最終更新日:2026年10月10日 | 執筆:Bay3株式会社 代表取締役 三浦一晃
請求書の発行は経理のAさんしか分からない。大口の顧客の対応は営業のBさんにしかできない。2人のどちらかが休むと仕事が止まり、退職の話が出るたびに社長が青ざめる。この記事は、そうした状態から抜け出したい社員10〜100名程度の会社の経営者と管理職に向けて書いています。
属人化は、業務の手順と判断の基準が文書になっていないことに、忙しさや、共有しても評価されない仕組みが重なって起きる、組織の課題です。この記事では、属人化が起きる原因とデメリット、業務の棚卸しから引き継ぎと見直しまでの5つのステップ、属人化を残してよい業務の見分け方、評価制度で属人化を戻さない方法をまとめました。
業務を書き出すところから始めたい方は、Bay3が無料で配っている生成AI 業務の棚卸しシート(Excel)に担当者の列を足して使うと、記入例を見ながら部署ごとの業務と時間を埋められます。
- 属人化の意味と、標準化・仕組み化との関係
- 属人化が起きる5つの原因と、放置したときのデメリット
- 業務の棚卸しから引き継ぎと見直しまで、属人化を解消する5つのステップ
- 属人化を残してよい業務と、副担当を置いて備える方法
- 手順書の置き場所、ITツールと生成AIの使い方、評価制度の見直し
属人化とは、特定の社員しか業務の手順や判断の基準を知らず、その人がいないと仕事が止まる状態です
属人化とは、業務のやり方や判断の基準が特定の社員の頭の中にだけあり、ほかの人では同じように対応できない状態です。その業務が外から見えなくなることを「ブラックボックス化」とも言います。反対の言葉は標準化で、誰が担当しても同じ手順で、同じ品質の仕事ができる状態を指します。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 属人化 | 特定の人に業務が依存し、その人が不在だと仕事が止まる状態 |
| 標準化 | 手順と判断の基準を決め、誰がやっても同じ結果になるようにすること |
| 仕組み化 | 標準化した手順を、役割分担・会議・ツールで毎回回る形にすること |
| 暗黙知と形式知 | 経験から身についた言葉にしにくい知識(暗黙知)と、文書やデータにした知識(形式知)。属人化の解消は、暗黙知を形式知に変える取り組みとも言える |
表1 属人化と関係する言葉
会社が成長して社員が増えるほど、1人に依存する業務は、退職や異動のたびに経営のリスクになります。
属人化しやすいのは、経理・顧客対応・ITの管理のように、手順が文書になっていない業務です
| 部門・業務 | 属人化している状態の例 |
|---|---|
| 経理・バックオフィス | 月末の請求と支払い、決算の準備を1人で回していて、締め日の作業の順番を誰も知らない |
| 営業・顧客対応 | 大口の顧客との関係や過去の値引きの経緯を、担当の営業しか把握していない |
| ITシステムの管理 | パソコンやオフィスのネットワーク、社内システムの設定を、詳しい社員が1人で引き受けている |
| 採用・労務 | 求人の出し方や入社の手続きを、総務の担当者が独自のやり方で進めている |
| 製造・現場の技術 | 品質の判断や機械の調整を、経験の長いベテランの勘に頼っている |
表2 属人化しやすい業務の例
共通しているのは、手順がどこにも書かれていないこと、判断が複雑で迷う場面が多いこと、担当が長期間変わっていないことの3つです。社長に細かい相談までが集まっている会社では、社長自身がいちばん大きな属人化になっていることもあります。
社員10〜100名程度の会社では、属人化は業務が止まるリスクであり、人が辞めやすい職場の兆しでもあります
中小企業では、1人が辞めると採用と教育をやり直すことになり、残った社員の負担も増えます。大きな会社なら人事部が担う仕組みづくりを、社員10〜100名程度の会社では社長が1人で抱えていることが多く、属人化に気づいても、手順書づくりや引き継ぎの段取りまでは社長1人では手が回りにくくなります。
Bay3の離職の兆しチェックリストでも、「特定の人に仕事が集まり、その人が休むと仕事が止まる」「仕事の手順が人によって違い、引き継ぎに時間がかかる」を、人が辞めやすい職場の兆しとして項目に入れています。属人化は、業務が止まるリスクであると同時に、離職につながる職場の状態でもあります。
