最終更新日:2026年10月19日 | 執筆:Bay3株式会社 代表取締役 三浦一晃
KGIは会社が最終的に達成したい目標を数字にしたもの、KPIはそこへ向かう途中の進み具合を測る数字です。たとえば「今期の売上1億2,000万円」がKGIで、「月の商談40件」「受注率25%」がKPIにあたります。
2つを混ぜずに使うには、会社の目標を「KGI(年の目標)→ KPI(四半期・月の数字)→ 毎週の行動」の3段階に分けて考えます。この記事では、社員10〜100名程度の会社の経営者と幹部に向けて、KGIとKPIの違い、3段階の分け方、設定の手順、部署ごとの例、運用のしかたをまとめました。
3年後の目標から四半期のKPIまでを1つのファイルで決めたい方は、Bay3が無料で配っている中長期経営計画テンプレート(Excel)を使うと、記入例を見ながら埋められます。
- KGIとKPIの意味と、期間・見る人・数の違い
- KSF・OKR・KDIとの関係
- 会社の目標をKGI・KPI・毎週の行動の3段階に分ける考え方
- KPIツリーとSMARTの法則を使った設定の手順
- 営業・人事・製造・店舗・歯科医院のKGIとKPIの例
- KGIとKPIのつながりが切れる失敗と、週報・評価までの運用
KGIは最終の目標、KPIはそこへ向かう途中の数字です
KGIは「何を達成したら成功か」を示すゴールの数字で、KPIは「そのゴールに向けて順調に進んでいるか」を測る中間の数字です。KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では重要目標達成指標と訳されます。KPIは「Key Performance Indicator」の略で、重要業績評価指標と訳されます。どちらも、会社の戦略を数字に置き換えて共有するための用語です。
売上や利益のKGIは、決算が近づくまで達成できるか分かりません。そこで、KGIにつながる途中の成果や活動を数字にしてKPIに置き、毎週・毎月の状況を把握します。
- KGIの例:今期の売上1億2,000万円、営業利益1,200万円、1年以内の退職者0名
- KPIの例:月間の新規の商談40件、受注率25%、平均の受注単価80万円、リピートの割合60%
- KGIとKPIの関係:KPIをすべて達成すれば、KGIに届くように設計する
KGIとKPIは、期間・見る人・数・確かめる頻度が違います
| 比べる点 | KGI | KPI |
|---|---|---|
| 正式名称 | Key Goal Indicator(重要目標達成指標) | Key Performance Indicator(重要業績評価指標) |
| 役割 | 最終の目標(ゴール) | ゴールまでのプロセス(過程)を測る中間の目標 |
| 期間 | 1年(今期)や3年など長い | 四半期・月・週など短い |
| 主に決める人 | 経営者と幹部(社員全員に共有する) | 部門のリーダーと担当者 |
| 数 | 会社で1〜2つ | KGI1つに対して3〜5つ |
| 確かめる頻度 | 月1回の振り返りと四半期ごと | 毎週 |
| 例 | 今期の売上1億2,000万円 | 月の商談40件、受注率25% |
表1 KGIとKPIの違い(数字は書き方の例です)
実務で効いてくる違いは、途中で手を打てるかどうかです。売上は決算が近づくまで確定しませんが、商談の件数は毎週数えられるので、足りなければその週のうちに動き方を変えられます。
KSFは、KGIとKPIをつなぐ「達成のカギ」です
KSF(Key Success Factor)は、KGIを達成するために欠かせない要素のことで、重要成功要因と訳されます。KFSやCSF(Critical Success Factor)と呼ぶこともあります。KGIを決めたら、先に「何がうまくいけば達成できるか」をKSFとして言葉にし、そのKSFが実行できているかを測る数字をKPIにします。
図1 KGIから毎週の行動までの関係
KDI(Key Do Indicator)は、KPIを達成するための行動の量を測る数字です。「週に提案書を10件送る」のように、担当者がやるかやらないかを自分で決められる数字を置きます。
OKRは届くか分からない高い目標を置く手法で、KGI・KPIとは目標の置き方が違います
OKR(Objectives and Key Results)は、目標(Objectives)と、その達成を測る主要な成果(Key Results)を組み合わせて管理する手法です。届くか分からない高い目標を置き、6〜7割の達成でよしとする使い方が多く見られます。
