最終更新日:2026年10月23日 | 執筆:Bay3株式会社 代表取締役 三浦一晃
人事評価の評価項目は、成果・行動・能力の3つに分けて候補を出し、そこから「本人の行動で動かせる」「毎週の記録に残る」「今期の会社の目標につながる」の3つの条件を通ったものだけを残すと、自社で使える形になります。ネットで見つかる評価項目の一覧は候補を出す段階では役に立ちますが、「責任感」「協調性」のような言葉をそのまま写すと、上司によって点数の付け方がばらばらになります。項目を入れて点数まで計算できる形で始めたい場合は、Bay3が配っている評価シート テンプレート(Excel)を手元に開いておくと、表1〜表4の例を自社の項目に置き換えながら読み進められます。
評価項目の一覧を見比べていると、どの項目ももっともらしく見えて外す理由が見つからず、気づけば1人に15も20も項目が並んだシートができあがります。項目が多いほど1つあたりの重みは薄まり、評価する上司の手間は増え、社員は何に力を入れればよいのかを読み取れません。どの項目を残してどれを外すかは、等級表と今期の経営計画を手元に置いて決めると迷いが減ります。
- 候補は「結果」「日々の動き」「業務の段階」の箱に分けて出す
- 「責任感」「協調性」は、回数か期限で数えられる行動に書き換える
- 能力は「できる業務の段階」で書き、等級の基準とそろえる
- 最後に「動かせる・記録に残る・目標につながる」で絞る
評価項目は成果・行動・能力の3つに分けると、候補を漏れなく出せます
評価項目の候補は、期間中に出した結果を見る「成果」、結果に向けた日々の動きを見る「行動」、仕事をこなす力の段階を見る「能力」の3つの箱に分けて書き出します。多くの解説では業績(成果)・能力・情意の3つに分けていますが、中小企業で運用するなら、情意を行動の項目に書き換えてしまうほうが扱いやすくなります。情意は「やる気」「姿勢」といった心の内側を見る項目なので、評価する上司によって点数がいちばん割れやすいからです。3つの箱に分けて候補を並べておけば、営業なら成果ばかり、事務なら行動ばかりという偏りにも、項目を選ぶ前の段階で気づけます。
| 箱 | 何を見るか | 点数の付け方 | 項目の例 |
|---|---|---|---|
| 成果 | 期間中の結果と目標の達成度 | 目標の数字に対する実績 | 売上、契約件数、処理件数、不良率 |
| 行動 | 結果に向けた日々の動き方 | 回数・期限を守れた割合 | 商談の数、期限前の報告、改善の提案件数 |
| 能力 | 仕事に必要な知識・技術・スキル | 1人でできる業務の段階 | 見積書の作成、機器の点検、後輩への指導 |
表1 評価項目の3つの箱と点数の付け方
表1のとおり、3つの箱は「何を見るか」だけでなく「どうやって点数にするか」も違います。成果は目標と実績を比べれば点数が決まり、行動は回数や期限を守れた割合で数え、能力は「どの段階の業務を1人でこなせるか」で判定します。箱ごとに点数の付け方が違うと分かっていれば、候補を出す段階で、数えられない項目を早めに外せます。
候補を出す前に、評価の結果を何に使うのかを経営者と管理職で決めておくと、3つの箱のどれを重視するかが定まります。処遇を公平に決めることを重く見るなら成果の箱を厚くし、社員の成長とスキルの向上を重く見るなら能力の箱を厚くします。経営理念や行動指針を社内に根づかせたい会社なら、理念を表す行動を1つ行動の箱に入れておくと、評価面談のたびに理念を実践できたかを話題にできます。目的を決めないまま項目を集めると3つの箱が同じ厚さになり、処遇の根拠としても育成の道しるべとしても使いにくいシートになります。
- 成果:会社の売上や利益に近く、処遇の根拠にしやすい
- 行動:成果が出るまで時間のかかる職種でも、毎週の動きを評価できる
- 能力:等級の基準と同じ言葉で書くと、昇格の判断にそのまま使える
成果の項目は、本人の仕事で動く数字を職種ごとに1〜2つ選びます
成果の項目には、会社全体の数字の中から、その職種の担当者が自分の仕事で増やしたり減らしたりできる数字だけを切り出して入れます。本人の努力と関係のないところで動く数字を項目にすると、達成しても未達でも理由を説明できず、評価への納得感が下がるからです。たとえば不動産の営業なら契約件数は本人の数字ですが、物件の仕入れの数は仕入れの担当者の数字なので、営業の評価からは外します。下の表2は、Bay3が設立後に支援してきた業種を中心に、職種ごとの成果の項目と、その数字を記録する場所を並べたものです。