属人化が起きる原因は、多忙、専門性、手順書の不足、引き継ぎの不足、個人の成果だけを見る評価の5つです
属人化は、忙しさ、専門性、手順書の不足、引き継ぎの不足、評価のしかたが重なって起きます。どれか1つの問題だけを直しても、ほかの要因が残っていれば、時間がたつと元の状態に戻ります。
| 原因 | 起きていること |
|---|---|
| 多忙 | 目の前の作業で手いっぱいで、手順を書いたり人に教えたりする時間が確保できず、社内のコミュニケーションも減る |
| 業務の専門性 | 資格や技術、長い経験が必要な業務で、ほかの社員が手を出しにくい |
| 手順書の不足 | マニュアルの整備が進んでいない。あっても更新されておらず、実際のやり方と違う |
| 引き継ぎの不足 | 異動や退職のときに、口頭で短く引き継いだだけで、判断の経緯が残っていない |
| 個人の成果だけを見る評価 | ノウハウを教えても評価されないので、自分の仕事を抱え込むほうが立場を守れる |
表3 属人化が起きる5つの原因
5つのうち評価は、手順書づくりとは別に手を打つ原因です。個人の成果だけで給与が決まる会社では、自分しかできない仕事を持っていることが、社員にとって立場を守る手段になります。この原因への対策は、後の章で書く評価項目の見直しです。
属人化を放置すると、休みや退職で業務が停滞し、品質と判断がばらつきます
| デメリット | 起きる事態 |
|---|---|
| 業務が止まる | 担当者の休み、病気、退職のたびに業務が停滞し、顧客への対応に遅れが出る |
| 担当者に負担が集中する | 休みが取りにくく、長時間の残業が続き、本人の離職につながる |
| 品質がばらつく | 担当者によってやり方が違い、サービスの品質が低下したり、判断が安定しなかったりする |
| ミスやトラブルに気づけない | 本人以外が中身を確かめられないので、ミスや不正の発見が遅れ、トラブルが発生したときの解決にも時間がかかる |
| 人が育たない | 若手が経験を積む機会がなく、次の担当者の育成が進まない |
表4 属人化を放置したときのデメリット
属人化を解消すると、担当者が休んでも業務が回り、ノウハウが社内に蓄積されます
- 担当者が不在でも、副担当が手順書を見ながら同じ品質で対応できる
- 引き継ぎがスムーズになり、異動や新たな採用で人が入れ替わっても業務が止まらない
- 作業の手順がそろうので、ムダな作業を見つけて減らしやすくなり、業務の効率と生産性が向上する
- 顧客に提供するサービスの品質がそろい、担当者が替わっても顧客の信頼を保てる
- 担当者が自分の業務を人に任せられるようになり、新しい仕事に挑戦できる
属人化の解消は、棚卸し・優先順位と副担当・手順書・引き継ぎ・月1回の見直しの5つのステップで進めます
属人化の解消は、業務を書き出して可視化し、優先順位と副担当を決め、手順書を書き、副担当に引き継ぎ、定期的に見直す順で進めます。棚卸しと優先順位を先に済ませると、どの業務から書くかで迷わずに済みます。
図1 属人化を解消する5つのステップ
- 業務を棚卸しする:部署ごとに、誰がどの業務に何時間使っているかを書き出し、業務の状況を可視化します。
- 優先順位を決め、副担当を置く:担当者が1人しかいない業務のうち、止まると顧客や売上に影響が出るものを3つ選び、それぞれに副担当を1人決めます。
- 手順書を書く:置き場所を先に決め、担当者が実際に作業しながら説明し、副担当がその場で書き取ります。作業の順番と、判断が必要な場面の基準は分けて書き、書き終えたら担当者が読んで抜けを直します。
- 副担当に引き継ぐ:次の回は、担当者が横で見ている中で副担当が手順書どおりに作業し、つまずいた箇所を書き足します。その次の回は副担当が1人でやります。
- 月1回見直す:担当者と副担当が月に1回手順書を読み、実際のやり方と違うところを直して、更新日と更新した人を書き換えます。
ステップ4では、担当者が横で見ている中で副担当が1回やり、次の回は副担当が1人でやります。読んで理解したつもりになっても、実際にやると手順書に書かれていない判断がいくつも出てきます。誰が何を担当し、誰が副担当かを1枚にまとめる方法は、役割分担表の作り方で書いています。