| 手法 | 向いている使い方 | 例 |
|---|---|---|
| KGI・KPI | 達成する前提の目標を置き、毎週の会議で未達の打ち手を決める | KGI:今期の売上1億2,000万円/KPI:月の商談40件 |
| OKR | 新しいビジネスや市場への挑戦で、チームの方向をそろえる | O:新しい業種の顧客を開拓する/KR:四半期で商談15件・受注3件 |
表2 KGI・KPIとOKRの使い分け
社員10〜100名程度の会社が初めて目標の仕組みをつくるなら、まずKGIとKPIで「決めた数字を毎週確かめる」運用を回し、そのうえで新規事業などにOKRを足すと混乱が少なくなります。
会社の目標は、KGI・KPI・毎週の行動の3段階に分けて考えます
KGIとKPIを混同しないためには、年の目標・四半期と月の数字・毎週の行動を、別々の段に分けて書きます。1つの表に売上も商談の件数も電話の本数も並べると、どれがゴールでどれが手段なのかが分からなくなります。
| 段 | 期間 | 決める人 | 営業部門の例 |
|---|---|---|---|
| KGI(年の目標) | 今期の1年 | 経営者と幹部 | 今期の売上1億2,000万円 |
| KPI(四半期・月の数字) | 四半期と月 | 部門のリーダーと施策の担当者 | 月の商談40件、受注率25% |
| 毎週の行動 | 1週間 | 担当者本人(リーダーが確認) | 今週は既存顧客10社に提案の連絡をする |
表3 会社の目標を3段階に分けた例(数字は書き方の例です)
Bay3では、「3年計画 → 年間目標 → 四半期のKPI → 毎週の行動 → 評価 → 給与」の順につなげて設計します。この流れでいうと、KGIは3年計画から今期の分を切り出したもの、KPIは四半期の数字です。
KPIは、毎週の週報や会議で確かめられる数字にします。決算まで分からない数字だけでは、途中で手を打てないためです。実務では、この3段を1つのファイルの別々のシートに書くと、混ざりにくくなります。
Bay3の中長期経営計画テンプレートでは、理念と3年後の姿、現状の整理、3か年の数値計画を経営者と幹部で決め、今期の重点施策と四半期のKPIは施策の担当者も入って決める形にしています。KPIを決める場に担当者がいると、「その数字なら今週の行動で動かせる」かどうかをその場で確かめられます。
KGIとKPIを分けると、途中で手を打てるようになります
KGIとKPIを分けて設定するメリットは、次のとおりです。
- 進捗を定量的に把握できる:決算の前に、KGIに届くペースかどうかが分かる
- 優先順位の判断がしやすくなる:KGIへの影響が大きいKPIから時間を使える
- 改善が早くなる:売上が足りないとき、どの段階の数字が原因かを分けて分析できる
- 評価の基準がそろう:上司の印象ではなく、KPIの実績で話し合える
- 担当者が自分の数字を意識して動ける:自分の行動がKGIにどう効くかが見え、従業員のモチベーションの向上にもつながる
KGIとKPIは、KGIを先に決めてからKPIツリーで逆算して設定します
設定のステップは、KGIを数字と期限で決める、KSFを洗い出す、KPIツリーで分解する、KPIを3〜5つに絞る、の流れです。KPIから先に決めると、追っている数字がKGIの達成とどう関係するのか、あとから説明できなくなります。
- KGIを決める:今期の売上・営業利益・人数などのゴールを、数字と期限で決めます。3年後の姿からの考え方は中長期経営計画の立て方で書いています。
- 現状との差を出す:前期の実績とKGIの差を出し、どこで差を埋めるかを検討します。
- KSFを洗い出す:差を埋めるために欠かせない要素を、自社の強みと問題点から選びます。
- KPIツリーで分解する:KGIを掛け算や足し算の要素に分け、担当者が動かせる数字まで下ろします。
- KPIを3〜5つに絞り、担当を決める:1つのKPIに担当者を1人決め、目標値を置いて四半期ごとに見直します。
図2 KGIとKPIを設定する5つの手順
Bay3の中長期経営計画テンプレートでも、今期の重点施策は多くても5つにし、1つの施策に担当者1人とKPI1つを置く形にしています。目標値の決め方や、四半期から週の行動まで落とし込む細かい手順はKPIの設定方法で書いています。
KPIツリーで、KGIを掛け算の要素に分けます
KPIツリーは、KGIを要素に分解して木の形に並べた図です。ロジックツリーという考え方を、目標の数字に使ったものです。新規の売上をKGIにした場合、次のように分けます。