| 職種 | 成果の項目の例 | 数字を記録する場所 |
|---|---|---|
| 不動産の営業 | 契約件数、内見から申込みまでの割合 | 顧客管理の表、週報 |
| 人材紹介・人材派遣の担当者 | 成約件数、就業開始後の定着人数 | 求職者の管理表 |
| 介護・リハビリの現場職 | 担当する利用者の計画どおりの実施率 | 介護記録、サービスの実施表 |
| 配送・ルート営業 | 担当ルートの解約件数、追加注文の件数 | 配送の日報 |
| 店舗の販売・接客 | 個人の販売額、リピートのお客様の数 | レジの集計、顧客台帳 |
| 電気工事・設備の現場職 | 工期どおりに終えた現場の数、手直しの件数 | 工程表、完了報告書 |
| 経理・総務 | 締め日までに終えた処理の割合、差し戻しの件数 | 処理の一覧表 |
表2 職種別の成果の項目の例(自社の今期の目標に合わせて選び直して使う)
表2のどの職種でも、成果の項目は1人1〜2つにとどめます。成果の項目を3つも4つも並べると、それぞれの重みが薄まって、本人が今期どの数字を優先すればよいのかが伝わらなくなります。今期の会社の重点が新規の顧客なら新規の件数を、既存の顧客の維持ならリピートや解約の数を選ぶ、というように、経営計画で決めた重点から逆に選びます。項目を決めたら、数値の出どころと集計の締め日も一緒に決めておくと、期末に「その件数は正確か」で上司と部下がもめずに済みます。
経理や総務のように売上を直接生まない職種でも、「件数」「期限」「差し戻し」の3つのどれかで成果を数えられます。たとえば請求書の発行なら、月末の締めまでに発行できた割合と、取引先からの差し戻しの件数を項目にすれば、仕事の正確さと効率の両方を点数にでき、営業の売上を支える貢献も評価の対象に入ります。
行動の項目は、情意の言葉を回数か期限で数える形に書き換えます
「責任感」「協調性」「積極性」のような情意の言葉は、そのまま項目にせず、上司と本人が同じ回数を数えられる行動の項目に書き換えます。同じ「協調性」でも、ある上司は会議での発言を、別の上司は急な仕事を引き受けたかを思い浮かべるため、言葉のままでは同じ人に違う点数が付いてしまいます。書き換えるときは「その言葉が表している行動を、職場で見かけたらどんな場面か」を管理職どうしで出し合い、その場面を回数か期限で数えられる1文にします。表3は、評価項目の一覧によく出てくる言葉を、数えられる1文に直した例です。
| よく見る言葉 | 書き換えた行動の項目 | 数え方 |
|---|---|---|
| 責任感 | 担当した仕事を、期限の前日までに終えて報告する | 期限を守れた割合 |
| 協調性 | 他部署からの依頼に、当日中に返事をする | 返事が翌日以降になった回数 |
| 積極性 | 業務の改善案を、月1件以上会議に出す | 提案の件数 |
| 規律性 | 決められた手順書どおりに作業し、手順を飛ばさない | 手順の漏れの件数 |
| 報告・連絡・相談 | トラブルが起きたら、その日のうちに上司へ伝える | 翌日以降に伝えた件数 |
| 顧客志向 | 問い合わせに、受けた日のうちに一次の回答をする | 当日中に回答できた割合 |
| 主体性 | 上司に言われる前に、翌週の行動計画を週報に書く | 週報に計画を書いた週の数 |
| コミュニケーション | 社内の会議で、自分の担当の課題と意見を1回以上話す | 発言した会議の数 |
| リーダーシップ | 月曜の朝に、チームの今週の目標を自分から共有する | 共有した週の数 |
| 問題解決 | 同じミスが2回起きたら、原因と対策を手順書に書き足す | 書き足した件数 |
表3 情意の言葉を行動の項目に書き換えた例
表3のように書き換えておくと、本人は何をすれば点数が上がるのかを期の初めから理解でき、上司も期末に記憶ではなく記録をもとに点数を付けられます。書き換えた項目の回数は、毎週の週報や日報に1行で残せるものを選んでおくと、評価のために記録を探し直す手間がかかりません。態度や姿勢を評価したい気持ちがあっても、数えられない項目を残すと評価面談で根拠を示せないので、ここは割り切って行動に置き換えます。