業務の棚卸しは、1回の時間と月の回数まで書き出し、止まると困る業務から手をつけます
Bay3の生成AI 業務の棚卸しシートでは、部署・業務・1回の時間(分)・月の回数を入れると、月の時間が自動で出ます。業務は具体的に、「誰が見ても同じ作業を思い浮かべる」細かさで書きます。たとえば「営業」ではなく「商談後のお礼メールを書く」のように書きます。
| 書く項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 部署・業務 | 管理|会議の議事録をまとめる |
| 1回の時間 × 月の回数 | 45分 × 月12回 = 月9時間 |
| 担当者と副担当 | 担当:Aさん/副担当:なし(ここが属人化の候補) |
| 止まったときの影響 | 顧客への連絡が遅れる、請求が止まる、など |
表5 業務の棚卸しで書き出す項目(担当者と影響の欄は、属人化を見つけるために足す欄の例です)
書き出すと、特定の人に業務が集まっている部分が数字で明確になります。棚卸しシートは生成AIを試す順番も出しますが、手順書をつくる順番は、ステップ2のとおり、担当者が1人しかおらず止まると困る業務から決めます。Bay3のチェックリストでも、「仕事の量と進め方」の分野で印が多い会社が最初にやることとして、誰がどの仕事に何時間使っているかを書き出し、偏りを確かめることを挙げています。仕組み化の手順全体は、仕組み化のやり方で書いています。
手順書は、作業の順番と、人の頭の中にある判断の基準を分けて書きます
手順書が使われない理由の1つは、作業の順番だけが書かれていて、迷ったときにどう判断するかが書かれていないことです。ベテランの頭の中にある暗黙知は、判断の基準として別の欄に書き出します。
- 最初に業務のプロセス全体の流れ(フロー)を1枚にし、どこで誰に渡すかを示す
- 作業の順番は、1行に1つの動作で書き、画面の写真やファイルの場所を添える
- 判断の基準は、「金額が10万円を超える請求は上司に確認する」のように、条件と行動の組で書く
- 過去に起きたトラブルと、そのときの対応を残す
- 最後に更新した日と、更新した人を書く
手順書と置き場所については、次のことも決めておきます。
- 顧客や社員の名前・連絡先が写った画面の写真は、その部分を隠してから貼る
- ログインのIDとパスワードは手順書に書かず、上司が別に管理する
- 給与や人事の手順書を置くフォルダは、見られる人を担当者・副担当・上司に絞る
- 副担当が代わりに作業するときに使うソフトやシステムの権限は、誰にどこまで付けるかを上司が決めてから付ける
- 入社の手続きでマイナンバーを扱う業務は、副担当も取り扱う人として社内で決めておく
忙しい担当者に手順書づくりを任せると、目の前の仕事が先になり、後回しになりやすくなります。担当者が実際に作業しながら説明し、副担当がその場で書き取る形にすると、担当者は話すだけで済み、副担当はその場で仕事を覚えられます。書いた手順書は、担当者が読んで抜けを直します。手順書づくりと副担当の練習は、業務時間の中でやる仕事として予定に入れ、その分ほかの仕事の期限をずらします。副担当にできる人が部署にいないときは、上司か、近い仕事をしている別の部署の人に頼みます。
部署と業務、1回の時間、月の回数を入れると、月の時間が自動で出ます。生成AIで減らせる見込みと始めやすさを選ぶと、生成AIを試す順番も出ます。記入例つきで、担当者の列を足せば、属人化している業務を探す一覧としても使えます。
シートを受け取る専門性の高い業務は属人化を残したまま、副担当を置いて責任を分散します
専門性が高く判断の幅が広い業務は、担当者を残したまま副担当を置き、標準化は毎月同じ手順でくり返す業務から進めます。属人化にもメリットがあり、専門のスキルを深められること、顧客との信頼関係を長く保てること、判断が速いことは、無理に崩すと失われます。
- 毎月同じ手順でくり返す作業(請求、給与の計算、発注など)
- 判断の基準を条件で書ける業務
- 止まると顧客や売上にすぐ影響が出る業務
- 資格や長い経験が必要な技術の仕事
- 顧客ごとに対応が変わる、関係が大切な仕事
- 新しい企画やプロジェクトのように、手順が毎回違う仕事