図3 新規の売上を分解したKPIツリーの例(数字は書き方の例です)
同じ段の要素は、掛けるか足すと1つ上の数字になるように書きます。こうしておくと、受注率を25%から30%に上げても、商談を40件から48件に増やしても、受注は12件になり、売上は160万円増加することが計算で分かります。どちらが自社で実現しやすいか、かかるコストと効果を比べて、力を入れるKPIを決めます。部署・業種ごとのKPIの候補はKPIの具体例に一覧でまとめています。
決めたKGIとKPIは、SMARTの法則で確かめます
| SMART | 確かめること | 直し方の例 |
|---|---|---|
| Specific(具体的) | 何の数字か、誰が読んでも同じに分かるか | 「顧客を増やす」を「新規の受注件数」にする |
| Measurable(測定できる) | 毎週、数字で計測できるか | 「顧客の満足」を「解約の件数」で測る |
| Achievable(達成できる) | 現実的に届く目標値か | 前年の3倍を、実績から見て届く数字に直す |
| Relevant(関係がある) | KPIがKGIの達成とつながっているか | 「訪問回数」を「受注につながる提案の件数」に変える |
| Time-bound(期限がある) | いつまでの数字か決まっているか | 「商談40件」を「10月末までに商談40件」にする |
表4 SMARTの法則でKGIとKPIを確かめる
理念と3年後の姿、3か年の数値計画、今期の重点施策、四半期のKPI(目標と実績・達成率)、月次の振り返りのシートが入っています。シートごとに記入例があるので、KGIからKPIまでを順に埋められます。
テンプレートを受け取る部署ごとのKGIとKPIは、ゴールの数字と担当者が動かせる数字を組で置きます
部署のKGIはその部署が今期に出す成果、KPIはその成果を生む途中の件数や割合で置きます。人事や事務のように売上を直接つくらない部門も、業務の量・速さ・質を件数と割合にすれば、KGIとKPIに分けられます。「社員の成長」のような定性的な目標も、研修の受講率や任せた業務の件数に置き換えると測れます。
| 部署・業種 | KGIの例 | KPIの例 | 毎週の行動の例 |
|---|---|---|---|
| 営業 | 今期の売上、新規の受注件数 | 商談の件数、受注率(成約率)、平均の受注単価 | 既存顧客への提案の連絡 |
| マーケティング・Web | Web経由の商談の件数 | 問い合わせの数、資料のダウンロード数、広告の獲得単価 | 記事やメールの配信 |
| 人事・採用 | 今期の採用人数、1年以内の退職者数 | 応募数、面接の設定率、内定の承諾率 | 求人票の更新、候補者への連絡 |
| 製造業 | 今期の生産量と粗利 | 不良率、設備の稼働率、納期を守れた割合 | 不良の原因の記録と対策会議 |
| 店舗・飲食 | 店の売上と利益 | 客数、客単価、リピートの割合 | 常連のお客様への案内 |
| 歯科医院 | 医院の年間の売上 | 月の新患数、定期検診の来院率、キャンセル率 | 次回の予約を取る声かけ |
表5 部署・業種ごとのKGIとKPIの例(内容は書き方の例です)
- 製品の品質と効率のように、片方だけを追うと他方が下がる数字は、組で置きます
- 月単位でしか出ない数字(退職者数など)は月次の振り返りで見て、週報には毎週動く数字を置きます
- 個人のKPIは1〜2つにし、部署のKPIのどれに貢献するかを書いておきます
KGIとKPIの設定で失敗するのは、2つのつながりが切れているときです
KPIを達成しているのにKGIに届かないなら、KPIの選び方がKGIとつながっていません。よくある失敗は、次の4つです。
- 売上をそのままKPIにしている
- KPIが10個以上あり、どれも追われない
- 部門ごとに別々にKPIを決めている
- 期の初めに決めたまま見直さない
- KGIを件数・割合・単価に分けてKPIにしている
- 会社で追うKPIを3〜5つに絞っている
- マーケティングが営業に渡す商談の件数のように、部門の間で受け渡す数字をKPIに置いている
- 四半期ごとにKGIとの関係を確かめている
図4 KGIとKPIのつながりが切れた状態と、つながっている状態
KPIの選び方が適切かは、少し時間をおいて確かめます。たとえば商談から受注まで2か月かかる会社なら、商談のKPIを達成した月の2か月後に、売上が伸びているかを見ます。続けてKPIを達成しているのに数か月たってもKGIが動かないなら、KSFの見立てから見直します。