行動の項目を書き換える作業は、管理職とメンバーが一緒に進めると、現場で実際に起きている場面から項目を選べます。上司だけで決めた項目は「自分たちの仕事を知らない人が作った」と受け止められやすく、本人の意欲を引き出すどころか反発を招くことがあるからです。たとえば「顧客志向」を書き換えるときに、受付の担当者が「問い合わせの返事が翌日になると、そのまま他社に決まってしまう」という場面を挙げてくれれば、「当日中に一次の回答をする」という項目に、本人たちも納得したうえで自ら取り組めます。期の初めに30分ほど部署の打ち合わせを取り、表3の左の列の言葉を1つずつ読み上げて場面を出し合うだけでも、項目の書き換えは進みます。
「積極的に発言する」のように、言葉を少し具体的にしただけの項目は、まだ回数で数えられません。「会議で1回以上、改善案か質問を出す」のように、数字か期限が入るまで書き換えます。
能力の項目は、1人でできる業務の段階で書くと等級の基準につながります
能力の項目は「〇〇力がある」と書かず、「見積書を手順書なしで作れる」のように、1人でこなせる業務とその段階で書きます。「提案力」「判断力」のような言葉は、情意の言葉と同じように評価者ごとに解釈が分かれ、上司が部下に期待している水準も伝わらないからです。業務の段階で書いておくと、そのまま等級の基準として使え、昇格の判断と評価の項目を別々に作る必要がなくなります。下の図1は、事務職の「見積書の作成」を4つの段階に分けた例です。
図1 能力の項目を業務の段階で書いた例(事務職の見積書の作成)
図1の段階は、新人なら段階2、中堅なら段階3、リーダーなら段階4というように、等級ごとに期待する段階を決めて使います。期の初めに「今期は段階3を目指す」と本人に伝えておけば、期末の評価面談は、段階3の業務をいくつ1人でこなしたかを数える話し合いになります。業務の切り方は、「経理の業務」とまとめて書くより「月末に請求書を発行する」「入金を照合する」のように、新しく入った人が読んでも作業の中身が浮かぶところまで分けると、段階の差を書き分けやすくなります。
段階のことを「レベル」と呼ぶ会社もありますが、呼び方より、段階の差を「1人でできるか」「例外の案件も対応できるか」「人に教えられるか」の違いで書き分けることが基本です。専門の資格や技術が要る職種なら、資格の有無を段階の要素に入れてもかまいません。ただし資格を持っているだけでは業務の遂行につながらないので、「資格を生かして配電盤の点検を1人で担当できる」のように、資格で任せられるようになった業務まで書くと、評価と仕事が結びつきます。
職業能力評価基準は、能力の項目の候補を出す材料に使えます
自社だけで能力の項目を書き出すのが難しいときは、厚生労働省が公開している職業能力評価基準を候補の出どころに使えます。仕事に必要な知識と技術・技能に、成果につながる職務行動の例を加えて業種別・職種別に整理したもので、事務系の職種のほか、ものづくりからサービス業まで56業種が載っています。業界の標準として作られた基準なので、そのまま使うと自社には細かすぎる項目も多く、自社の業務で実際に起きている場面だけを拾って書き直して使います。
コンピテンシー評価は、成果を出している社員に共通する行動の特徴を項目にする方法です。一覧の中から選ぶ前に、自社でいちばん成果を出している人が週にどんな行動をしているかを上司が書き出し、一覧の中から近いものだけを残すと、自社の仕事に合った項目になります。
コンピテンシーの一覧は数十の項目が並んでいることが多く、そのまま使うと評価者の負担が大きくなりすぎます。一覧の項目は、おおむね次のようなまとまりに分けて読むと整理しやすいので、自社の役職ごとに1つのまとまりから1〜2項目を選ぶと、数を抑えながら偏りも防げます。
- 業務を進める力:段取りを組む、期限から逆に計画を立てて実行する
- 人に働きかける力:相手に合わせて説明を変える、交渉の条件を整理する
- チームをまとめる力:役割を分けて任せる、部下に週1回フィードバックする、期の初めにチームの方針を自分の言葉で説明する
等級が上がるほど、本人の成果より部下の育成とチームの数字に重みを移します
同じ職種でも、新人は行動の項目、中堅は成果の項目、管理職はチームの数字と部下の育成の項目に重みを置くと、等級ごとの役割と評価がずれません。新人のうちは本人の努力だけで成果が出る範囲が狭く、成果の項目の比重を高くすると、努力しても点数が上がらない期が続いてしまうからです。反対に管理職を本人の売上で評価すると、部下に任せるより自分で動いたほうが点数が上がり、プレイングマネージャーの仕事が増えるばかりになります。表4は、等級ごとの重みと項目の例を並べたもので、比率は自社の今期の方針に合わせて動かします。
