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ROE(自己資本利益率)の基本を図解で紹介。中小企業経営における「高燃費経営」とは?

この記事は、2025年4月19日の日経新聞の記事を基に作成しました。

車を買うとき、多くの人が「燃費が良いかどうか」を重視しますよね。
同じように、投資家が企業を評価するときにも、「少ないお金でたくさんの利益を出しているかどうか」が注目されます。

このような企業の“経営効率”を測る指標として使われているのが、ROE(アール・オー・イー)=自己資本利益率です。


ROEとは?どんな計算式?

ROEとは、「自己資本」を使って、どれくらい「利益」を出せているかを見る数字です。
計算式はとてもシンプルです。

ROE(%)= 純利益 ÷ 自己資本 × 100

この数字が高ければ高いほど、「お金を上手に使ってしっかり儲けている会社」と評価されます。


具体例で見てみましょう

ここで、実際の数字を使って考えてみましょう。

ある企業が、

  • 自己資本:100億円
  • 純利益:5億円

という状態だったとします。
この場合、ROEは「5 ÷ 100 × 100」= 5% になります。

では、純利益が10億円に増えたらどうなるでしょうか?

ROE = 10 ÷ 100 × 100 = 10%

利益が増えれば、その分ROEも上がることがわかります。


でも「利益をため込む」だけではダメ?

ここで気をつけたいのは、「利益を出したあと、それをどう扱うか」という点です。

たとえば、その10億円の利益を会社が使わずにため込んだとしましょう。
すると、翌年の自己資本は110億円に増えます。

翌年も10億円の利益を出した場合、ROEはどうなるでしょうか?

10 ÷ 110 × 100 = 約9%

つまり、利益を上げてもそれをずっと社内にため込んでいると、ROEが下がってしまうことがあるのです。


ROEを高めるには、2つの方法があります

ROEを継続的に高く保つためには、2つのアプローチがあります。

① 利益を増やす(分子を大きくする)

売上を伸ばす、コストを削減する、新たなサービスや商品を展開する。
このように、事業そのものを成長させることによって利益を増やしていく方法です。

② 自己資本を適正にする(分母を調整する)

配当金として株主にお金を返したり、自社株を買い戻したりすることで、自己資本を必要以上に膨らませない工夫も重要です。


なぜ「8%以上」が目安とされるの?

2014年に経済産業省が発表した「伊藤レポート」では、ROEは8%以上が望ましい水準だと提言されました。
この影響で、多くの企業がROEを経営の目標指標として設定するようになりました。


高ROEを掲げる企業は、投資家から注目されます

実際に、トヨタ自動車はROEを20%に引き上げる方針を掲げ、
この報道を受けて株価が2日間で10%以上も上昇したという例もあります。


一方で、ROEが低いと投資家からの評価は厳しくなります

たとえば、江崎グリコは中期経営計画で「ROEを6~8%」と設定しました。
これに対し、「以前は8%以上と言っていたのに下がっている」として、
米国のアクティビスト投資家(物言う株主)から反発を受けました。

結果的にその株主提案は否決されましたが、ROEの数字が株主との信頼関係に直結することがはっきりと表れた出来事です。


ROEは「経営の効率性」を表す指標

ROEが優れている企業は、売上高や株価などの他の指標に比べて、より本質的な経営の実力を示しているとも言えます。
そのため、景気の変動や外部環境の影響があっても、ROEの高い企業は「安定して利益を生み出す力がある」と評価されやすいのです。


まとめ:ROEは“儲ける力 × お金の使い方”

ROEは単なる数字ではなく、企業の「経営センス」や「資本の活かし方」が見える指標です。

  • どれだけ儲けているか(利益)
  • どれだけムダなくお金を使っているか(自己資本の効率)

この両方をバランスよく実践している企業こそ、「燃費の良い経営」をしている会社だと言えるでしょう。


次に企業の決算や中期経営計画を見るとき、ぜひ「ROE」という数字にも注目してみてください。
数字が苦手でも、“経営のうまさ”が見えてくるはずです。

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