You are currently viewing 離職防止の取り組み|中小企業がお金をかけずに始める7つの施策と順番

最終更新日:2026年10月28日 | 執筆:Bay3株式会社 代表取締役 三浦一晃

社員の離職を防ぐ取り組みは、福利厚生を増やすことより先に、自社の社員がなぜ辞めるのかを調べ、その理由に効く手を2〜3つに絞って毎月続けることから始めます。中小企業で効果が出やすいのは、評価の物差しを社員に示す、上司と部下が月1回は1対1で話す、誰が何を決めてよいかを組織図に書く、といった費用のほとんどかからない仕組みです。給与の引き上げや福利厚生の追加のようにお金がかかる手は、どこにお金を使えば辞める人が減るのかが見えてから判断しても遅くありません。

この1年で何人も辞めて現場が回らなくなりかけている、求人を出しても採用が追いつかない、という状況なら、施策を足す前に、いまの職場のどこで不満がたまっているのかを一度書き出しておくと、打つ手の順番がはっきりします。何から手を付けるかを社内だけで決めきれないときは、オンラインの無料相談(60分)で、最近辞めた方の様子をうかがいながら優先順位を一緒に考えることもできます。

離職防止の取り組みで押さえる4点
  • 辞める理由は「労働条件・人間関係・評価と給与・将来の不安」に分けて考える
  • 費用のかからない施策は、評価の基準・1対1の面談・役割の明確化・新人の受け入れ
  • 始めるのは2〜3つまでにして、担当と期限を決めて3か月続ける
  • 効果は離職率だけでなく、面談の実施率や残業時間でも毎月見る

離職防止の取り組みは、採用と教育のやり直しを減らし、残る社員の負担を守るためにあります

従業員が10〜100名程度の規模なら、1人の退職で採用と教育がふり出しに戻り、抜けた人の仕事は周りの社員が肩代わりします。大きな会社なら人事部が担う定着の仕組みづくりを、規模の小さい会社では社長がひとりで抱えていることが多く、日々の業務に追われて手が回らないまま次の退職が出る、という状態がくり返されがちです。たとえば営業担当が5人のチームで1人が抜けると、その人の顧客を残りの4人で分けて持つことになり、1人あたりの負担は2割以上増えます。そこから2人目の退職が出ると採用活動をいくら強化しても追いつかないので、離職防止は人事の課題というより、事業を続けるための経営の課題として扱います。

離職で起きること会社への影響中小企業で重くなる理由
採用のやり直し求人広告や紹介会社への費用、面接にかける時間がかかる採用の担当が社長や管理職の兼務で、本業の時間が削られる
教育のやり直し新しく入った人が一人前になるまで、教える側の時間が取られる教えられる人が限られ、同じ人に負担が集まる
残った社員の負担の増加仕事の量が増え、残業や休日出勤が増える代わりを頼める人がいないため、次の離職の原因になる
顧客や取引先との関係担当の交代で、引き継ぎの漏れやサービスの質の低下が起きる1人の担当が持つ顧客の数が多く、影響が大きい
優秀な人材の流出経験やノウハウ、社内の人間関係がまとめて失われる仕事が特定の人に属人化していることが多い

表1 社員が1人辞めたときに会社で起きること

表1で見落とされやすいリスクは、残った社員の負担が次の退職を呼ぶ連鎖です。退職の背景に「仕事の量が多い」「休みが取れない」がある職場では、1人の退職がそのまま次の人の離職理由になります。辞めそうな人を引き留めるのに時間を使うより、辞める理由が生まれにくい職場の環境を整備しておくと、採用にかかるコストも削減できます。

全国の離職率は14.2%で、パートタイムで働く人では21.4%です

厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、2024年の1年間に仕事を辞めた人の割合(離職率)は14.2%で、前の年の15.4%より下がりました。働き方別に見ると、正社員を含む一般労働者は11.5%、パートタイム労働者は21.4%で、パートやアルバイトが多い職場ほど人の入れ替わりが激しい傾向があります。社員30名の会社に当てはめると、1年で4人前後が入れ替わる計算です。自社の離職率は、去年1年間に辞めた人の数を年の初めにいた従業員の数で割ると出せるので、取り組みを始める前に一度計算しておくと、3か月後や1年後の変化を比べる基準になります。

