最終更新日:2026年10月10日 | 執筆:Bay3株式会社 代表取締役 三浦一晃
役割分担表とは、誰がどの業務を担当し、どこまでを自分で決めてよいかを一覧にした表です。組織図が「誰が誰の上司か」を示すのに対して、役割分担表は「誰が何をするか」を示します。
つくるときは、先に業務を洗い出してから担当と決める人を割り当て、組織図と同じ場所で共有して、定期的に更新します。この記事では、社員10〜100名程度の会社の経営者とリーダーに向けて、役割分担表に書く項目、作り方の5つの手順、分担を決めるコツと運用の注意点をまとめました。
業務の洗い出しから始めたい方は、Bay3が無料で配っている生成AI 業務の棚卸しシート(Excel)を使うと、部署ごとの業務と時間を1つの表に書き出せます。
- 役割分担表の意味と、組織図との違い
- 役割分担表をつくるメリット
- 役割分担表に書く項目と、記入例
- 役割分担表の作り方の5つの手順と、分担を決めるコツ
- つくったあとに運用を続けるための注意点
役割分担表とは、誰がどの業務を担当し、どこまで決めてよいかを一覧にした表です
役割分担表は、チームの業務を1行に1つずつ並べ、担当者・副担当・決める人(その業務の責任者)を一目で分かるようにした表です。業務分担表やタスクの分担表と呼ぶ会社もあります。プロジェクトやイベントのように期間が決まった仕事でも、毎月の定常業務でも使えます。
社長やリーダーが現場の状況をすべて把握しているうちは、役割分担表がなくても仕事は回ります。社員が20名、30名と増えて組織の規模が大きくなると、口頭の指示だけでは担当があいまいになり、次のような問題が起きやすくなります。
- 同じ問い合わせに2人が対応し、お客様に別々の回答をしてしまう
- 誰も担当していない業務が見落とされ、締め日の直前に気づく
- 担当者が休んだり退職したりすると、業務の進め方を知る人がいない
役割分担表は、業務ごとの担当と責任の範囲を定義して可視化し、こうした問題を防ぐための道具です。チームの体制が変わるたびに更新すれば、誰が何をしているかを全員が正確に把握できます。
組織図は上下の関係、役割分担表は担当と責任の範囲を示します
| くらべる点 | 組織図 | 役割分担表 |
|---|---|---|
| 示すこと | 部署と役職、誰が誰に報告するか | 業務ごとの担当者と決める人(責任者) |
| 単位 | 人と部署 | 業務(作業・タスク) |
| 答えられる問い | この人の上司は誰か | この仕事は誰がやり、誰が決めるか |
| 見直しの頻度 | 組織の変更や異動のとき | 業務の追加・変更、担当の交代のとき |
表1 組織図と役割分担表の違い
組織図だけでは、同じ部署の中で誰が何をするかまでは決まりません。2つを一緒に使うと、上下の関係と業務の担当の両方がそろいます。組織図そのものの作り方は組織図の作り方で書いています。
役割分担表をつくると、仕事の抜けと重なり、属人化が見えるようになります
役割分担表をつくる効果は、業務の担当と責任を全員が同じ表で確かめられるようになることです。表にすると、同じ仕事を2人がしている業務や、誰もしていない業務が発生していることに、行を見比べるだけで気づけます。
| メリット | 起きる変化 |
|---|---|
| 責任の所在が明確になる | トラブルが起きたときに、誰が対応し、誰が判断するかで迷わない |
| 業務の抜けと重なりが見える | 担当のいない業務や、複数の人が同じ作業をしている業務を見つけられる |
| 負担の偏りが分かる | 1人に業務が集中していないかを確かめ、人員の配置を調整できる |
| 属人化を防げる | 止まると困る業務に副担当を決めておけば、担当者が休んでも退職しても、お客様へのサービスの提供が止まらない |
| メンバーどうしで助け合える | 締め日の前に1人に作業が集まっていることが表で分かり、周りがサポートに入れる。副担当を決めておけば、休みの日のフォローの体制も強化できる |
| 指示と報告が円滑になる | リーダーは誰に指示し誰から報告を受けるかを表で確かめられるので、同じ指示を2人に出すようなコミュニケーションの行き違いを防止できる |
| 生産性が向上する | 2人が別々に作っていた同じ集計を1人にまとめるなど、重なった作業をやめた分の人のリソースをほかの業務に回せる |
表2 役割分担表をつくるメリット
