを認めてもらえる」安心感が離職防止に直結します。
  • モチベーションが上がる
     → 数字だけでなく行動も評価されるため、成長実感を持ちやすいです。
  • 業績が改善する
     → 個人目標と医院全体の方針がリンクし、自然と成果が積み上がります。

効果を出すためのコツ

  • 年1回ではなく四半期ごとに面談する
     → 定期的なフィードバックで制度が形骸化しません。
  • 個人目標を医院全体の計画とリンクさせる
     → 「医院の成長に貢献している」と実感できる仕組みになります。
  • 定性的な評価も数値化する
     → 「患者アンケート」「行動チェックリスト」で曖昧さを防ぎます。

実際の医院での声(例)

  • 「評価が曖昧じゃなくなり、安心して働けるようになった」
     → 公平さが担保されると、スタッフの信頼感が高まります。
  • 「給与とMBOを連動させたら納得感が上がった」
     → 成果と報酬が結びつくことで、やる気につながります。
  • 「面談が習慣化して、院長とスタッフの距離が縮まった」
     → コミュニケーションの質が上がり、チーム力が強化されます。

➡ ここまでで「MBOの基本」と「なぜ必要なのか」「導入効果」までを理解できました。
ただし、制度を入れれば自動的にうまくいくわけではありません。次の章では、歯科医院でよくある目標管理の課題を整理していきます。

疑問や相談事などある時は、いつでもお気軽にご相談ください。

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歯科医院でよくある目標管理の課題

MBOの考え方は魅力的ですが、現場に導入するとさまざまな壁にぶつかります。
ここからは、歯科医院で特につまずきやすい3つの課題を紹介します。

評価基準が曖昧でスタッフの納得感が得られない

評価が主観的だと「結局院長のさじ加減」と受け止められがちです。
同じ業務をしていても「どこを見て評価されるのか」が分からないと、不公平感や不満が募ります。結果としてモチベーションが低下し、離職の原因になることもあります。

目標が形骸化して達成に結びつかない

ありがちなのが「去年の目標をそのままコピペ」「抽象的な文言だけ」というパターン。
これでは日々の行動に落とし込めず、達成感も得られません。MBOが“書類作成の儀式”で終わってしまうと、制度そのものの価値が失われます。

フィードバックや面談が機能せず運用が続かない

せっかく導入しても、面談が年1回の形式的なものだけでは効果が出ません。
日常のフィードバックがないと改善につながらず、「どうせ続かない制度」と認識され、制度そのものが形骸化してしまいます。

➡ ここで見えてきたのは「制度はあっても運用が難しい」という現実です。
では、どうすればMBOを形だけで終わらせず、現場に定着させられるのでしょうか。次の章では、その答えとなるMBOシートのテンプレートと導入ステップを紹介します。

歯科医院で使えるMBOシート【テンプレート付き】

目標シートで、持続可能を形に

ここからは「実際にどうやってMBOを形にすればいいのか」を解説します。
評価の考え方だけでは制度は回りません。日常業務と人事評価をつなげる“シート”を持つことが成功のカギです。
この章では、基本フォーマットから職種別の目標例、作成ステップまで具体的に紹介します。

目標管理シートの基本フォーマット

MBOシートは「目標を決めて終わり」ではなく、計画・実行・振り返りを一枚で回せる構造が理想です。
ベースは下のようなシンプルな形をイメージしてください。

MBOシートの基本項目

  • 氏名/職種/期間:誰がいつの目標を管理するのか明確にする
  • 業績目標(定量):数字で測れる成果(売上・来院数など)
  • 行動目標(定性):態度・行動・患者対応の質など
  • 評価基準/測定方法:どうやって達成度を確認するか
  • 進捗記録/コメント欄:中間面談や自己評価の記録
  • 最終評価/次回への課題:成果と改善点を残して次につなげる

業績目標(売上・来院数などの定量評価)

数字で見える成果は、スタッフの頑張りを一目で評価できる要素です。
歯科医院では特に以下が代表的です。

  • 売上貢献:月間売上、保険点数、自由診療の成約数
  • 来院数:新規患者数、リコール率、キャンセル率の改善
  • 業務効率:1日の処置件数、レセプト処理件数、在庫ロス削減

こうした数字は「達成した/していない」が明確なので、公平性を担保しやすい評価軸になります。


行動目標(接遇・予防指導などの定性評価)

数字に出にくい“行動の質”も評価に入れるのがMBOの特徴です。

  • 接遇スキル:笑顔・挨拶・患者対応の丁寧さ
  • 予防指導:セルフケア指導の実施率、説明のわかりやすさ
  • チームワーク:他職種との連携、報連相のスピード
  • 主体性:改善提案の回数、研修参加の姿勢