社員が辞める理由は、労働条件・人間関係・評価と給与・将来の不安の4つに分けて考えます

離職の要因を4つの分野に分けると、自社で先に手を打つ場所が見えてきます。4つとは、労働時間や休日の条件、上司や同僚との関係、評価と給与への納得、会社や自分の将来への不安です。同じ調査で転職した人が前の職場を辞めた理由を見ると、女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.8%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.7%と上位に並び、男性では「給料等収入が少なかった」が10.1%でした。男性では「会社の将来が不安だった」が前の年より2.2ポイント増えており、給与の額だけでなく、この会社にいて先があるかという見通しも辞める判断に影響しています。

分野社員が抱えている不満や悩みの例会社で見ること
労働条件・働き方残業が多い、休みが取りにくい、仕事の量が人によって違う誰がどの仕事に何時間使っているか
人間関係・上司上司に相談しにくい、指示が人によって違う、職場の雰囲気が悪くストレスが大きい上司と部下が1対1で話す時間があるか
評価と給与何を頑張れば評価されるか分からない、昇給の理由が説明されない評価の基準と、給与への反映の仕方を社員に説明できるか
将来の見通しこの先どんな仕事を任されるか分からない、成長している実感がない会社の計画と、役職や等級の道筋を伝えているか

表2 離職の原因の4つの分野と、会社で見ること

表2の4つのうち、評価と給与、将来の見通しの2つは、お金をかけなくても改善できる部分が大きい分野です。給与の額をすぐにアップできなくても、どうすれば給与が上がるのかという道筋を説明できれば、社員の不安はかなり小さくなります。Bay3の代表の三浦は、人が辞める会社では評価の基準が見えず短期の数字だけが追われ、辞めない会社では評価の基準が社員に共有されて採用と育成に長い目で取り組んでいる、と考えています。

辞める前の変化に気づけるのは、ふだん部下と話している上司です

退職を申し出る前に、職場での行動が変わることがあります。会議での発言が減る、新しい仕事を引き受けなくなる、定時になるとすぐ帰るようになる、有給休暇をまとめて取る、といった変化は、上司が日ごろから部下と話していれば気づける特徴です。ただ、サインを見つけてから個別に引き留めるのは難しいので、サインが出たときに話を聞ける場を先に職場につくっておきます。

上司が気づきやすい5つの変化
  • 会議や朝礼での発言、質問が目に見えて減った
  • 新しい仕事や役割を、理由をつけて断るようになった
  • 終業時刻になるとすぐに帰るようになり、仕事への意欲が下がって見える
  • 遅刻や急な休み、有給休暇の取得が増えた
  • 同僚との雑談や昼食の輪に加わらなくなった

離職防止の取り組みは、お金をかけない評価の基準と1対1の面談から始めます

費用をほとんどかけずに始められる離職防止の対策は、表3の7つです。どれも新しいツールや外部のサービスを買わなくても、社長と管理職の時間を使えば実践できます。一方で、すべてを同時に始めると管理職の負担が増え、どれも続かないまま終わります。表3の「効く分野」の列を見て、表2で自社に当てはまった分野に効く取り組みから2〜3つを選びます。

取り組み効く分野始め方費用
1. 評価の基準を社員に示す評価と給与職種ごとに評価の項目と点数の基準を書き、全員に説明するほぼかからない
2. 月1回の1対1の面談人間関係・上司上司と部下が月1回30分、仕事の量と困りごとを話すほぼかからない
3. 役割と決めてよいことを組織図に書く人間関係・上司誰が誰の上司か、役職ごとに何を決めてよいかを書き込むほぼかからない
4. 仕事の偏りと残業を減らす労働条件・働き方業務を書き出し、時間のかかる仕事を減らす・分けるほぼかからない
5. 新しく入った人の受け入れ人間関係・将来の見通し教える担当を1人決め、週1回振り返るほぼかからない
6. 退職理由のヒアリング4つの分野すべて退職が決まった人に、手続きのあとで本音を聞くかからない
7. 管理職の育成人間関係・評価と給与面談と評価のやり方を管理職でそろえる研修を行う社内なら少額