| 等級 | 成果 | 行動 | 能力 | この等級で入れたい項目の例 |
|---|---|---|---|---|
| 新人 | 20% | 50% | 30% | 期限を守れた割合、手順書どおりの作業、段階2の業務 |
| 中堅 | 50% | 30% | 20% | 個人の契約件数、改善の提案件数、段階3の業務 |
| リーダー | 40% | 30% | 30% | チームの達成率、後輩への同行、手順書の書き直し |
| 管理職 | 40% | 40% | 20% | 部門の目標の達成率、部下との面談の回数、部下の離職の件数 |
表4 等級ごとの重みと評価項目の例(比率は書き方の例。管理職の成果は部門の数字、行動は部下の育成で数える)
表4の管理職の成果は、本人の売上ではなく部門の目標の達成率で数えている点が新人や中堅との違いです。管理職の行動の項目には、部下1人ひとりと月に1回話す時間を取れたか、部下の評価を締め切りまでに出したかを入れ、チームのメンバーが育つことを管理職自身の点数に結びつけます。部門長に任せる判断の範囲と、その人が見る数字の決め方は、中間管理職が板挟みになる会社の共通点の後半で扱っています。
- 新人と中堅で同じ項目を使う場合も、目標の数字と能力の段階は等級ごとに変える
- 等級が1つ上がったら、その等級の項目に入れ替えてから期を始める
候補は3つの条件でふるいにかけ、残った項目を今期の重点から選びます
候補を出し終えたら、「本人の行動で動かせるか」「毎週の記録に残るか」「今期の会社の目標につながるか」の3つの条件を順に当て、1つでも外れた項目は外します。とくに3つ目の条件は見落とされやすく、面談も点数付けも予定どおりに進んでいるのに会社の数字は伸びない、という状態は、この条件を当てずに項目を選んだときに起きます。Bay3は「3年計画→年間目標→四半期のKPI→毎週の行動→評価→給与」の順につなげて制度を設計しており、評価項目はこの流れのうち、四半期のKPIと毎週の行動から選ぶ位置にあります。3つの条件を当てたあと、残った候補から今期の重点で選ぶまでの順番は図2のとおりです。
- 本人が動かせるか:本人の仕事の量や質で変わる数字と行動だけを残し、会社全体の利益のような数字は管理職の項目に回します。
- 毎週の記録に残るか:週報や日報、顧客管理の表に数字が残る項目を残し、期末に思い出して付けるしかない項目は外します。
- 今期の目標につながるか:経営計画で決めた今期の重点施策と部署のKPIに照らし、つながりを説明できない項目は外します。
- 今期の重点から選ぶ:残った候補の中から、成果・行動・能力の箱ごとに今期とくに力を入れてほしい項目を選び、重みを決めます。
図2 評価項目の候補を3つの条件でふるいにかけ、最後に選ぶ順番
図2の4つのステップを通したあとの項目は、1人あたり4〜5個を目安にします。Bay3が配っている評価シート テンプレートも評価項目4つの形で、部下が5人いれば、上司が期末に付ける点数は20個ほどに収まります。Bay3が制度づくりを支援するときも、会社の人数と評価者の数を見ながら、項目の数と面談の回数を決定しています。項目ごとの目標や点数の基準の書き方は、評価シートのテンプレートと書き方で記入例と一緒に紹介しています。
評価項目は、採用や人の配置の考え方ともつながっています。今期の戦略として新しい顧客層を開拓する部署に人を配置したなら、その部署の評価項目には新規の営業活動の数を入れ、既存の顧客を守る部署とは項目を分けておくと、配置した理由が本人にも明確に伝わります。中途で採用した人を受け入れるときも、入社した期の評価項目を先に見せておけば、何を期待されて採用されたのかを本人が最初から理解できます。
評価項目4つに目標・ウェイト・0〜10点の基準を入れると、合計点と評価ランクまで自動で計算されます。営業職の記入例つきなので、表1〜表4で選んだ項目に置き換えて使えます。
テンプレートを受け取る年商が数十億円規模のIT企業を支援したときは、評価制度の構築、全社員に向けた研修、週次の会議の支援の3つを同じ時期に進めました。組織全体で改善を続ける仕組みが根づき、売上はおよそ1.2倍になったとうかがっています。この数字には市場の動きや支援以外の取り組みの影響も含まれます。評価項目を決める作業と、その数字を毎週見る会議、項目の意味を社員に伝える研修を、別々の年に分けずに同じ時期に始めた例です。
評価項目は年1回、経営計画を立て直す時期に入れ替えます