- 新しく入ったメンバーも、表を見れば自分の役割と、困ったときに誰に連絡すればよいかを理解できます
- 担当と見る数字が表に書いてあると、週次の会議で本人が自分の数字を説明する場面ができ、任された仕事だという意識を持ちやすくなります
役割分担表に書く項目は、業務・担当者・副担当・決める人・期限・見る数字の6つです
役割分担表の基本の項目は、業務の名前、担当者、副担当、決める人、期限や頻度、見る数字の6つです。項目を増やしすぎると入力と更新が負担になるので、最初はこの6つから始めます。
| 項目 | 書く内容 | 記載のポイント |
|---|---|---|
| 業務 | 担当する仕事の名前 | 誰が読んでも同じ作業を思い浮かべる細かさで書く |
| 担当者 | 実際に作業をする人 | 1つの業務に主担当は1人 |
| 副担当 | 主担当が休むときに代わる人 | 属人化を防ぐため、止まると困る業務には置く |
| 決める人 | その業務で判断し、結果に責任を持つ人 | 担当者が自分で決めてよい範囲もあわせて書く |
| 期限・頻度 | いつまでに、どのくらいの頻度でするか | 毎日・毎週・毎月など。締め日がある業務は期限を設定する |
| 見る数字 | その業務がうまくいっているかを確かめる数字 | 件数・時間・ミスの数など、毎週確かめられるもの |
表3 役割分担表の基本の項目
社員10名ほどの会社の営業チームなら、次のように書きます。
| 業務 | 担当者 | 副担当 | 決める人 | 頻度 | 見る数字 |
|---|---|---|---|---|---|
| 新規の問い合わせへの返信 | Aさん | Bさん | Aさん | 毎日 | 返信までの時間 |
| 見積書の作成 | Bさん | Aさん | リーダー(一定額を超える値引き) | 随時 | 見積から受注までの割合 |
| 週次の売上報告 | リーダー | Aさん | リーダー | 毎週月曜 | 売上と目標の差 |
| 請求書の発行 | Cさん | Bさん | Cさん | 毎月25日 | 発行の遅れの件数 |
表4 役割分担表の記入例(内容は書き方の例です)
最初から全部の業務を書き出そうとすると、作成に時間がかかり、導入が止まります。まずは次の3種類の業務をリストにし、運用しながら足していきます。
- 毎月決まって発生する業務
- ミスが起きたときの影響が大きい業務
- 1人しかやり方を知らない業務
表はエクセルやスプレッドシートでつくれます
社員10〜100名程度の会社なら、役割分担表はエクセルやGoogleスプレッドシートで十分です。表3の項目を列にし、1行に1つの業務を書きます。担当者の列で絞り込む機能を活用すれば、人ごとの業務の一覧にもなります。プロジェクトの進行やスケジュールまで同じ場所で管理したい場合は、タスク管理のツールを使う方法もあります。
相談先と報告先まで決めるならRACI、期限まで管理するならガントチャートの形式を使います
プロジェクトのように関わる人が多い仕事では、業務ごとに実行する人(R)、最終的な責任を持つ人(A)、相談を受ける人(C)、結果の報告を受ける人(I)を割り当てる、RACIと呼ばれる形式が使われます。Aは1つの業務に1人と決めるのが原則で、この記事の「決める人」にあたります。業務を縦に、日付を横に並べ、開始日から期限日までを横棒で示すのがガントチャートで、作業の順番や重なりを見たいプロジェクトに向いています。社員10〜100名程度の会社の定常業務なら、表3のように「担当者」と「決める人」を書けば足りることが多くあります。
役割分担表は、業務を先に洗い出し、担当と決める人を割り当てる5つの手順でつくります
役割分担表は、担当を決める前に業務を書き出し、いまの担当者と時間を記録してから割り当て直します。いまの担当者は記録として残し、誰に任せるかは業務を整理したあとで決め直すと、抜けと偏りを見落としません。次の5つのステップで進めます。
- 業務を洗い出す:部署ごとに、定期的にしている業務を仕事の流れ(業務フロー)の順に書き出し、1回の時間と月の回数を記録します。
- 業務を整理して優先順位をつける:似た業務をまとめ、やめる業務を決めます。大きすぎる業務は細分して、1行に1業務の大きさにそろえます。
- 担当者と副担当を割り当てる:スキルと経験、いまの負担を考慮して、1業務に主担当を1人決めます。