表3 お金をかけずにできる離職防止の取り組み7つ

表3の1と2から始めるのは、転職した人の辞めた理由で上位にあった人間関係と給料への不満に、お金をかけずに手を打てるからです。評価の基準が共有されていれば、面談で「次の評価で何を伸ばすか」を具体的に話せるようになり、1対1の面談が雑談や叱責の場で終わらずに済みます。逆に、面談だけを始めて評価の基準がないままだと、部下から「どうすれば給料が上がるのか」と聞かれたときに上司が答えられず、かえって不信感を生むケースもあります。

評価の基準を言葉にして示すと、何を頑張ればよいかが社員に伝わります

評価の基準を示すことは、新しい人事制度を一から作ることとは違います。いま社長や管理職が頭の中で使っている評価の物差しを、職種ごとに3〜5項目の言葉と数字に書き出し、社員が理解できるように説明するところまでが最初の一歩です。たとえば営業職なら「3か月の売上」「新規の契約件数」のような成果の項目に、目標どおりなら何点、上回れば何点という基準を付けておくと、社員は評価の結果を自分で読み取れるようになり、満足度も上がります。Bay3の評価シートの記入例では、目標どおりの数字を6点とし、売上なら3か月360万円で6点、420万円で10点としています。評価の項目の選び方は人事評価の評価項目の例で、制度の全体像は人事評価制度とはで詳しく書いています。

月1回の1対1の面談で、仕事の量と困りごとを上司が先に聞きます

1対1の面談は、上司が部下の話を聞く時間として月1回30分を確保し、予定表に先に入れてしまうのが継続のコツです。話す内容は、今月の仕事の量と進み具合、困っていること、来月やってみたいことの3つに絞ると、準備に時間をかけずに始められます。社員同士の交流会やイベントで職場のコミュニケーションを活性化させる会社もありますが、上司に相談しにくいと感じている社員には、上司と落ち着いて話せる定期的な時間を決めておくほうが、話を切り出しやすくなります。何を話しても責められないという心理的安全性があると、仕事の悩みも早い段階で上司に届きます。部下に投げかける質問は、1on1のテーマと質問例でそのまま使える形にしています。

  • 今月の仕事の量はどうだったか、手が回らなかった仕事はあるか
  • いま困っていること、上司にサポートしてほしいことは何か
  • 来月やってみたいこと、任せてほしい仕事はあるか

組織図に上司の線と、役職ごとに任せる判断の範囲を書き足します

社長のところに細かい相談まで集まってくる会社では、部下が誰に相談すればよいのか、上司がどこまで自分で決めてよいのかが決まっていないことがあります。組織図の上に、部下ごとの直属の上司と、各役職が自分の判断で決めてよい範囲を書き足して管理職と共有すると、1対1の面談で出た相談にも上司がその場で答えられるようになります。部下にとっては相談の行き先がはっきりし、上司にとっては判断を社長に戻す回数が減るので、双方の負担が軽くなります。項目の例と作る順番は役割分担表の作成手順にまとめています。

残業と仕事の偏りは、業務の書き出しから減らします

長時間労働や休みの取りにくさが辞める理由になっている職場では、残業を禁止する前に、社員ごとに、どの業務へ毎月何時間かけているかを一覧にします。書き出してみると、同じ報告書を何人もが別々に作っていたり、特定の人にだけ問い合わせが集中していたりと、減らせる仕事や分けられる仕事が見えてきます。1か月分の業務を書き出して時間のかかる順に並べ替えるだけでも、人手不足に見えていた問題が実は仕事の偏りだったと把握でき、業務の効率を上げる手立てを社長と管理職で検討できるようになります。書き出し方と仕分けの手順は業務の棚卸しのやり方で紹介しています。