図2 標準化する業務と、属人化を残す業務
自社の業務を棚卸しシートで書き出したら、どちらに当たるかを1行ずつ決めます。
属人化を残す業務でも、担当者が1人のままだと、休みや退職で止まるリスクは変わりません。副担当を1人決め、顧客との打ち合わせに同席させる、判断の経緯を共有のメモに残すなど、最低限の情報を2人で持ち、担当者が休んでも副担当が対応できるようにします。担当者が1人で抱えている判断の範囲を決めておくと、上司も状況を把握しやすくなります。Bay3の事例ページには、管理職研修を導入した企業の経営者の声として「マネージャー層の育成が進み、属人的だった業務がチームで回るようになりました。」が載っています。管理職が自分で業務を抱え込んでいる場合は、プレイングマネージャーの限界もあわせて読んでください。
手順書と進捗の置き場所を1か所に決め、手順書は月1回、進捗は毎週の会議で確かめます
手順書と仕事の進捗は、置き場所を1か所に決めて一元管理し、決まった会議で継続して確かめると、属人化が戻りにくくなります。手順書をつくっても、個人のパソコンの中に置いたままでは、担当者がいないときに誰も見つけられません。手順書を書く前に、情報を共有する環境を整備します。
| 集めるもの | 置き場所の例 | 確かめる場 |
|---|---|---|
| 手順書・判断の基準 | 共有フォルダやクラウドの文書に、部署ごとのフォルダをつくって置く | 月に1回、担当者と副担当で読み、実際のやり方と違うところを直す |
| 仕事の進捗 | 週報(1行=1人の1週間。担当・KPIの目標と実績・今週やったこと・来週やること・リーダーのコメント) | 毎週の会議で、目標に届いていないKPIと遅れている仕事だけを話す |
| 決めたこと | 会議の決定事項の記録(誰が・何を・いつまでに) | 次の週の会議で、実行できたかを確かめる |
表6 手順書と進捗の置き場所と、確かめる場
Bay3が配っている週報・週次ミーティングのフォーマットでは、金曜の夕方までに各担当が週報を入力し、リーダーがコメントを入れてから、月曜朝15分の会議を開きます。週報で進捗が全員に見えるので、1人だけが状況を知っている仕事が減ります。会議の時間を短くする工夫は、中小企業の会議の改善にまとめています。
これまでの支援では、週次のKPIミーティングを入れた会社で、現場が自分で改善を回すようになりました
三浦がこれまでに支援した人材紹介会社では、管理職研修を行い、週次のKPIミーティングを導入しました。数字で動く会議の形ができ、現場が自分で改善を回すようになりました。この会社の売上は約3倍です(数字は支援先からうかがったもので、業績の変化には市場や支援以外の取り組みの影響も含まれます)。
ITツールと生成AIは、手順書の下書きと記録の手間を減らすために使います
社員10〜100名程度の会社なら、新しいシステムを導入する前に、いま使っている共有フォルダやチャット、スプレッドシートを活用して置き場所を決めるだけでも十分に機能します。ワークフローのツールやナレッジを共有するツールは、置き場所と更新のルールの運用が社内で定着してから検討します。
生成AIは、作業の説明を録音した文字起こしから手順書の下書きをつくる、会議の議事録をまとめる、といった使い方ができます。作業の説明を録音するときは、録音することを担当者に伝え、顧客の個人情報が録音に入らないようにします。棚卸しシートで時間のかかっている業務を選び、生成AIで減らせる見込みの大きいものから試すと、効果の大きい使い方を見分けやすくなります。ただし、個人情報や社外秘を入れてよいかはサービスの設定と社内のルールを先に確かめ、生成AIが書いた文章や数字は担当者が確かめてから使います。
ノウハウを共有した社員を評価する項目を入れると、属人化が戻りにくくなります
属人化を戻さないためには、手順書を書いた人や後輩を育てた人が、評価で報われる仕組みにします。個人の成果だけを評価する制度のままでは、手順を共有する理由が社員の側にありません。
| 対象 | 評価項目の例 |
|---|---|
| 担当者 | 担当業務の手順と判断の基準を副担当に説明して手順書にし、副担当が1人で対応できる状態にした |
| 副担当 | 担当者の説明を手順書に書き起こし、手順書を見ながら1人で実施して、つまずいた箇所を書き足した |