評価項目は一度決めたら固定するものではなく、年1回、経営計画で翌年の重点施策を決めた直後に、成果と行動の項目を中心に入れ替えます。会社の重点が新規の開拓から既存の顧客の維持に変わったのに評価項目が前年のままだと、社員は評価が上がる前年の動きを続け、会社の方針が現場に届かないからです。能力の項目は等級の基準とつながっているため毎年は変えず、業務の中身が大きく変わったときにだけ段階を書き直すと、等級の運用が安定します。見直しの時期に点検したいことは、次の4つです。
- 今年の重点施策のそれぞれに、対応する評価項目が1つ以上ある
- 前年に全員が満点近くだった項目、全員が0点近くだった項目を見直した
- 評価者どうしで点数がいちばん割れた項目の書き方を直した
- 変えた項目と理由を、期の初めに社員へ説明した
見直しでまず手を付けるのは、評価者どうしで点数が割れた項目の書き方です。同じ部下の同じ実績に、ある上司は7点、別の上司は4点を付けたなら、その項目の書き方を評価者が違う意味で認識しているので、点数の基準の文を直すか、回数で数える形に改めます。年1回の定期的な見直しで割れた項目を1つずつ直しておけば、評価への不満が「制度が悪い」という大きな話になる前に、項目の書き方の問題として片づけられます。評価システムを導入している会社なら、項目ごとの点数の分布を一覧で出せるので、割れた項目を探す作業にその機能を活用できるのがメリットです。
評価制度が途中で止まってしまった会社が作り直すときは、項目を選び直す前に、前の制度がどこで止まったのかを振り返っておきます。評価する人の負担が大きかった、給与とつながっていなかった、人数に対して制度が重すぎた、といった理由によって、項目を減らすのか、給与との結びつけ方を変えるのかが変わるからです。人事評価制度の全体の手順は人事評価制度の作り方に、評価の目的と等級・報酬とのつながりは人事評価制度とはにまとめています。
評価項目の例についてよくある質問
パート・アルバイトにも、正社員と同じ評価項目を使ってよいですか。
項目の箱(成果・行動・能力)は同じにして、項目の数を2〜3つに減らす形が運用しやすくなります。勤務の時間が短い人に正社員と同じ数の成果の項目を持たせると、努力しても達成できない項目が増えるので、手順書どおりの作業や期限を守れた割合のような行動の項目を中心に置きます。
評価項目は社員に公開してよいですか。
公開したほうが評価は機能します。何を頑張れば評価されるのかが期の初めから本人に見えていれば、日々の行動をその項目に合わせられ、期末の面談でも点数の理由を説明しやすくなります。公開するのは自分の等級と職種の項目と基準までにし、他人の点数は見られないように管理します。
他社の成功事例に載っている評価項目を、そのまま使ってもよいですか。
候補を出す材料としては役に立ちますが、そのまま使うのはおすすめしません。その会社の事業や今期の目標に合わせて選ばれた項目なので、自社で同じ効果が出るとは限らず、自社の目標とのつながりを社員に説明できない項目が混ざるからです。他社の項目は表1の3つの箱に振り分け、図2の3つの条件を当てて、自社に適切なものだけを残してください。
自己評価の欄にも、上司と同じ評価項目を使いますか。
同じ項目を使います。本人と上司が同じ項目と基準で点数を付けると、点数が離れた項目がそのまま面談で話し合うテーマになり、本人が自分の行動のどこを意識して変えればよいかが分かります。結果だけでなく、目標に向けたプロセスで工夫したことも自己評価の欄に書いてもらうと、未達の期でも本人のモチベーションを保ちながら次の期の目標を設定できます。
期の途中で、評価項目を入れ替えてもよいですか。
会社の方針が大きく変わったとき以外は、期の途中では入れ替えず、次の期の初めに変えます。途中で変えると、それまで本人が前の項目に合わせて動いた分が評価に残らず、制度への信頼が下がります。どうしても変える場合は、変えた日と理由を記録し、変える前と後の期間を分けて評価します。
いまの評価項目や他社のサンプルを見ながら、経営計画とつながる項目、外してよい項目、等級ごとの重みを三浦が一緒に整理します。相談はZoomを使ったオンラインで、時間は60分です。評価制度がまだ無い会社でも、何から決めればよいかの順番をお伝えできます。
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出典・参考:厚生労働省「職業能力評価基準」