入社後3か月は、教える担当を1人決めて週1回振り返ります

入社して間もない社員の早期離職を防ぐには、入社前の説明と、入ってからの最初の3か月の過ごし方を見直します。面接で仕事内容や働き方を具体的に伝えておくと、入ってから「聞いていた話と違う」と感じるミスマッチが減ります。入社後は、業務を教える担当(メンター)を1人決め、週に1回15分ほど、できるようになったことと分からないことを一緒に振り返るフォローの時間をつくります。新入社員が誰に聞けばよいか迷わなくなるだけでも、最初の数か月の不安はかなり和らぎ、安心して仕事を覚えられます。

将来の不安には、3年後の会社の姿と役職の道筋を伝えて応えます

会社の将来や自分のキャリアに不安を感じている社員には、研修を増やす前に、会社がこの先どこへ向かうのかと、その中で自分がどう成長できるのかを伝えます。3年後に売上や人数をどのくらいにしたいか、そのときにどんな役職が必要になるかを社員に話すだけでも、この会社で働く価値を考える材料になります。キャリアパスの面談やスキルを伸ばす研修の機会の提供を始めるのは、その後で十分です。まず経営者が3年後の売上と人数、そのときに必要な役職を書き出し、理念やビジョンと一緒に社員に話すところから始めます。

お金がかかる取り組みは、原因が見えてから選びます

給与の引き上げ、福利厚生の充実、リモートワークのような多様で柔軟な働き方の導入、離職防止のツールやエンゲージメントサーベイの活用は、有効な場面がある一方で費用や準備がかかる取り組みです。こうした施策は、表2の分野のうち労働条件や給与が原因だとはっきりしてから選ぶと、予算を無駄にしません。たとえば育児や介護との両立が理由で辞める人が続いているなら、勤務時間を選べる体制をつくることが先で、福利厚生の種類を増やしても離職は減りません。賃上げだけでは定着しない理由については賃上げだけでは社員は定着しないでも取り上げています。

注意:施策を一度にいくつも始めない

面談、評価の見直し、受け入れの仕組み、ツールの導入を同じ月に始めると、どれが効いたのかを分析できず、管理職の時間も足りなくなります。最初の3か月は2〜3つに絞り、続けられた施策に次の施策を足していきます。

取り組みは、離職の兆しを点検し、当てはまる分野の施策を2〜3つに絞って始めます

離職防止は、点検から3か月後の見直しまでの5つの手順で進めると、やりっぱなしになりません。思いついた施策から順に始めると、効果が出たのかどうかを見る基準がなく、半年後には誰も続けていない状態になりがちです。最初の点検には、経営者が10分ほどで答えられる質問票を使うと、どの分野に問題が集まっているかを数字で可視化できます。点検の結果は管理職にも見せ、同じ質問に管理職自身も答えてもらうと、経営者と現場の意識のずれも分かります。

  1. 現状を点検する:質問票に経営者と管理職が答え、去年1年の離職率と、辞めた人の理由を書き出します。
  2. 原因の分野を決める:労働条件、人間関係、評価と給与、将来の見通しのうち、点数の高い分野を1〜2つ選びます。
  3. 施策を2〜3つに絞る:表3から、選んだ分野に効く取り組みを選びます。
  4. 担当と期限を決める:施策ごとに担当者を1人決め、いつまでに何をするかを日付で書きます。
  5. 3か月後に見直す:面談の実施率や残業時間などの数字と、もう一度の点検の点数で、続けるか変えるかを決めます。

図1 離職防止の取り組みを進める5つの手順

Bay3の離職の兆しチェックリストは全部で20項目あり、評価・給与の分野、上司・役割の分野、仕事量・進め方の分野、将来の見通しの分野に5問ずつ並んでいて、当てはまる数が0〜3なら安定、4〜7なら兆しが出ている、8〜12なら注意が必要、13以上ならすぐに手を打つ段階と読みます。項目は「昇給や賞与の決め方を、社員に説明できない」のように会社の側の状態で書いてあり、社員1人ひとりを点検するものではありません。分野ごとに最初にやることも書いてあり、上司・役割の分野なら、組織図に指示の線と各役職の判断の範囲を書き入れ、月1回の1対1の面談を始めるところから手を付けます。

支援の現場から(三浦)