評価の難しい要素は「チェックリスト化」や「患者アンケート」を使って定量化すると、曖昧さが減ります。


歯科衛生士・助手・受付など職種別の例

役割ごとに評価の軸を分けることで、「誰が見ても納得できる」評価に近づきます。

  • 歯科衛生士
     業績目標:リコール率90%以上/SRP実施件数
     行動目標:患者への予防指導満足度アンケート80%以上
  • 歯科助手
     業績目標:滅菌・準備の遅延ゼロ/在庫管理ミスゼロ
     行動目標:診療中のサポート対応スピード/患者さんへの声かけ
  • 受付スタッフ
     業績目標:予約変更率△%以下/会計処理ミスゼロ
     行動目標:電話応対の印象向上/待合室での患者対応の丁寧さ

職種別にカスタマイズされたシートがあると「自分はどう頑張ればいいのか」がはっきりします。

目標設定のステップ(SMART原則に基づく作成方法)

目標は「SMART」で作るとブレません。

  • S(Specific)具体的に:「患者説明をがんばる」ではなく「毎回セルフケア指導を実施する」
  • M(Measurable)測定可能に:「待ち時間を5分短縮」など数字で確認できる形に
  • A(Achievable)達成可能に:現実的で努力すれば届くレベルに設定
  • R(Relevant)医院方針と関連:医院全体の目標(例:予防重視)とリンクさせる
  • T(Time-bound)期限を設定:「3か月以内に」などゴールを明確にする

SMARTに沿って作れば、「頑張ったつもり」ではなく実際の行動変化につながります。

実際に使えるサンプル項目(予防管理・患者満足度・業務改善など)

最後に「すぐに使える項目例」をまとめました。シート作成の叩き台にしてみてください。

  • 予防管理:リコール予約率85%以上、フッ素塗布率○%
  • 患者満足度:アンケート「丁寧さ」項目で平均4.5以上
  • 業務改善:在庫棚卸しミスゼロ、物品発注の納期遅延ゼロ
  • 接遇品質:初診患者アンケートで「安心感」を得点化
  • チームワーク:月1回のスタッフミーティングで改善提案を1件以上出す

📑 歯科医院向け MBO評価テンプレート(職種別・スコアリング方式)

1. 歯科衛生士用

評価項目定量/定性評価基準例配点(100点満点)評価方法
リコール率定量90%以上で満点20点レセコン集計
PMTC/SRP実施件数定量月50件以上で満点20点実績表
予防指導スキル定性患者アンケート平均4.5以上20点アンケート/院長観察
チームワーク定性報連相・協力姿勢が安定している20点院長/先輩評価
接遇(説明・笑顔)定性チェックリスト80点以上20点院長観察

2. 歯科助手用

評価項目定量/定性評価基準例配点評価方法
器具準備・滅菌定量遅延・ミスゼロで満点20点チェックリスト
在庫管理定量月間在庫ミスゼロ20点在庫台帳
診療サポートスピード定性医師アンケートで80点以上20点医師フィードバック
患者対応定性声かけ・案内の丁寧さ20点院長/スタッフ評価
改善提案定性月1件以上提案で満点20点会議記録

3. 受付スタッフ用

評価項目定量/定性評価基準例配点評価方法
予約管理定量予約変更率5%以下20点予約システム集計
会計処理定量ミスゼロで満点20点会計記録
電話応対定性チェックリスト80点以上20点院長/患者アンケート
患者満足度定性待合室対応で平均4.5以上20点アンケート
チームワーク定性他職種との連携が円滑20点院長評価

評価運用の仕組み

  • 各職種 5項目 × 各20点 = 合計100点
  • 80点以上:昇給・賞与加点対象
  • 60〜79点:現状維持
  • 59点以下:改善指導対象

役割ごとに評価の軸を分けることで、より納得感のある評価になります。職種別の評価項目については、こちらの記事も併せて確認してみましょう。

MBOを効果的に運用するための導入手順

MBOはシートを配布するだけでは動きません。導入の段階で「誰が何を担うか」「どうやって回すか」を決めておくことが大切です。ここでは、歯科医院で無理なく回せる導入の流れを解説します。

導入前に押さえるべきポイント(院長・マネージャーの役割)

  • 院長の役割:医院全体の方向性を示すこと。たとえば「予防重視の医院にする」など大きな方針を伝える。
  • マネージャーやリーダーの役割:その方針を現場の言葉に落とし込み、各職種の目標を一緒に作ること。

👉 院長がトップダウンでゴールを示し、マネージャーがボトムアップで日常の業務に落とす。この二段構えが成功のカギです。


目標設定 → 中間フィードバック → 最終評価の流れ

MBOは「立てる・振り返る・評価する」のサイクルが命です。

  1. 目標設定
     SMART原則で具体的に設定。例:「リコール率90%以上」など。
  2. 中間フィードバック
     月1回や四半期ごとに面談を行い、達成度を確認。小さな改善を積み上げる。
  3. 最終評価
     期末に点数化し、給与や賞与に反映する。成果だけでなく行動面も振り返る。