- 決める人と範囲、見る数字を決める:担当者が自分で決めてよいことと、リーダーや経営者に相談することを分けます。見る数字は、部署のKPIのうちその業務の担当者が毎週動かせるものを選び、止まると困る業務から入れます。
- 表を共有し、定期的に更新する:全員が見られる場所に置き、異動や業務の変更があったら更新します。
「決める人」の欄には、担当者が自分で決めてよい範囲を、金額や相手、取り消せるかどうかで書きます。たとえば「値引きは自社で決めた金額までは担当者、超えるときはリーダー」「お客様への納期の約束はリーダー」「社内の資料の書式は担当者」のように書くと、相談せずに動ける範囲が担当者に分かります。表4の「一定額」には、自社の金額を書いてください。ここで決めた担当と見る数字は、評価制度をつくるときに評価項目の材料になります。Bay3が6か月で進める支援の例でも、5か月目に週報のデータを評価に使い、給与と賞与につなげる設計をします。評価項目の決め方は人事評価制度の作り方で書いています。
手順1では、Bay3の生成AI 業務の棚卸しシートが使えます。部署・業務・1回の時間・月の回数を入れると、月の時間が自動で出ます。シートには担当者の列がないので、列を1つ足していまの担当者を書けば、人ごとの月の時間を合計して、誰に時間が集中しているかをデータで確かめられます。減らせる見込みと始めやすさを入れると、生成AIで効率化しやすい業務の順位も出るので、手順2でやめる業務を決めるときの材料にもなります。
図1 業務の洗い出しから担当と決める人を決めるまでの流れ
業務の書き出し方は、仕組み化のやり方でも手順ごとに説明しています。
部署ごとの業務と1回の時間・月の回数を入れると、月の時間が自動で出ます。生成AIで減らせる見込みと始めやすさを入れると、手をつける順位も出ます。担当者の列を1つ足せば、役割分担表をつくる前の業務の洗い出しに使えます。
シートを受け取る分担は、仕事量の偏りとスキルを見て、本人と話して決めます
役割の割り当ては、人ごとの仕事量とスキルを並べて見て、無理のない分担になるよう本人と話して決めます。リーダーが一方的に決めると、担当者が業務の目的を理解しないまま進み、遅延や連絡の漏れが起きやすくなります。
| コツ | やること |
|---|---|
| 仕事量を時間で比べる | 人ごとの月の時間を合計し、特定の人に集中していないかを確かめる |
| 決める人は1業務1人にする | 決める人が複数いる業務は、誰も決めない業務になりやすいので1人に絞る |
| スキルと育成の両方を考える | 得意な人に任せるだけでなく、経験を積ませたい人を副担当に置く |
| 雑務も担当を決める | 電話の一次対応や備品の発注など、名前のない仕事も表に入れ、偏るものは交代制にする |
| 余裕を残す | 急な対応や新しい業務の追加に備え、全員の予定を埋め切らない |
| 本人の希望を聞く | 担当したい仕事と苦手な仕事を聞き、本人の期待と会社の都合をすり合わせてから決める |
表5 役割の分担を決めるコツ
業務ごとに責任者と実行者を決める進め方は、中小企業の組織づくりでも書いています。
人の配置を検討するときは、次の順で考えると、偏りの少ない分担になります。
- 専門の知識や資格が必要な業務を、できる人に先に割り当てる
- 残りの業務を、人ごとの月の時間がそろうよう適切に配分する
- 経験を積ませたい人を副担当に置き、半年ほどで主担当に切り替える
リーダーが自分の担当業務を多く抱えたまま役割分担表をつくると、部下への指示とフォローに使う時間が残らず、チーム全体の仕事が遅れるリスクがあります。リーダーの業務量も同じ表で数え、マネジメントに使う時間を先に確保してから現場の業務を割り当てます。プレイングマネージャーの業務の分け方はプレイングマネージャーの限界でまとめています。
役割分担表は、組織図と週次の会議で使い続けて、変更があればその週のうちに書き直します
役割分担表は組織図と一緒に共有し、週次の会議で開いて進捗と担当を確かめます。表を書き換えるのは異動や業務の変更があったときで、全体の見直しは半年に1回にします。表の更新を継続できるよう、次のことを決めておきます。
- 置き場所を1つに決める:社内の共有フォルダやクラウドのスプレッドシートなど、全員がすぐ開ける環境に置きます。表を書き換えるのは更新の担当1人に絞り、ほかの人は見るだけの操作にしておきます
- 変化があったら更新する:異動・入退社・業務の追加と変更があったら内容を表に反映し、更新日を書いておきます