三浦が以前に担当した歯科医院では、スタッフを何で評価するかを明確にした評価制度を設計し、等級の表、一人ひとりの評価表、給与と賞与の表まで用意して、院内で使われるようになるまで伴走しました。院内のルールと組織図も整え、役職ごとに担う役割と追う数字を決めたうえで、週報と月曜の朝の15分会議で毎週数字を振り返る流れもつくっています。支援先からは、定着率とスタッフのやる気がともに上がったと聞いています(医院のほかの取り組みや地域の事情も関わっています)。評価の基準と役職ごとの役割は、表3でいう1番と3番の取り組みにあたります。

FREE DOWNLOAD
離職の兆しチェックリスト(PDF)を無料で配布しています

評価と給与、上司との関係と役割、仕事の量と進め方、将来の見通しの4分野・20項目に答えると、自社の状態が4段階で分かります。分野ごとに最初にやることも書いてあるので、図1の手順1と手順2にそのまま使えます。

チェックリストを受け取る

効果は、離職率と一緒に、毎月動く数字でも測ります

離職率は1年たたないと変化が見えにくいため、取り組みの効果は毎月追える数字と組み合わせて見ます。1対1の面談を予定どおり実施できた割合、部署ごとの残業時間、入社3か月以内の退職者の数のように、取り組みの実施状況と結果の手前にある数字を月1回の会議で見ると、うまくいっていない施策に早めに気づけます。3か月後にもう一度チェックリストに答え、最初の点数と比べると、どの分野が改善したかも分かります。

見る数字見る頻度何が分かるか
1対1の面談の実施率毎月管理職が面談を続けられているか
部署ごとの残業時間毎月仕事の偏りが減っているか
入社3か月以内の退職者数毎月新人の受け入れ方が効いているか
チェックリストの点数3か月ごと4つの分野のどこが改善したか
離職率年1回取り組み全体の結果

表4 離職防止の取り組みで見る数字

辞めにくい職場は、評価と会議を管理職が回せる仕組みにして続けています

離職防止の施策は、特定の人の頑張りに任せず、評価・会議・面談の仕組みに組み込むと続きます。社長が気にかけている間だけ面談が行われ、忙しくなると止まる取り組みでは、社員はすぐに「どうせ続かない」と受け止めます。毎週の会議や四半期ごとの評価の流れに組み込んでおけば、担当が替わっても続きます。表5は、三浦がBay3の設立前と後に支援した会社のうち、評価制度や会議の仕組みを整えた例です。変化は支援先から聞いたもので、支援とは別の施策や市場の動きも結果に影響しています。

業種行ったこと見られた変化
IT企業評価制度の構築、全社員研修、週次会議の支援を同時に実施組織全体で改善を続ける仕組みが根づいた
人材紹介会社管理職研修と、週次のKPIミーティングの導入数字で動く会議の形ができ、現場が自分で改善を回すように
広告代理店評価制度の構築と運用支援、必要な人数と配置の見直し社員の目線がそろい、適切な人員配置ができるように

表5 これまでの支援事例で行ったことと、見られた変化

3社とも、評価の基準や会議の進め方を決めて終わりにせず、管理職が日々の仕事の中で使う形まで整えています。評価制度を導入した企業の経営者からは「評価制度と給与が連動して、社員の納得感が大きく上がりました。」という声をいただいています。どうすれば評価と給与が上がるのかが分かると、部下は何を頑張ればよいかを自分で判断できるようになり、仕事へのモチベーションも保ちやすくなります。役割と権限の分け方は管理職が板挟みにならない役割の決め方で、会社全体の仕組みは組織づくりの進め方でも扱っています。

管理職が面談と評価を同じ基準で行えるよう、研修でそろえます

管理職研修というと外部の講座を思い浮かべがちですが、離職防止の目的なら、社内で評価の基準と面談の進め方を管理職どうしで話し合う場をつくるだけでも効果があります。たとえば同じ部下の評価を管理職それぞれにつけてもらい、点数がずれた項目について基準の読み方を話し合うと、上司によって評価が違うという部下の不満の原因を減らせます。面談で部下の意見や希望をどう受け止めるか、どこまでを上司が判断してよいかもこの場で決めておくと、相談が社長に集まる状態の解決にもつながります。研修の時間が取れないときは、評価の時期の前に管理職が1時間だけ集まる小さなプロジェクトとして始めてもかまいません。