👉 「中間フィードバック」を入れることで、目標が形骸化せず、実際の行動改善につながります。

サポートが欲しい場合はご遠慮無くご相談ください。

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評価結果と給与テーブル・人事評価制度の連動

評価は給与に直結しなければ、スタッフの納得感が生まれません。

  • 評価点数を給与テーブルにリンクさせる
     → 例:80点以上は昇給対象、60~79点は現状維持
  • 賞与の一部をMBOスコアで決定する
     → 成果と報酬のつながりを実感できる

👉 「評価は給与と関係ない」と思われた瞬間に制度は機能しなくなります。必ず人事制度とつなげてください。

給与への反映方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。


会議・面談を通じた定期的な進捗確認の仕組み

  • 月次ミーティング:全体の目標進捗を共有し、チーム感を出す
  • 個別面談:院長やマネージャーがスタッフと一対一で状況を確認
  • フィードバックの見える化:シートにコメントを残し、後からも振り返れるようにする

👉 面談や会議を仕組みに組み込むことで、「やりっぱなし」にならず制度が継続します。

歯科医院でMBOを定着させるコツ

人差し指を立てる笑顔の女性

MBOは導入するだけでは形骸化します。長く続けるには「現場に馴染ませる仕組み」と「やって良かったと思える実感」が欠かせません。ここでは、医院で無理なく定着させるためのコツを具体的に紹介します。


小さな成功体験を積ませる運用

制度を始めた最初のうちは「とりあえず達成できそうな目標」から設定するのがおすすめです。

  • 例:衛生士 → 「1か月でセルフケア指導を10件実施」
  • 例:受付 → 「予約変更時に患者へフォローコールを100%実施」
  • 例:助手 → 「滅菌・準備の遅延ゼロを1週間継続」

こうした小さな成功体験を積むことで、「この制度って役に立つ」とスタッフが体感できます。
👉 スタートダッシュは“頑張れば届く目標”で信頼をつかむのがコツ。


院長とスタッフの双方向コミュニケーション

評価を“一方通行”にすると制度は嫌われます。
スタッフ自身が「どう評価されたいか」「どんな目標に挑戦したいか」を語れる場を用意すると、納得感が一気に高まります。

  • 自己評価シートを記入してから面談
  • 院長はコメントよりも“問いかけ”を意識(例:「どう工夫した?」)
  • 良い点を必ず一つ褒める → 改善提案を伝える

👉 評価は点数付けではなく“対話のきっかけ”。 ここを意識するだけで制度の空気感が変わります。


評価シートの見える化と透明性の確保

「結局どうやって決まったのか分からない」と思われた瞬間に制度は崩れます。
シートをオープンにし、評価基準や進捗が誰でも確認できるようにすると、信頼感が生まれます。

  • 全員共通のフォーマットを使う → 「誰だけ特別扱いされている」と思われない
  • 目標進捗をスタッフ会議で共有 → チーム全体で意識が高まる
  • 院長コメントをシートに残す → 面談内容が記録に残ると振り返りやすい

👉 透明性は制度の“命”。評価をオープンにするほど納得感は増します。


外部コンサルや人事制度設計の活用事例

自院だけで制度を作ろうとすると、どうしても「なんとなく」で決めてしまいがちです。外部の専門家を入れると、評価基準や給与テーブルまでしっかり仕組み化できます。

  • 例:外部支援を活用した医院
     → 評価シートを整理し、給与に連動させるまで仕組み化。半年でスタッフ定着率が改善。
  • メリット:客観的な視点で基準を設定できる/運用のルール化が早い
  • デメリット:費用はかかるが、長期的には離職コスト削減で回収できる

👉 「内部だけでは難しい」と感じたら、外部の力を借りるのも前向きな選択肢。

➡ こうして「小さな成功 → 対話 → 透明性 → 外部支援」の流れを仕込むと、制度はただの紙切れではなく医院文化に根付きます。

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まとめ|MBOで歯科医院の評価制度をアップデート

MBOを導入すると、評価制度は“紙のルール”から“現場を動かす仕組み”に変わります。
最後にこの記事のポイントを整理しましょう。

スタッフが辞めない環境づくりにつながるMBO活用

  • 頑張りが見える化されることで、スタッフの安心感と定着率が向上
  • 離職防止は新しい採用コストの削減にもつながる
  • 働きやすい医院は、患者さんからも「雰囲気がいい」と選ばれる

公平で納得感のある評価基準の実現

  • 数字(定量評価)+行動(定性評価) の両面から判断できる
  • 誰が評価しても結果がブレないことで、不満が減る
  • 「どう頑張れば評価されるのか」が明確になり、やる気が続く

まずはMBOシートのテンプレートから始めよう

  • 完璧を目指さず、まずは テンプレートをそのまま使ってトライ
  • 小さな成功体験を積み重ねれば、自然と医院文化に根付く
  • 制度は「導入して終わり」ではなく、運用・改善して定着させることが大切

👉 「でも実際に自院でやるとなると不安…」という院長先生も多いはずです。
Bay3では 評価制度設計 × 給与テーブル構築 × 現場運用の伴走支援 をまとめてサポートしています。

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