- 部署をまたぐ業務は相手も書く:受注から請求までのように複数の部署が関わる業務は、連携する部署の担当者も書いておきます
- 定期的に見直す:半年に1回ほど見直しを実施し、表と実際の分担がずれていないかをチェックして、偏りを調整します
| 場面 | 役割分担表の使い方 |
|---|---|
| 週次の会議 | 目標の達成に向けて、届いていない数字の担当者を表で確かめ、誰が・何を・いつまでにやるかを決める |
| 新しい業務が入ったとき | 表に追加し、担当者と決める人を割り当ててから仕事を開始する |
| 担当者の休み・退職 | 副担当が引き継ぎ、手順書と連絡先を確かめる |
表6 役割分担表を使う場面
Bay3が6か月で進める支援の例では、2か月目に部署ごとのKPIを決め、誰がどの数字を見るかを組織図に書き込みます。3か月目には、担当ごとに数字を週報に入力し、月曜朝15分の会議で改善策を決めます。役割分担表の「見る数字」を組織図の数字の担当とそろえておくと、週報に入力する人と会議で説明する人が同じになり、誰に聞けばよいかの認識がメンバーの間でずれません。会議で決めたことを「誰が・何を・いつまでに」で記録する方法は、中小企業の会議の改善で書いています。
これまでに支援した広告代理店では、評価制度の構築と運用に加えて採用戦略を見直し、必要な人数と配置を決めました。社員の目線がそろって判断の速い組織になり、適切な人員配置もできるようになりました。評価制度の導入から1年半で、年商は約2.7倍になっています(数字は支援先からうかがったもので、業績の変化には市場や支援以外の取り組みの影響も含まれます)。Bay3の事例ページには、歯科医院(医療法人)の院長の次の声も載せています。「以前は院内の決定事項がすべて院長である僕のところへ相談に来ていたのですが、組織化されたことで各役職ごとに案が出て、上司がそれを修正し、質の高い状態で最終決定できるようになりました。スタッフたちの能力の高さにも日々気づかされます。」
役割分担表の「決める人」の列に、担当者が決めてよい範囲まで書いておくと、相談が社長や院長1人に集まる状態を減らせます。
役割分担表についてよくある質問
役割分担表と業務分担表は違うものですか。
ほぼ同じ意味で使われています。分けて使う会社では、業務分担表は業務を1行ずつ並べて担当者を書いた表を、役割分担表はプロジェクトの役割(進行役、広報など)を並べて担当者と受け持つ範囲を書いた表を指します。社員10〜100名程度の会社の定常業務では、この記事の表のように業務を1行ずつ並べ、担当者と決める人を書く形が使いやすいです。
役割分担表の項目は、どこまで細かく書けばよいですか。
誰が読んでも同じ作業を思い浮かべる細かさが目安です。「営業」のように大きくまとめると担当と責任の範囲があいまいになり、1つひとつの作業まで分けると更新が続きません。迷ったら、1つの業務が1人で完了できる単位で書きます。
役割分担表のテンプレートはありますか。
この記事の表3の項目(業務・担当者・副担当・決める人・期限や頻度・見る数字)を列にすれば、そのまま使えます。業務の洗い出しから始める場合は、Bay3の生成AI 業務の棚卸しシートで業務と時間を書き出してから、担当者の列を足していくと簡単です。
担当を決めても、結局リーダーに仕事が戻ってきてしまいます。
この課題は、担当者が自分で決めてよい範囲が決まっていないときに起きます。「決める人」の列に、担当者が判断してよいことと、リーダーに上げることを具体的に書き分けると、確認のための相談が減っていきます。
まとめ:役割分担表は、業務を洗い出してから担当と決める人を書きます
役割分担表は、誰がどの業務を担当し、どこまで決めてよいかを一覧にした表です。組織図と一緒に使い、週次の会議で確かめながら更新すると、仕事の抜けと偏り、属人化を防げます。まずは次の3つから始めてください。
- 部署ごとに、定期的にしている業務と1回の時間・月の回数を書き出す
- 業務ごとに担当者と決める人を1人ずつ割り当て、止まると困る業務には副担当を置く
- 表を全員が見られる場所に置き、更新する担当と見直しの時期を決める
いまの組織図と業務の分担をうかがいながら、役職ごとの役割、任せる範囲、見る数字の決め方をお伝えします。オンライン(Zoom)で60分です。
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