管理職どうしでそろえておく3つのこと
  • 評価の項目ごとに、何点ならどんな状態かという基準の読み方
  • 面談で部下の相談に、上司がその場で答えてよい範囲
  • 社長に上げる相談と、管理職が自分で決める相談の線引き

退職を申し出た社員には、引き留める前に理由を聞き、職場の課題として記録します

退職の申し出を受けたら、条件で引き留めるより先に本当の理由を聞き、次の離職を防ぐ材料にします。辞める本人が会社に伝える理由は「一身上の都合」や「家庭の事情」のような当たり障りのないものになりやすく、本音とずれていることが少なくありません。手続きが終わったあと、直属の上司ではない人が、責める調子にならないように聞くと、上司との関係や評価への不満のような話も出てきやすくなります。聞いた内容を表2の4つの分野に分けて記録しておくと、同じ分野の理由が続いたときに、職場の仕組みの問題として手を打てます。

次の離職につながりやすい対応
  • 理由を聞かずに、給与の引き上げを持ちかける
  • 直属の上司が、その場で説得を続ける
  • 聞いた理由を記録せず、本人の事情として片付ける
次の離職を防ぐ対応
  • 手続きのあとに、上司以外の人が理由を聞く
  • 理由を4つの分野に分けて記録する
  • 同じ分野が2件続いたら、その分野の施策を見直す

図2 退職の申し出を受けたときの対応の違い

引き留めるかどうかは、辞める理由が会社の側で変えられるものかで判断します。仕事の量や役割のあいまいさのように会社が変えられる理由なら、どう変えるかを具体的に伝えたうえで残ってもらえるかを話し合えます。家族の事情や本人のキャリアの選択のように会社が変えられない理由なら、気持ちよく送り出し、引き継ぎを丁寧に行うほうが、残る社員の信頼にもつながります。

離職防止の取り組みでよくある質問

パートやアルバイトの多い職場でも、同じ取り組みで効果がありますか。

効果はありますが、面談の頻度や時間はパートの方の勤務時間に合わせて短くします。月1回30分が難しければ、2か月に1回15分でもかまいません。パートの方にも、時給がどうすれば上がるのかを説明しておくと、この職場で働き続ける理由になります。

若手社員の早期離職を防ぐには、何から始めればよいですか。

新しく入った人の受け入れと、面接での仕事内容の説明から始めます。若手社員は、仕事を覚えるまでの間に相談できる相手がいないと孤立しやすいので、教える担当を1人決めて週1回振り返る形を先につくります。そのうえで、2〜3年後にどんな仕事を任せたいかを上司から伝えると、将来の見通しへの不安も和らぎます。

歯科医院や店舗のような少人数の職場でも取り組めますか。

取り組めます。少人数の職場では院長や店長が全員の上司になっていることが多いので、まずチーフやリーダーの役割と、決めてよいことを決め、面談の一部を任せられる形にします。歯科医院での進め方は歯科スタッフが辞めない医院の定着施策で取り上げています。

FREE CONSULTATION
自社でどの取り組みから始めるべきか、60分の無料相談で一緒に整理します

最近辞めた方の理由と、いまの評価や面談の状況をうかがいながら、先に手を打つ分野と、無理なく続けられる取り組みの順番をお伝えします。オンライン(Zoom)で60分です。

無料相談を申し込む
Bay3株式会社 代表取締役 三浦一晃
WRITER
三浦 一晃(Bay3株式会社 代表取締役)

はま寿司で12店舗・1,000名以上のマネジメントを経験し、株式会社識学で組織コンサルタントとして34社、カスタマーサクセスとして42社を担当。2025年にBay3を設立し、中小企業と歯科医院の経営計画・評価制度づくりを支援しています。著書『評価制度が歯科医院の未来を決める』。

代表メッセージを読む

Bay3の支援内容をもとに構成し、編集部が作成しています。

出典・参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」