| 管理職 | メンバーの育成を進め、チームで業務を回せる体制をつくった |
表7 属人化を戻さないための評価項目の例(内容は書き方の例です)
評価項目は評価期間の途中で変えず、次の期間から使うことを先に社員へ伝えます。社員10〜100名程度の会社では、評価する側の手間が増えすぎないよう、足す項目は表7のように1人1つに絞ります。最初は評価だけで運用し、基準がそろってから給与に反映する進め方もあります。給与や賞与の決め方を就業規則や賃金規程に書いている場合は、変える前に社会保険労務士に確かめてください。従業員の評価面談では、成果の数字とあわせて、共有と育成の取り組みを確かめます。
Bay3は、業種や会社ごとの事情に合わせて評価項目とKPIを決め、計画・評価・給与がつながるように設計しています。評価項目の決め方と給与へのつなげ方は、人事評価制度の作り方で書いています。属人化をなくす組織づくり全体の進め方は、中小企業の組織づくりでまとめています。
自分しかできない仕事を持つことで、立場や評価を守ってきた社員もいます。いきなり「全部書き出して」と求めると、仕事を取り上げられると受け取られ、協力が得られません。手順書づくりは評価される仕事だと先に伝え、本人が新しい役割に移れる見通しも一緒に示します。
属人化の解消についてよくある質問
属人化の対義語は何ですか。
標準化です。業務の手順と判断の基準を決め、誰が担当しても同じ結果になるようにすることを指します。標準化した手順を、役割分担や会議で毎回回る形にすることを仕組み化と呼ぶこともあります。
属人化の解消には、どのくらいの期間がかかりますか。
業務がくり返される周期で決まります。担当者が話して副担当が書く回、担当者が横で見ながら副担当がやる回、副担当が1人でやる回の3回を見込むと、毎週ある業務なら1か月ほど、月末の請求のように月1回の業務なら3か月ほどかかります。全社で一度に進めず、止まると困る業務を3つ選び、最初に仕上がった手順書を見本にして残りに広げます。
社長に判断が集まっているのも属人化ですか。
はい。社長がいないと決まらない仕事が多い会社では、社長がいちばん大きな属人化になっています。組織図に誰が誰の上司かと、役職ごとに決めてよいことを書き込み、社長に来る相談を減らしていきます。
手順書をつくっても読まれない場合は、どうすればよいですか。
判断の基準が書かれていないことのほかに、手順書が長すぎる、実際のやり方と違っている、といったケースが考えられます。1つの業務を1〜2ページに収め、副担当が実際に使ってつまずいた箇所を書き足します。置き場所を1か所に決め、月1回の見直しで更新日を書き換えます。
担当者の退職が決まってから引き継ぐときは、どうすればよいですか。
期間の定めのない雇用では、退職の申し出から2週間で辞められると民法で決まっています。残っている年次有給休暇も退職日より後へはずらせないため、引き継ぎを理由に取得を断ることは原則できません。休暇を除いた出勤日で日程を組み、止まると困る業務から1つずつ、担当者が作業しながら話して副担当が書き取ります。顧客や取引先への担当の変更の連絡は、担当者がいるうちに副担当と一緒に済ませます。
まとめ:属人化は、止まると困る業務から手順書と副担当で備え、共有した人を評価して戻らないようにします
属人化は、手順と判断の基準が文書になっていないことに、忙しさや、共有しても評価されない仕組みが重なって起きます。止まると困る業務から順に手順書と副担当で備え、専門性の高い業務は担当者を残したまま副担当を置きます。まずは次の3つから始めてください。
- 部署ごとに、誰がどの業務に何時間使っているかを書き出し、担当者が1人しかいない業務に印をつける
- 手順書づくりを頼む前に、手順書の作成と後輩の育成を、次の評価期間から評価項目に入れることを社員に伝える
- 印をつけた業務のうち、止まると困るものを3つ選び、まず1つを、担当者が話して副担当が書く形で手順書にする
いまの部署と担当の分け方、特定の人に集まっている仕事をうかがいながら、どの業務から手をつけるか、役割分担と評価をどう変えるかをお伝えします。オンライン(Zoom)で60分です。
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