たとえば商談の件数だけを追うと、受注の見込みが低い商談まで数に入るようになります。KPIは件数と受注率のように組で見て、KGIとの関係を会議のたびに言葉にします。
KGIとKPIは、週報・月次の振り返り・評価までつなげて運用します
KPIは毎週、KGIは毎月確かめ、四半期ごとに目標値を見直すと、決めた数字が途中で止まりません。PDCAのサイクルを、確かめる頻度ごとに分けて回すイメージです。
| 頻度 | 確かめる数字 | 場 | 決めること |
|---|---|---|---|
| 毎週 | KPIと毎週の行動 | 週報と月曜朝15分の会議 | 届いていないKPIの打ち手(誰が・何を・いつまでに) |
| 毎月 | KGIの進み具合 | 月1回の振り返りの会議 | 目標と実績の差、うまくいったこと、翌月の打ち手 |
| 四半期ごと | KPIの目標値と選び方 | 経営者と幹部の会議 | KPIの入れ替えと目標値の修正 |
表6 KGIとKPIを確かめる頻度と場
Bay3が無料で配っている週報・週次ミーティングのフォーマット(Excel)では、担当ごとのKPIの目標と実績、達成率、今週やったこと、来週やることを1人1行で書き、リーダーがコメントを入れます。月曜朝の会議では、届いていないKPIだけを読み上げ、未達の原因と打ち手を担当者が1分で話します。
専用のツールを入れなくても、ExcelやGoogleスプレッドシートの週報で始められます。
- 金曜の夕方までに各担当が週報に実績を入力する
- リーダーがコメントを書いてから月曜の会議に出る
- 会議では報告を読み上げず、課題の解決に向けた打ち手を決めて、決定事項を記録する
KPIの実績は、評価にもつなげられます。Bay3が6か月で支援を進める場合の流れでは、3か月目に週報の運用を始め、5か月目に週報のデータを評価に活用して、給与と賞与につなげる設計をします。評価の項目と給与のつなげ方は人事評価制度とはで書いています。支援の内容は経営計画とKPIの支援にまとめています。
これまでの支援事例のうち、人材紹介会社では、管理職研修と週次のKPIミーティングの導入を行いました。数字で動く会議の形ができ、現場が自分で改善を回すようになっています。この会社の売上は約3倍です(数字は支援先からうかがったもので、業績の変化には市場や支援以外の取り組みの影響も含まれます)。この支援では、KPIを毎週の会議で確かめる場をつくりました。
KGIとKPIの違いについてよくある質問
KGIとKPIは、どちらを先に設定すればよいですか。
KGIを先に決めます。KPIはKGIを達成するための中間の数字なので、ゴールが決まっていないと、どの数字を追えばよいかを判断できません。KGIを決めてから、KPIツリーで逆算してKPIを選びます。
設定したKGIは、期の途中で変えてもよいですか。
市場や事業の状況が大きく変わったときは、四半期の見直しに合わせて修正します。ただし、届かないからという理由だけで毎月下げると、目標が意味を持たなくなります。先にKPIの選び方と目標値を見直し、それでも届かない理由が外の環境にあるケースに限って、KGIを修正します。
売上をKPIにしてはいけませんか。
会社全体では売上はKGIに置き、担当者のKPIには商談の件数や受注率のように毎週の行動で変わる数字を置きます。部門や店舗の月の売上を中間の数字として見るのはかまいませんが、担当者が今週何をすればよいかが分かる数字をあわせて置きます。
個人にもKGIとKPIを置いたほうがよいですか。
個人にはKGIを置かず、部署のKPIのうち担当する1〜2つと、毎週の行動の目標を置く形が運用しやすくなります。個人のKPIは、どの部署のKPIに貢献するのかを週報に書いておくと、会社のKGIとのつながりを本人が理解できます。
まとめ:KGIはゴール、KPIは途中の数字として3段階で分けます
KGIとKPIの違いは、ゴールの数字か、ゴールまでの途中を毎週確かめる数字かです。まずは次の3つから始めてください。
- 今期のKGIを数字と期限で1つ決め、KPIツリーで件数・割合・単価に分解する
- 会社で追うKPIを3〜5つに絞り、1つのKPIに担当者を1人決める
- KPIは週報と月曜朝の会議で毎週、KGIは月1回の振り返りで確かめる
いまの目標と部署ごとの数字の見方をうかがいながら、KGIからKPI、毎週の行動までの分け方と、会議での確かめ方をお伝えします。オンライン(Zoom)で60分です。
無料相談を申し込むBay3の支援内容をもとに構成し、編集部が作成しています。